ここからサイトの主なメニューです
審議会情報へ

文化審議会

2003年9月22日 議事録
文化審議会文化政策部会(第4回)議事要旨

文化審議会文化政策部会(第4回)議事要旨


1. 日  時:平成15年9月22日(月)10時30分〜12時30分

2. 場  所:霞が関東京會館シルバースタールーム(霞が関ビル35階)

3. 出  席  者:
(委   員) 高階部会長、富澤委員、川本委員、木村委員、熊倉委員、佐藤委員、中村(桂)委員、根木委員、山野委員、米屋委員
(文化庁) 素川文化庁次長、寺脇文化部長、木曽文化財部長、尾山政策課長、西阪芸術文化課長ほか関係官

4. 概   要
(1)    配付資料についての確認があり、前回議事要旨について、意見がある場合は1週間以内に事務局に連絡することとされた。

(2)    事務局より、平成16年度文化庁概算要求の概要、部会の今後の進め方及びこれまでの主な意見の整理等について説明が行われた。

(3)    以下の意見交換が行われた。(○:委員、△:事務局)
   パフォーミングアーツについては資料の保存が十分に行われておらず、国として対応を考えるべきではないか。
   
   文化施設の整備に当たっては、東京に偏るのではなく、日本全体のバランスを考えた整備を目指して欲しい。また、支援に当たっては事後評価を適切に行い、効果がないものは支援を取りやめるなどメリハリをつけることも必要である。
   
   市場の中で頂点にあるものと、市場性はないが芸術性で頂点にあるものとは、必ずしも一致しない場合があり、これらを区別して考える必要がある。国際的な評価については、欧米だけでなく近隣アジア諸国における評価も考慮する必要がある。また、支援の枠組み自体を数年ごとに見直すことも必要ではないか。
   
   資料4の「国際芸術交流支援事業」(2ページ)について、対象となる「共同制作」の定義などについて教えてほしい。また、「本物の舞台芸術体験事業」(5ページ)については子ども向けにふさわしい題材を選定する必要があるが、どのような審査を行っているのか。
   
   国際共同制作公演については、企画段階から外国の芸術団体・劇場と共同で制作しているものを支援対象としており、15年度は17件を採択している。
       「本物の舞台芸術体験事業」については、団体等からの申請を受け、選考のための委員会を設けて審査を行っている。
   
   二国間交流事業の内容について教えてほしい。
   
   当該国政府と日本国政府の間で合意した周年行事の枠組みの中で実施しているものや、当該国政府からの要請に基づいて展覧会等を開催するものであり、14年度においては日中・日韓関係の事業を実施した。
   
   各施策について、毎年度の評価とは別に、3〜5年という視点での評価を行うことが必要ではないか。その場合、個々の事業が全体の中でどのような効果を上げたのかという点を重視していくべきではないか。
       また、支援事業については、文化庁が示した枠内の事業を申請することとなっているが、より多様な方向が可能となるよう考える必要がある。
       あわせて、地方では人材育成に関する支援を求める声も強く、その充実をお願いしたい。
   
   西洋伝来の舞台芸術はまだ定着途上の段階であり、支援の効果は100年単位の長期的視点で考える必要がある。評価に当たっては、効率性だけを前面に出すのではなく、日本文化全体という広い視野で考える必要がある。
       支援のメリハリについては、事業のメニュー化を勘案することである程度対応できると思うが、メリハリをつける上での理念が必要である。
       県と市町村の連携協力を支援するため、連携協力の枠組みについて、国がメニュー化して誘導することも必要ではないか。
       記録の保存については、国立劇場や新国立劇場のほか、大学等でも取組が進んでいるので、これらを活用して総合的な保管・保存の枠組みを考えてはどうか。
   
   東京で行われれば全国へ発信されるようなことでも、地方で行われればほとんど報道されない。地方の活動をもっと発信していくことが必要である。
       また、子どもたちに命の大切さを教える上では、文化芸術を通して伝えることが最も効果的であり、教育と連携させた取組を行うことが望ましい。
       科学技術では5年単位での支援・評価が行われているが、芸術の分野でも同様のことを考えられないか。
   
   例えば芸術団体重点支援事業については、毎年度審査は行うものの、原則3年間という前提で支援を行っている。
   
   芸術団体の中には芸術のもつ公共性や社会性に対する意識が欠落している場合もある。支援方針などを明確にすることにより、単によい作品をつくるだけでなく、文化庁が芸術団体にどのような役割を求めていくのかというメッセージが伝わるようにすべきではないか。地域の実情を地域自身に実証的に把握させていく取組もまだ不十分ではないか。芸術団体は作品をつくることだけで精一杯の状態なので、支援及び評価に際して義務を課す場合の留意点も考えなければならない。
       また、観客動員数等の指標は、納税者に近い存在である地方公共団体にとって、より切実な評価指標なので、国としては中長期的なビジョンに重点を置いて支援を行うことが必要ではないか。
   
   演劇の分野では団体数が多いので、個々の劇団を支援するよりも、基盤整備のための支援を行った方がよい。例えば、指導者を目指して海外留学を行う若者も増えていることに着目して、将来の指導者を養成するための施策を推進してはどうか。また、芸術拠点形成事業の審査に当たっては、劇場から地域へ出かけて行うアウトリーチ的な活動をもっと考慮してはどうか。
   
   一極集中は文化に最もなじまないものであり、各地に文化の拠点を形成して、バランスよく日本文化を発展させることが重要である。文化による観光立国の実現という視点は非常によいと思うが、今の取組状況を教えてほしい。
   
   まず日本文化の魅力の向上を図るため、最高水準の芸術団体への重点支援を図るとともに、伝統文化、地域文化に関する施策の充実を図っている。また、「日本文化発見・発信−地域発信力強化事業−」を新規要求するなど、これらの日本文化の国内外への発信に努めているところである。
   
   舞踊などの評論家も東京に集中しているため、地方での取組が適切に評価されにくくなっている。評論家の一極集中の是正も考える必要がある。記録保存の問題については、どこに何があるかを一覧できるようにするとともに、保存のための経費を支援することが必要である。
   
   資料2の海外新進芸術家招へい事業(2ページ)の内容はどのようなものか。対象人数が文化交流使よりも多いが、派遣と受入れのバランスについてどのように考えているか教えてほしい。
       音楽の教職課程に和楽器が取り入れられたが、地方では指導者が不足しているので対応策を講じる必要がある。
   
   海外新進芸術家招へい事業は、外国の芸術家を我が国に受け入れて研修を行う取組を支援するものである。日本の現状を十分理解してもらうためのものであり、発信事業の一環として考えている。
       地方での評論家の不足の問題については、本年は、関西における芸術祭公演の審査員として多くの方に参加してもらったりしているが、この場でも御意見を伺って改善を図りたい。
   
   芸術拠点形成事業は、人材の流動化を促す上でも重要であるので、東京以外の劇場を主な対象とすべきである。また、人材育成などの基盤整備というのは、むしろ頂点の伸長に深く関わるものである。3年単位での継続的な支援を行う場合には、公演の実施だけでなく、人材育成や作品準備などにも目配りするなど、中長期的な視点を踏まえてほしい。

(4)    事務局より、次回部会については10月に開催するとの説明があり、閉会した。


(文化庁長官官房政策課)

ページの先頭へ