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多くの指定管理事業者は、旧仲介業務法の時代に文化庁長官から許可を得て業務を実施していた団体であるところから、使用料規程を定めるに当たっては、従来から利用者団体と十分協議をし、合意又はほぼ合意された規程案が申請され、文化庁長官によって認可されるという実態があった。
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このことから、管理事業法の施行後も何回か指定管理事業者から使用料規程の変更の届け出があったが、いずれの場合にも事前に利用者代表(利用者代表が存在しない場合は関係の利用者団体)と十分協議したものであり、裁定制度が実行されるという事態には至っていない。
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また、利用者代表の問題であるが、管理事業法では指定管理事業者に利用者代表の求めに応じ使用料規程に関し協議を行う義務を課しているが、利用者側がこの制度を有効に活用するためには、利用者側も利用者代表といいうる組織を作るために努力する必要がある。また、利用者側には様々な意見があると思われるが、それらの意見を集約し利用者側として1つの意見にまとめることも利用者代表に課せられた義務である。
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なお、指定管理事業者としての指定は、管理事業者の使用料規程上の利用区分に基づき行うこととなっているが(法第23条第1項)、指定管理事業者は、利用者団体の意見を踏まえ、合理的と判断される場合には、利用区分を利用実態に適合するよう変更していく必要がある。
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更に、管理事業法上、文化庁長官は管理事業法第23条第1項括弧書の規定に基づき、著作物等の利用の状況を勘案し利用区分を細分化した方が合理的であると認めるときは当該細分化した利用区分において指定管理事業者を指定することが可能であるので、利用区分が利用実態に適合しておらず、著作物等の円滑な利用の妨げとなっている場合であって、管理事業者に利用区分変更の意思が無い場合には、文化庁が法律で認められた権限を適切に行使することで、これを改善することができると考えられる。
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以上の点から、現状では、制度改正の必要性はないと考えられる。ただし、文化庁は、協議・裁定制度が円滑に機能するよう、指定管理事業者に対しては、利用実態の変化に沿った使用料規程上の利用区分の見直しや、利用者側に対しては利用者代表としての組織化や運営のあり方について、指導助言を行っていくことが必要である。
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