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平成14年の文化審議会答申では,「諸外国との文化交流を図りつつ形成されてきた我が国の文化について理解することは,他の文化に対する寛容や尊重の気持ちを育むことになる。(さらに,)我が国の文化が国際的に多様な刺激を受けて,新たな創造を加えつつ発展していくうえで重要であるのみならず,国際社会における我が国の文化的地位を確かなものとし,世界の文化の発展に寄与するものである。」と述べている。
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平成15年の文化庁国際文化交流懇談会報告では,「日本文化の特質は,文化の多様性の確保に向けた大きな可能性を秘めている.日本社会は.古来より多種多様な外来文化を受容しつつ独自な文化様式を形成してきた。圧倒的な権威や排他的な価値が中心に存在しない中空構造に支えられた日本社会は,多様な文化をバランスよく包み込む,いわば文化の多様性空間として機能してきた。こうした特性を踏まえて,その国土と人材を活用し,世界の多様な文化の劇場或いは博物館,美術館を目指すことは,21世紀日本が誇るべき使命となるであろう.」と述べている。
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今後の文化政策においては,文化の受容に一定の配慮を払いつつも,創造の面に力を注ぎ,国際的な評価に値する文化の発信が求められる。
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日本は世界の中の文化的地方という意識を克服し,他文化の受容も心がけつつ,国際的評価に値する独自の文化を創造することが必要。
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我が国では、文化財(無形文化財を含む)は市場経済にのらず、文化保護法の下に、保護に努め、世界に先駆けて文化多様性の保護・促進に努めてきた。こうした方針は世界的にも高く評価されている。ただし,この分野の保護措置は各国の判断に委ねられるものであり,条約上大きな問題にはならないと考える。
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文化財は地域のアイデンティティを生み出すものと言われるが,特に無形遺産,民俗遺産は,かえって芸術的なものよりも地域共同体と結びついて受け継がれているため,上下の別をつけることは非常に困難である。条約の制定により行政が上下をつけることになることを懸念。
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文化について分類した上で、文化多様性の保護・促進のためにどのような措置が必要か検討すべき。伝統文化については、国の支援が不可欠であり、我が国では、オペラ、バレエ、オーケストラ等の現代芸術についても、国の支援がなくなると衰退する恐れがある。
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一方、アニメ、映画、音楽など市場経済の中で議論されるコンテンツ事業については、文化芸術の水準の向上を図る視点やコンテンツ振興の観点から、各国の判断で財政的支援や国内規制を行うことが必要な場合がある。
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