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資料3−1
我が国裁定制度の国際著作権条約上の位置づけ
1.強制許諾、法定許諾、自由使用、著作権の制限の概念
国際著作権条約上の概念である「強制許諾」、「法定許諾」、「自由使用」、「著作権の制限」については、一般に次のように整理されている。
(1)
強制許諾(
Compulsory License
)
特定の場合に、事前に権限ある機関又は著作権団体に申請し、当該機関・団体が許諾を与えることで、著作物を利用することができる制度。
(2)
法定許諾(
Statutory License
)
特定の場合に、権利者への事前の通報を行うことなく、著作権使用料を支払うことによって、法律が許諾を与えることで、著作物を利用することができる制度。
(3)
自由使用(
Free Use
)
特定の場合に、許諾を得ることなくかつ無料で、著作物を利用することができる制度。
(4)
著作権の制限(
Limitation of Copyright
)
著作物の利用に関して著作者の排他的権利を制限する著作権法上の規定。主なものとして、強制許諾、法定許諾、自由使用がある。
WIPO著作権・著作隣接権用語辞典、1980年WIPO、大山幸房訳英・仏・和対訳版・社団法人著作権資料協会1968年発行参照。
2.我が国裁定制度の条約上の位置づけ
我が国著作権法第67条から第69条までに規定する「裁定制度」は、国際著作権条約上は「強制許諾」に位置付けられるが、国際条約上の「強制許諾」の位置づけは以下のとおり。
(1)
ベルヌ条約上の位置づけ
放送(第11条の2(2))及び録音(第13条(1))について強制許諾が認められている。
また、複製権(第9条)については、「特別の場合について」、「著作物の通常の利用を妨げず、かつ、その著作者の正当な利益を不当に害しない」条件において、強制許諾も含めた著作権の制限が認められている。
さらに、1967年のストックホルム会合での合意により、伝達系の権利(公の上演・演奏権、放送権、公の朗読権、音楽の録音権、映画化権等)についても、「小留保(
minor reservation
)」に基づき、加盟国は著作権の制限を法律に定めることは禁じられていない。
(2)
ローマ条約上の位置づけ
著作権の保護に関して国内法令に定める制限と同一の種類の制限を定めることができる(第15条第2項)。
一方、第15条第2項のただし書きで「強制許諾は、この条約に抵触しない限りにおいてのみ定めることができる」と制限されている。
(3)
WCT、WPPT、TRIPS上の位置づけ
○
これらの条約には、強制許諾について特段の定めはないが、「スリー・ステップ・テスト」に基づく著作権等の制限が認められている。このため、「スリー・ステップ・テスト」に基づき、強制許諾を定めることも許されると解される。
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