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第3:文化多様性の保護,促進のための国際的な体制の構築に向けて(提言)
1.
文化多様性条約策定に向けての我が国の基本的な立場
豊かな文化多様性の保護,促進を保障することを任務としているユネスコは,世界遺産条約に始まって,平成13年に文化多様性に関する世界宣言を採択し,さらに,無形遺産保護条約を成立させるなど文化多様性の保護,促進に資する国際的な規範の策定や各国の取組みへの支援を行っている。このため,文化多様性の保護,促進のための今後の取組みをユネスコの枠組みで検討していくことについては,国際的な合意があると考える。
近年のグローバリゼーションの進展により文化多様性の確保が一層重要となっていることに鑑み,ユネスコにおいて文化多様性の保護,促進のための国際的な枠組みが構築されることを支持すべきである。なお,検討に当たっては,他の国際約束と法的な抵触が無いようにすると同時に,文化的財,サービスの国際的な流通の促進を妨げることがないように配慮する必要がある。
我が国としては,我が国国民にとって望ましい日本文化の在り方及び人類全体にとって望ましい世界文化の在り方とは何かという観点から,政府間の条約策定手続に臨むべきである。
2.
文化多様性条約の対象範囲,他の条約との関係
もともと文化多様性条約の必要性が考えられるようになったのは,GATTウルグアイラウンドのサービス貿易交渉の中で,音響・映像サービスの取扱いが議論されたことが一つの契機となっている。文化多様性に関する条約の審議においても,文化的財,サービス,とりわけ音響・映像サービスをどのように取り扱うかが焦点になると考える。しかし,文化多様性の保護・促進についての取組みは,必ずしも音響・映像サービスその他の文化的財,サービスに限定されるものではない。
その意味で,文化多様性に関する条約の目的は,今後の人類の文化のあるべき姿を理念的に示すことが必要である。一方,条約の対象範囲は,先行する世界遺産条約や無形文化遺産保護条約を勘案した上で,慎重に検討する必要があり,原則として,先行条約の規定が及ばない事項に限定されるべきである。
3.
各国の権利義務
自国文化の認識は各国の存在(アイデンティティ)を確立する上で不可欠であり,各国は基本的に自国文化を保護するために一定の措置を講じる権利を有すると考える。
しかし,各国が,それぞれの判断で,文化的財,サービスの流通についての規制措置を講じることについては,それを認めると情報通信や言論(表現)の自由を侵しかねないとか,それぞれの国の国民が,国内で他国の文化的財,サービスを通じて他国の文化に接する機会が狭められる結果になるという指摘がある。
条約によって各国に与えられる権利や負うことになる義務は,これら2つの側面を考慮したものでなければならない。
4.
文化多様性条約策定に対応する具体的な措置
国際的な措置
国際的な措置としては,ユネスコにおいて,各国が行う文化政策についてデータベースを構築したり,各国の文化政策担当者が集まって議論する場を提供することにより,各国が情報を共有しながら,文化多様性を保護,促進し,創造的な文化活動を互いに促進するような取組みを行うことができるクリアリングハウスのような機関を整備することが必要である。
また,途上国が文化多様性を保護,促進するための措置を有効に講じることができるように,人材育成プログラムの開発などの能力構築を支援していくことも重要である。
我が国としては,望ましい国際協力のシステムの在り方を検討した上で,ユネスコ等における議論の場で積極的に提案していくとともに,こうしたシステムが構築された場合には,我が国の経験を踏まえ事業のフォローアップを支援していくことが望ましい。
国内的な措置
文化には,市場の失敗の問題や,文化それ自体の持つ外部性(市場で測定できない価値)の問題があり,文化的財,サービスを全て市場経済に委ねた場合,少数者の参加しかない文化が駆逐される恐れがある。そのため,文化の保存及び振興に当たっては,補助金,税制控除等の公共政策が不可欠である。
国際的な保護,促進に関する施策として,国内の映画の上映のうち,外国映画の上映を一定の比率以内とするクォータ制の導入や外資の市場参入規制などを提案する国もある。しかし,このようなクォータ制や外資の市場参入規制のような極端な措置は文化多様性の障壁となる恐れが考えられるため,基本的には規制措置をとるのではなく,各国が人材育成,補助金,税制控除等を活用した環境整備を行うことが望ましい。
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