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文化審議会

2003年7月24日 議事録
文化審議会文化政策部会(第3回)議事要旨

文化審議会文化政策部会(第3回)議事要旨


1. 日  時:平成15年7月24日(木)10時00分〜12時00分

2. 場  所:霞が関東京會館シルバースタールーム(霞が関ビル35階)

3. 出  席  者:
(委員) 高階部会長、津田委員、中村(紘)委員、川本委員、木村委員、熊倉委員、都筑委員、根木委員、山野委員、米屋委員
(文部科 学省・文化庁)池坊大臣政務官、河合文化庁長官、銭谷文化庁次長、森口文化庁審議官、寺脇文化部長、木曽文化財部長、高塩政策課長、河村芸術文化課長ほか関係官

4. 概   要
(1)    配付資料についての確認があり、前回議事要旨について、意見がある場合は1週間以内に事務局に連絡することとされた。

(2)    米屋委員より、文化芸術団体の財務・会計の状況について、資料に沿って、芸術文化は市場だけに委ねるわけにいかないと同時に公共セクターが全てを担うべきでもないこと、損益分岐点に達しない公演であっても支援を行うことが新しい芸術の創造につながること、支援に当たっては対象費用の見直しとともに活動全体を視野に入れた施策が求められることなどについて説明が行われるとともに、作品製作と公演回数のモデルについての説明が行われた。
    あわせて、海外における支援の状況に関し、イギリスのアーツカウンシルと、アメリカの全米芸術基金(NEA)の取組について説明が行われた。

(3)    津田委員より、(社)関西経済連合会の文化・観光委員会劇場文化研究会ワーキングチームがとりまとめた報告書「劇場文化をもっと人と街のなかへ」について説明が行われた。

(4)    事務局より、本部会におけるこれまでの主な意見について説明が行われた。その中で、前回会議における委員の発言を受けて、文化活動への支援に積極的な企業に対する表彰について、文化庁で検討中である旨の説明が行われた。

(5)    以下の意見交換が行われた。
   劇場における芸術監督は非常に重要な役割を担っており、幅広い分野に目配りできるなどの適切な人材を配置することが必要である。
   
   現在のように作品を対象にした支援よりも、インフラに対する支援や、様々な活動が自立していくための支援、地域の中での幅広い活動を確保するための支援を行う方が望ましいのではないか。
   
   日本の聴衆の意識を考えれば、オペラについて再演やロングランは望めないと思うので、装置・衣装等の減価償却が難しいという問題がある。また、他地域で製作された公演に対する排他的な意識も感じられる。
   
   イギリスやアメリカでは、教育プログラムに非常に力を入れている。我が国でも、公演助成だけでなく、新しい観客の開拓やリピーターの確保のための支援について考えていく必要がある。
   
   定期公演だけでなく、巡回公演や再演、観客の育成や人材育成のための経費についても支援の対象とし、事業費補助としての大枠は維持しつつ、活動本位から団体本位へと支援対象の転換を考えてはどうか。このことにより、団体も自らの目的・目標を明確化せざるを得なくなり、団体の自己評価体制の確立にもつながっていくのではないか。
       また、文化庁の施策評価についても、定期公演等のみを念頭に置いた施策であれば、活動の質の評価という難しい課題を抱えることとなるが、団体の幅広い活動を対象とすれば、団体の目的・目標が明確になるため外形的な指標設定が可能となり、評価もやりやすくなるのではないか。
   
   演劇の分野では団体の数が多すぎるので、一定の質を確保するため、俳優のための再教育の場を設けてほしい。
       また、重点支援については支援対象件数を絞り込むとともに、予算の単年度主義の見直しを行うことも重要な課題である。
   
   これまでの文化行政では、幅広い対象に支援を行う結果、各団体にとって中途半端な支援になってしまった面がある。思い切って特定の対象に徹底的な支援を行うという方法もあるのではないか。また、将来の聴衆・観客を育てるという視点が重要ではないか。
       
   極論をいえば、観客から支持を受けているものに対して重点的に支援すべきであり、支持されていないものは淘汰されていくべきではないか。
       
   我が国の現状では、文化の裾野はまだ十分に広がってはいないのではないか。また、スターの存在がその分野の活性化につながるため、現在活躍している芸術家に対して国が重点的な支援を行ってはどうか。子どもたちにもわかりやすくなるように公演の際に工夫することや、観客の評価に基づく支援と同時に実験的な取組やけいこ場等への支援を行うことにも留意する必要がある。
   
   公演のマネジメントについては、プロとアマとを明確に区別することが可能である。我が国の演劇の分野は、多くの劇団がばらばらに存在しているのが現状だが、これらを階段状の構造にして、その構造の要所要所にマネジメントに優れた人材を配置できれば、スターの育成や分野の活性化にもつながるのではないか。
   
   日本文化の厚みを保つためには、伝統芸能のように保護が必要なものや、オペラ・バレエのように定着途上にあるものに対して、国として相当の支援を行うことが必要ではないか。また、劇場や団体等による共同製作に対して重点的に支援するということも考えてよいのではないか。
   
   様々な機関の間を調整して、連携事業を引っ張ることのできる人材が必要である。また、子どもたちが芸術に関心を持つように、子ども向けのプログラムを作成することが重要である。

(6)    事務局より、次回部会については9月下旬に開催するとの説明があり、閉会した。


(文化庁長官官房政策課)

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