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文化審議会

2003/04/23議事録
国語分科会読書活動等小委員会(第1回)議事要旨

国語分科会読書活動等小委員会(第1回)議事要旨

平成15年   4月23日(水)
14時   〜   17時
霞山会館   「霞山の間」

〔出席者〕
    (委員)甲斐主査,舘野副主査,阿刀田,臼井,岡部,勝方,手納,辺見各委員
       (計 8名)
  (文部科学省・文化庁)寺脇文化部長,山口国語課長,氏原主任国語調査官,鈴木国語調査官ほか関係官

〔配布資料〕
       文化審議会国語分科会読書活動等小委員会委員名簿
     文化審議会国語分科会読書活動等小委員会の議事の公開について(案)
     読書活動等小委員会の進め方(案)
     「これからの時代に求められる国語力について―審議経過の概要―」の要約
     読書活動の現状に関する資料
〔参考〕
       文化審議会国語分科会運営規則
     文化審議会国語分科会の議事の公開
     子どもの読書活動の推進に関する基本的な計画

〔経過概要〕
       事務局から,出席者(委員及び文化庁関係者)の紹介があった。

     委員の互選により,甲斐委員が読書活動等小委員会の主査に選出された。また,甲斐主査から「文化審議会国語分科会運営規則」に基づき,主査の代理者として,舘野委員が副主査に指名された。

     配布資料を確認した後,配布資料2及び3について事務局から説明があり,それぞれ了承された。

     文化部長からのあいさつの後,事務局から配布資料4について説明があった。

     今期から新しく委員となった岡部委員から意見開陳があった。
(同じく今期から新しく委員となった辺見委員の意見開陳は次回実施。)

     事務局から配布資料5について説明があった。それを受けて,その後自由に意見を交換した。

     第2回の小委員会は,5月8日(木)の午前に開催することが確認された。

     協議における主な意見は次のとおり。(〇は委員,△は事務局を示す。)

       地域レベルで今までに行われている読書活動の事例,文化庁や文部科学省で実施した調査結果を知りたい。できれば委員会開催の前に資料として見ておきたい。

     国立教育政策研究所教育課程研究センター「読書活動・学校図書館関係資料」は便利な冊子なので,準備してほしい。

     臼杵市では「心の教育」の重視から「臼杵っこ・心の教育推進プラン」を策定し,「正直」「努力」「根気」を目標の軸として10支援策を立ち上げた。10支援策中,5支援策が読書活動にかかわるものである。特に,音読を重視し,素読も取り入れた活動を進めていきたい。具体的には,荘田平五郎記念こども図書館を開設し,読書だけにとどまらず,礼儀や道徳心も学べる場とした。また,12学級以上の2校に司書教諭を置くほかに,臼杵市内19校すべて,民間に図書司書を募り,臨時雇いとして配置した。子供たちは忙しく,多様化しているので,学校教育の中で読書活動を推進するのは限界があり,社会教育の観点が必要と考えている。

     素読は既に行っているのか。どのような本を使っているのか。

     「臼杵塾」を休みの土曜日を利用して開き,低学年には簡単な音読を,高学年には素読をと計画中である。子供が興味を持つ本を選別している最中である。土曜日が休みになり,読書にも利用できる。もっと土曜日を読書活動推進に利用すべきではないかと考えている。

     司書の配置に関してもう少し説明をしてほしい。

     司書教諭では授業を担当するので,実質的には図書の仕事を行えない状態になる。そこで民間人を学校司書にと募集したところ,多数の応募があった。人がきちんと図書館にいると,休み時間でも子供たちは図書館にやってくるようになる。

     司書として携わる人が魅力的で,一人一人の子供の視線で面白さや教養的な雰囲気を感じさせられることが必要で,優秀な人材を結集すべきである。

     自治体によって学校図書館の格差が大きい。司書教諭の授業時間数軽減のために非常勤講師を雇用しているところもあれば,司書教諭を任命するだけのところもある。地元からの図書の寄付や教員と図書委員の生徒とが一体となって活動しているところもある。また,学校図書館の学校図書標準の到達度は30%ほどであるが,都道府県別の調査結果は出されていない。良い方向に持っていくためには,例えば,学校図書標準の達成度を都道府県別など細かい単位で公表し,住民による評価を受けるようにすれば良いのではないか。

     「司書教諭」でなくてはいけないと考えず,民間の優秀な人を司書として活用することをもっと考えてはどうか。

     地方の先進的事例について,事務局で調べてきてほしい。

     図書館の利用は増える傾向にあるのか。

     公立図書館の利用者,貸出冊数は増えている。

     「朝の読書」の本は自分で買ってくるものが多く,学校図書館の利用の増加にはすぐには結び付かない。公共図書館は新しい本も増え,貸出冊数の増加に結び付いているが,学校図書館では更新がなかなか進まない。

     学校図書館の利用が増えないのは,「これを読みなさい」という発想での蔵書構成になっていて,子供たちが読みたい本を提供できていないことに原因があるのではないか。読みたい本が提供され,そこからレベルアップしていけるような蔵書構成であってほしい。

     「読みたい本がなかった」という不読の理由については,1全く読みたいと思う本がない,2読みたい本はありながら入手できない,という二つの中身があるので注意しないといけない。ただし,小・中・高校生の場合は,前者と考えられよう。

     読書指導をしたくても本屋が近くになかったり,本に関する情報が少ない地域もあるので,都市の感覚だけでは不十分であろう。

     読書には,本に親しみ,本を読むという「教養の読書」と調べものをするための「情報収集の読書」とがあり,学校図書館にも,「読書センター」という性格と「学習センター」という性格とが求められている。この小委員会で扱う読書は,どのようにとらえたらよいのか。もしも,学校図書館の利用や貸出冊数を増やすだけならば,調べ学習を増やすことで可能ということになってしまう。

     ある程度区別して考えるにしても,「教養の読書」と「情報収集の読書」の両方を扱うのが良いのではないか。

     両方を扱うにしても,「教養の読書」と「情報収集の読書」とでは,7:3(あるいは8:2)くらいの割合で「教養の読書」を中心に協議していくべきではないか。なお,情報収集という点では,図書館は参考図書が充実していないといけないだけでなく,司書は参考図書についての専門家として,レファレンスサービスを行える必要があろう。

     社会人になって急に本を読み,調べてまとめるような知的活動を求められてもできない。どれだけ子供の時に,本に親しみ,慣れているかが大切ではないか。

     高校くらいになれば,本を使って調べることの比重が高くなるかもしれないが,小学校では本に親しませることに重点を置くべきではないか。

     この小委員会では,お金や人の問題がかかわっても,具体的方策を「提案」する方向で議論すべきではないか。例えば,「サンジョルディの日」のように,出版関係を巻き込んだ運動を展開するなどの提案は可能なのか。

     「提案型答申」を求められているので,どこまでできるかは分からないが,抽象的なものでなく,具体的なアイデアを出していただきたい。また,国語教育等小委員会でも,「本に親しむ」ことが第一であり,「本に親しめる子供をどのように育てるか」を考えていくことが重要だという御意見があった。この小委員会でも積極的に御審議いただくことが重要であり,国語教育と重なる部分が出てきてもかまわない。

     読書感想文を書いた子供を積極的に評価することなども必要ではないか。

     文部科学大臣への「答申」では,「民」に対しての提案は効果が余り期待できず,「公」に対しての提案になり,公立図書館や学校図書館に触れるだけになってしまうのではないか。

     「民」に対する提案の実効性のためにも,出版社の責任者に対して,本離れの原因や「官」の手助けとして望ましいことなどについて考えを聞いてみたい。ヒアリングをしてはどうか。

     ヒアリングの候補として,出版界の人,市川市の図書館システム推進者,へき地で読書指導をやっている人などを考えてはどうか。

     ヒアリングは,第3回,第4回辺りで考えたい。

     「何を読んだらよいか分からない」子供の多さが指摘されているが,学校できちんと指導すべきではないか。

     子供たちが読みたい本を置いてあるのか確認したいし,一般的な学校図書館では,どのような本が置いてあるのか知りたい。

     現在の学校の時程では図書館に行く時間が確保できないのが現実ではないか。「読書の時間」を設定することなども考えてはどうか。

     幼稚園・保育園での幼児教育における,読み聞かせ活動や本を読ませる活動の実態を知りたい。

     乳幼児教育としては,家庭には立ち入り難いだけに,保育園や幼稚園といった社会的な場での啓発や講習をやっていく必要があるのではないか。

     乳幼児への読み聞かせは,福祉担当と連携して教育委員会で指導していくのが良いのではないか。例えば,臼杵市では福祉担当と連携して今年度からリサイクルによるブックスタートを始めている。


(文化庁文化部国語課)

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