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文化審議会

2003年10月20日 議事録
文化審議会文化政策部会(第5回)議事要旨

文化審議会文化政策部会(第5回)議事要旨


1. 日  時:平成15年10月20日(月)10時30分〜12時30分

2. 場  所:霞が関東京會館シルバースタールーム(霞が関ビル35階)

3. 出  席  者:
(委   員) 高階部会長、津田委員、富澤委員、川本委員、木村委員、熊倉委員、佐藤委員、都筑委員、根木委員、山野委員、米屋委員
(文化庁) 素川文化庁次長、森口審議官、寺脇文化部長、木曽文化財部長、尾山政策課長、西阪芸術文化課長ほか関係官

4. 概   要
(1)    配付資料についての確認があり、前回議事要旨について、意見がある場合は1週間以内に事務局に連絡することとされた。

(2)    事務局より、文化支援に貢献している企業に対する文化庁長官表彰について説明が行われ、以下の意見交換が行われた。(○:委員、△:事務局)
         ○    賞の創設は結構なことだが、本年の第1回の対象に財団法人を選んだことは、企業の社員やその家族の文化芸術活動への参加促進という賞の趣旨とやや違うのではないか。

   本年は日程的な制約があり、受賞候補となっていた団体の中から選定した。
   1年先送りにする方法もあったが、文化庁が変わりつつあることを示したいという思いもあり、本年から実施した。また、企業のメセナ活動に対する顕彰については企業メセナ協議会に長年の実績があることも考慮し、同協議会と連携して賞を創設したものである。次回以降は趣旨の広報にも十分留意したい。

   財団が支援活動を行うのは当然でもあるので、文化庁が表彰を行う場合には企業財団でなく企業本体を対象にするという方針もとりえるのではないか。

   選考方法は書類審査で行ったのか、視察等も行ったのか。

   文化庁での選考は書類により行った。今回は、部会での提案を時機を逃さず実現するため、拙速との指摘もある程度覚悟して対応した。次回以降、委員の指摘に十分配慮して対応したい。


      (3)    事務局より、舞台芸術創造活動に対する支援の在り方についてのこれまでの議論の論点整理、本日の論点(案)、文化芸術活動の支援事業における審査方法・体制について説明が行われ、以下の意見交換が行われた。
         ○    文化芸術団体の運営費に対する助成は行っていないのか。

   基本的に公演活動を支援対象としているが、人材育成や調査研究の活動への支援を行う事業もある。

   選考委員の基準について、70歳未満という要件を16年度は除外するとしているが、その理由を伺いたい。

   現在、文化庁の様々な審査・評価作業全体について整理しているところだが、大きな点として、女性委員の比率の拡大と、年齢制限の見直しを考えている。年齢制限は、この種の委員会では本来必ずしも必要ではなかったのに審議会に準拠して制限していたものだが、芸術分野の選考を適切に行うには長年の経験を持った方の参加が必要なので、過度の自制を改めようとしているものである。

   大阪で9月に行われた芸術団体重点支援事業等に関する説明会には、どの程度の参加者が来場したか。

   200名弱の参加者があった。なお、東京では300名以上が参加した。

   本物の舞台芸術体験事業はいつから実施しているのか。観客の状況はどうか。

   現在の形になったのは平成14年度からだが、それ以前も中学生鑑賞教室などの形で実施していた。基本的には学校の児童生徒が観客になり、学校で事前に鑑賞指導などを行った上で実施しており、子どもたちにも好評である。

   公立文化会館における舞台芸術体験事業を何度か実際に見たが、中高年の観客が多く、子どもの姿が少なかった。
   観客の鑑賞態度が悪かったという話も聞く。観客の線引きを考える必要があるのではないか。

   遠隔地の場合は、有名な団体が公演に来るのでぜひ見たいという要望を全て断るわけにもいかないという事情もあるようだが、主体はあくまでも子どもたちだということを徹底したい。
   公立文化会館で行う場合は事前の鑑賞指導が困難なので御指摘のような事例も生じたかと思うが、学校単位で来ることも多いので、その場合は教員が事前に指導を行うことを奨励するなど工夫したい。

   本来子どもたちは、親など身近な大人と一緒に鑑賞するのが理想的だが、補完的に学校等の鑑賞教室が行われているのだと思う。したがって、公立文化会館で行う場合は、子どもたちだけに鑑賞させるのか、それとも普段の公演の中で子どもたちの比率を高めていくのかという選択肢が考えられる。
   この部会での検討対象は財政的支援の問題に限られ、税制の問題は対象としないという理解でよいのか。

   税制の問題も検討対象に入ると思う。

   事業助成か運営助成かということは重要な論点であり、将来的には運営助成が可能となる方向へ進むべきではないか。

   団体への経常費補助については立法措置まで必要になると考えられ、当面かなり難しいのではないか。ただ、これまでは個々の公演に対して助成を行ってきたが、人材育成やアウトリーチ活動など団体の事業全体を捉えて包括的に支援する仕組みがあってもよいのではないか。

   今の意見に賛成である。また、芸術文化振興基金と文化庁の支援事業のすみわけ、海外研修制度と国内研修制度の連動について整理が必要である。さらに、2〜3年後に全体を大きく見直すことが必要であり、そのために作業部会を設けて継続的に検討を行って欲しい。重点事業については、採択理由を明示した方が、事後評価もやりやすいのではないか。

   個々の団体の採択理由だけでなく、できれば審査全体の今年の傾向、重点などについても明示した方がよいのではないか。

   審査の際は様々な意見が出て多数決となることが多いので、1つのまとまった意見を明示するのは難しいのではないか。また、審査の際には団体の提出書類だけに頼るのでなく、文化庁が専門家に委託して資料を入手する努力も必要ではないか。真に地域に根付かせるためには、文化庁が支援すると地方公共団体からの支援が減るということがないような働きかけも考えなければならない。

   個々の事業ごとでもよいので、その理念、目的、目標というものを段階的に明示してはどうか。そうすれば団体もそれを踏まえて応募してくるので、事前・事後評価もやりやすくなる。芸術文化振興基金や公文協の事業なども含め、全体を整理してはどうか。

   審査の際は経理関係など膨大な資料が委員に送られてくるので当惑してしまう。国による子ども向けの鑑賞会を批判する実演家もいるので、彼ら自身がやっている子ども向けの活動を調べてはどうか。また、欧米では子どもたちにどのような鑑賞指導をしているかも調べてはどうか。

   これまでは事務方が萎縮しすぎてあらゆる書類を委員に見てもらうという面があったが、団体の経理面は文化庁が審査して、委員には活動内容を審査してもらうという分担も考えられる。国民の税金を使って助成を受けているということを団体にどのように理解してもらうかということも大切な視点である。

   芸術面と経理面の審査を分けることには危惧を感じる。むしろ、委員会の構成を見直して、経理の知識のある方や企業人、観客代表などを加えてはどうか。

   経理面の審査を行政側だけに委ねるのは反対である。芸術活動の公共性を判断することも今後重要であり、もっと異なる観点での指標をもとに審査するべきではないか。

   委員会の中に政策、マネジメントに詳しい方を加えるとともに、文化庁がもっと主張して委員と対等に議論することも必要である。その場合、文化庁が民間に委託するなどして情報収集に努めることが必要である。

   芸術について絶対的に客観的な評価は困難なので、ある程度独断的な要素が入るのはやむを得ない。また、審査の過程で一部の団体を視察することもあってよいのではないか。

   事前評価と事後評価は密接な関連があり、選定の際にきちんとした審査基準をつくって、その達成度を事後に評価すればよい。委員も審査基準にあわせて、定性的な面を見る委員、経理的な面を見る委員などふさわしい委員を選べばよい。

   団体側は助成が決まった段階で全て終わったような意識を持っており、評価の問題は非常に重要である。過度的に、評価について選考の委員会とは別の委員会を設けて厳しく評価を行うという方法もあるのではないか。

   事務量の関係で難しいかもしれないが、審査委員が団体からの申請書類を読んでわからない点があれば、団体側に指摘できるようにできないか。

   事務的な負担が大きいかもしれないが、事前と事後の評価の際に、それぞれ審査員が団体からヒアリングする機会を設けてはどうか。各団体の財務状況については公認会計士等の専門家に事前に評価してもらって、その結果をもとに委員が審査を行うという方法も考えられる。

   東京から地域に重点を移すことは大切であり、モニター制度を設けたり、専門委員を委嘱して見て回ってもらうなど、地域の活動状況を何らかの形で反映する方法を考えてはどうか。評論家の東京一極集中については、様々な批評を蓄積するアーカイブのようなものの構築も考えられるのではないか。

   団体の自己評価を促進するため、個々の芸術分野ごとに財務状況のプロトタイプと比較・分析できるような仕組みをつくってはどうか。

   本物の舞台芸術体験事業のうち公立文化会館のものは、施設職員に専門性や企画立案能力が乏しいので団体がマネジメント業務を肩代わりしている場合もあると聞く。同事業の審査基準の中に、実施に関して相当の実績を有するものという基準があるが、これは団体の事務的な能力も審査の対象になるということか。

   学校公演については、文化庁が日程等を直接調整するので、団体側にマネジメント面の負担はかけていない。団体の会計面がしっかりしているかなどは審査対象となるが、マネジメントができる人数の有無までは審査対象とはしていない。

   学校公演と施設公演は実施形態が全く異なっており、公立文化会館は施設によって職員の人数・質の差が大きい。地域の公立文化会館の活性化は今後の大きな問題であり、そのためにこの事業を活用することも考えられる。

   公立文化会館の管理運営については利用者側にとって不便な面も生じているので、管理運営の標準的なルール等を示してもよいのではないか。

   文化庁の舞台芸術に対する支援策の枠組みは、何度も小幅な修正を重ねてきたので、全体としての整合性がとれていない部分もある。この部会においては、支援の枠組みが本来どうあるべきかという点についても、観客に直接支援する文化バウチャー制の導入なども含め、議論いただきたい。

   公立文化会館には固定資産税などの優遇措置が既にあるので、さらに運営費助成を行う必要はない。職員の専門性向上のための支援策を講じることは考えられる。

   公立文化会館に関連して、フランチャイズ制についても議論してはどうか。また、支援の継続団体については、年度ごとに徐々にハードルを高くしてはどうか。

      (4)    事務局より、次回部会については12月4日(木)に開催するとの説明があり、閉会した。




(文化庁長官官房政策課)

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