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3. 条約との関係
 
  (1)文学的及び美術的著作物の保護に関するベルヌ条約(ベルヌ条約)
 
   
  ア. 複製権の制限
     複製権(録音、録画を含む)について、スリー・ステップ・テストと呼ばれる3要件(1特別の場合について、2著作物の通常の利用を妨げず、3その著作者の正当な利益を不当に害しないこと)を満たすとき、国内法令において制限・例外規定を定めることを認めている(第9条第2項)。
   
  イ. 放送権の制限
     放送権については、著作者の人格権及び協議不調のとき権限のある機関が定める公正な補償金を受ける著作者の権利を害さないことを条件に、国内法令において制限・例外規定を定めることを認めている(第11条の2(2))。
   
  ウ. 制度の運用実績
     録音権については、音楽及び歌詞の著作者と利用者との間に協議が成立しないとき、権限のある機関が定める公正な補償金を受ける著作者の権利を害しないことを条件に、国内法令によって、制限・例外規定を定めることを認めている(第13条)。
   
  エ. その他
     1967年(昭和42年)のストックホルム会合での合意により、伝達系の権利(公の上演・演奏権、放送権、公の朗読権、音楽の録音権、映画化権等)についても、「小留保(minor reservation)」に基づき、国内法令において、制限・例外規定を定めることを認めている。
 
  (2)実演家・レコード製作者及び放送機関の保護に関する国際条約(実演家等保護条約:ローマ条約)
   私的使用、時事の事件の報道に伴う部分的使用、放送機関が自己の手段により自己の放送のために行う一時的固定、教育目的又は学術的研究目的のためのみの使用の4つの行為について、国内法令により、条約が保障する保護の例外を定めることを認めている(第15条1項)。
 また、実演家等の保護の例外については、同条約第15条第1項のほか、著作権の保護に関して国内法令に定める制限と同一の種類の制限について、国内法令により定めることを認めている(第15条第2項)。ただし、強制許諾については、この条約に抵触しない限りにおいてのみ定めることができると規定し(第15条第2項)、例えば、実演家の最低限の権利を定めた第7条第1項に抵触するような強制許諾制度は認められない。注釈1
 
  (3)著作権に関する世界知的所有権機関条約(WCT)
   複製権及びその他の権利について、ベルヌ条約と同様、スリー・ステップ・テストの3要件を満たすとき、国内法令において制限・例外規定を定めることを認めている(第10条)。
 
  (4)実演及びレコードに関する世界知的所有権機関条約(WPPT)
 
  ア. 保護の例外
     著作隣接権の保護に関して国内法令で認める制限・例外規定と同一の制限を定めることを認めている(スリー・ステップ・テストの3要件を満たすことが条件)(第16条)。
   
  イ. 実演家等保護条約との関係
     WPPTに加盟していても、実演家等保護条約の加盟国は、同条約の義務を免除されないこととなっている(第1条(1))。
 
  (5)知的所有権の貿易関連の側面に関する協定(TRIPS)
 
  ア. 著作権
     スリー・ステップ・テストの3要件を満たすとき、制限・例外規定を定めることを認めている(第13条)。
   
  イ. 著作隣接権
     実演家等保護条約が認める範囲内でのみ、制限・例外規定を定めることを認めている(第14条第6項)。
 
 
注釈1 第7条 [実演家の権利]
  1 この条約によって実演家に与えられる保護は、次の行為を防止することができるものでなければならない。
(a)
(b)
(c) 次に掲げる場合に、実演家の承諾を得ないでその実演の固定物を複製すること。
(i) 最初の固定自体が実演家の承諾を得ないで行われたとき。
(ii) 実演家が承諾した目的と異なる目的のために複製が行われるとき。
(iii) 最初の固定が第十五条の規定に基づいて行われた場合において、同条に掲げる目的と異なる目的のために複製が行われるとき。


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