ここからサイトの主なメニューです

「文化多様性に関する基本的な考え方について」

まえがき

ユネスコにおける検討の経緯
 情報や経済のグローバル化(地球規模化)に伴い,民族や,宗教を異にする人々同士の接点が増え,それが,対立や緊張を惹起することとなる事例が顕著になっている。一方,欧州連合の拡大,アジア地域等で顕著なEPA(経済連携協定)の進展,世界各地でのNGO(非政府組織)の国際的な連携等,従来の国民国家の枠組みにとらわれない,地域的,文化的な運動が世界各地で広がっており,国境を越えて人々の相互依存が深まっている。
 ユネスコでは,異なる文化間の相互理解を深め,寛容,対話,協力を重んじる異文化間交流を発展させ,世界の平和と安全に結びつけるため,平成13年に「文化多様性に関する世界宣言」が採択された。さらに,平成15年10月の第32回ユネスコ総会では,平成17年秋の次回ユネスコ総会に向けて,文化多様性に関する国際規範の策定作業を開始することが決議され,具体的な検討作業が開始されている。

我が国のユネスコへの貢献
 我が国は,古来より,外来の文化を受容しつつ,これを消化,吸収し,独自の文化を形成してきた。文化の多様性は,生物種の多様性が自然にとって不可欠であるのと同様に,人類共通の遺産であり,それを守り,将来の世代に伝えていく必要がある。この意味で,文化多様性の保護は,文化国家日本の一つの指針とならなければならない。
 我が国は,加盟国中最大の分担金支払国としてこれまで,ユネスコを通じ,文化多様性の保護に関連し,積極的な貢献を行ってきた。世界遺産に関しては,我が国は,米国と並んで第1位の拠出国となっており,また、平成5年に無形文化遺産保護のための信託基金をユネスコに設置し,途上国の無形文化遺産の保護に継続的に協力してきた。さらに,昨年のユネスコ総会において,我が国は,無形文化遺産保護条約の採択に向けてリーダーシップを発揮し,大きな貢献を果たすことができた。
 ユネスコにおいて検討される「文化多様性に関する条約」についても,我が国は,これまでの経験を活かして,積極的な貢献を行うことが期待されている。
 文化審議会文化政策部会では,このような状況に鑑み,我が国が文化多様性の保護,促進を図り,国際社会に積極的に貢献するため,本部会に「文化多様性に関する作業部会」を設置し,文化多様性に関する基本的な考え方について検討を行った。以下はこれまでの作業部会において議論を行ったまとめである。


ページの先頭へ   文部科学省ホームページのトップへ