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資料3



ライセンシーの保護に関する論点の整理について


.著作権の譲渡人が負うべき権利行使の制限(ライセンシーの保護の範囲)


   

.ライセンシーを保護するために、譲受人に課す必要がある行為制限の範囲をどのように考えるか。


(論点)
       ライセンス契約から生じるライセンサーの債務のうち、「ライセンシーが著作物を利用することに対し権利行使できない」という債務以外の資料425及びその他の債務との関連で、どう考えるか。
   
    (ア) 2について
   独占性について譲受人が制限を負わなければ、譲受人は第三者に利用許諾を与えることができると考えてよいか。
     
  (イ) 3について
   サブ・ライセンスについて譲受人が制限を負わなければ、譲受人はサブライセンシーC’に対し権利行使できると考えてよいか。
     
  (ウ) 4について
   譲受人が保守保証の「能力」を有するかどうかにより、債務を負担するかどうかを決める必要があるか。
     
  (エ) 5について
   著作者人格権は著作者の一身専属権であるので、譲受人が制限を受けるということはそもそもあり得ない。このような譲受人が有しない権利に係る制限は、当然に譲受人に課す必要はないと考えてよいか。



.対抗要件の必要性の有無及びその方法(保護すべきライセンシーの特定)

ライセンシーに対抗力を付与する(ABD案)
ライセンシーに対抗力を付与しない(C案)


  2−1

.ライセンシーの保護のあり方は、1対抗要件によるものと、2対抗要件によらないもののどちらが望ましいか。


(論点)
   2について:  (ア)    「破産管財人の解除権は、第三者に対抗することができる要件を備えているときは適用しない」という破産法見直しとの関係をどう考えるか。  
     
  (イ)    ライセンシーの保護は著作権の譲渡契約の当事者の事情次第(譲受人がライセンス契約の存在を承知していたかどうか)で決まることになり、ライセンシーが主体的に関与する余地がないことになるがどう考えるか。
     
  (ウ)    ライセンシーは、著作権の譲受人がライセンス契約の存在を承知していたかどうかについて立証責任を有することになるがどうか。


  2−2 .対抗要件による保護(A、B、D案)の場合、1対抗力具備の条件として、公示による制度(登録:B案)と、2公示を要しない制度(A、D案)のどちらが望ましいか。

(論点)
     (ア)    公示制度が導入されたとしても、企業秘密・費用・手続の煩雑さ等の点から、実効性がないという意見があるがどうか。
     
  (イ)    独占性を保護するのであれば公示が必要であるとの意見があるがどうか。
     
  (ウ)    公示を要しない場合、譲受人が著作権譲渡契約時にライセンス契約の存在を了知できないかもしれないが、譲受人の受ける不利益は、ライセンシーに対し権利を主張できないだけであるので受忍限度内であるとする意見についてどう考えるか。
     
  (エ)    譲受人が著作権譲渡の登録を行うことによって、はじめて第三者であるライセンシーに対抗できることとのバランスについてどう考えるか。
         (参考)著作権の移転の登録件数(平成14年度)
               ・   プログラムの著作物   67件
  ・   その他の著作物         91件
     
  (オ)    ライセンス契約では外国法を準拠法としている場合が多いので、米国等との制度の整合性を考える必要があるとの意見についてどう考えるか。
     
  (カ)    公示制度が必要とした場合、どのような制度が適当か。
   ○    登録申請は原則としてライセンサー・ライセンシー両者による申請とするか。
   公示する事項は、契約当事者の氏名等、対象とする権利の内容、利用方法、利用条件等が考えられるが、どの範囲までとするか。
   契約書そのものを申請書に添付する必要があるか。当該契約書の開示についてどう考えるか。


  2−3 .公示不要の場合、1書面契約によるA案と2事業化によるD案のどちらが望ましいか。

(論点)
    1について:    書面契約をもって保護する場合、契約の成立及び成立日を証明することができるよう、確定日付のある証書であることとすべきかどうか。
   
    2について:
(ア)    事業を行っていることの判断基準をどう考えるか。

(イ)    1との比較において、事業が開始されていればライセンス契約の存在が客観的に明らかとなる場合が多いという利点があるという意見があるがどうか。



3.ライセンス契約の承継について

   .これまでの議論等を踏まえ、ライセンス契約の承継についてどう考えるか。

(論点)
    (1)    ライセンシーが対抗要件を有している場合(A、B、D案)

(ア)ライセンサーとしての地位が譲受人に承継される

   
考えられる効果
   ○ 譲渡人は、ライセンス契約から離脱する。
譲受人は、譲渡人の債権・債務を承継する(契約の承継によりBはライセンス契約に基づく解約が可能(例えば使用料の不払い))。
ライセンシーは、引続き同様の条件で事業を営むことができる(Cのライセンシーとしての地位は保護される。)。

   
問題点
   Bにとって履行不可能な債務(例:保守保証、クロスライセンス、人格権の不行使等の譲受人が有していない能力・権利に係る債務)がある場合どう考えるか。
   例えば、譲受人が履行可能な債務については承継されることとし、譲渡人、譲受人及びライセンシーの三者の契約に委ねると考えてよいか。


(イ)ライセンサーとしての地位は譲受人に承継されない

   
考えられる効果
   ○ 譲渡人は、ライセンス契約から離脱しない。
譲受人は、譲渡人の債権・債務を承継しない。
譲受人は、ライセンシーに対し使用料を請求できない。
ライセンシーは、少なくとも譲受人から権利行使されることはない。

   
問題点
   ○ ライセンシーは引続き同様の条件で事業を営むことができるとは限らないため、ライセンシーの保護が不十分ではないか。

     
  (2)    譲受人が承知している場合にはライセンス契約を承継させる場合(C案)
   C案(譲受人が善意無過失でライセンス契約を承知していない場合には譲受人にはライセンス契約を承継せず、譲受人が軽過失であってライセンス契約を承知していない場合には譲受人はライセンス契約を承継するものの独占性については承継せず、譲受人に故意又は重過失がある場合には譲受人は独占性も含め承継する。)の考え方でよいか。



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