(1)国際的な法的枠組みを構築し活用する
「模倣品・海賊版拡散防止条約(仮称)」の早期実現を目指す
P50]
我が国が提唱した「模倣品・海賊版拡散防止条約(仮称)」について、米欧などとの集中的な協議が開始されたことを踏まえ、一層国際的な関心を高めるとともに、関係国・地域との協議において、方針や見解を迅速かつ明確に示し、議論をリードし、関係省庁が一体となって、早期の実現に向けた取組を加速する。
(警察庁、総務省、法務省、外務省、財務省、文部科学省、農林水産省、経済産業省)
自由貿易協定(FTA)/経済連携協定(EPA)等を活用する
P50]
自由貿易協定(FTA)/経済連携協定(EPA)や投資協定などの二国間・複数国間協定に、知的財産権の実効的なエンフォースメントの確保のための条項を盛り込むよう積極的に交渉する。また、エンフォースメントも含めた実際の執行状況等について協定上のメカニズムの場等を利用してレビューを行う。
(警察庁、外務省、財務省、文部科学省、農林水産省、経済産業省、関係府省)
(2)侵害発生国・地域への対策を強化する
侵害発生国・地域に対し具体的要請を行う
P51]
アジア諸国などの侵害発生国・地域に対し、デザイン模倣対策の強化、執行の強化、再犯防止の強化、周知商標の認定促進、水際における権利者負担の軽減、国際郵便における我が国の輸入制限の周知徹底及び当該郵便の引受検査の徹底等、具体的な制度改善や取締りの実効ある強化などについて、閣僚レベルを始め様々なレベルにおいて、また官民合同ミッションの派遣などを通じ、強力に要請する。
(総務省、外務省、財務省、文部科学省、農林水産省、経済産業省、国土交通省、関係府省)
コンテンツ海外流通マーク(CJマーク)等の活用を促進する
P51]
海賊版の摘発活動を容易にするため、コンテンツ海外流通マーク(CJマーク)の周知・普及やCJマークに係る商標登録国の拡大、調査・摘発活動を支援する。また、国内外における摘発活動の際の真贋判定を容易にするため、権利者・権利者団体や製造業者・流通業者に対し、その有効性を検証しつつ、偽造防止技術の活用を奨励する。
(警察庁、外務省、財務省、文部科学省、経済産業省)
(3)国際的な連携を強化する
諸外国・地域との連携を強化する
P52]
侵害発生国・地域への働き掛けなど模倣品・海賊版対策に関する各種取組を効果的に推進するため、以下の取組などを通じ、諸外国・地域との連携を強化する。
- a)首脳間・閣僚間を始めとする日米間の二国間協議などを積極的に活用するとともに、第三国における知財保護に関する情報交換の推進などを通じ、米国との連携を強化する。
- b)首脳・閣僚レベルの定期・個別協議や「知的財産権に関する日・EU対話」などを積極的に活用するとともに、第三国における知財保護に関する情報交換の推進などを通じ、EU及び欧州各国との連携を強化する。
- c)「日中ハイレベル経済対話」「日中経済パートナーシップ協議」などを活用し、知財権の保護・運用の強化を働き掛けるとともに、中国との対話と協力を強化する。
(外務省、財務省、文部科学省、農林水産省、経済産業省、関係府省)
多国間の取組をリードする
P52]
主要国首脳会議(G8サミット)を始めとして、経済協力開発機構(OECD)、アジア太平洋経済協力会議(APEC(エイペック))、アジア欧州会合(ASEM)、世界貿易機関(WTO)、世界知的所有権機関(WIPO)、世界税関機構(WCO)などの国際機関・フォーラムにおいて、模倣品・海賊版問題が首脳を始めハイレベルで取り上げられるよう準備や働き掛けを行うとともに、以下のような加盟国・参加国の間における協力や取組を積極的に推進する。
- a)G8サミット・プロセス及びG8知財専門家会合を積極的に活用し、税関当局間における情報の交換・共有するための国際的ネットワークの構築、途上国への技術支援、啓発活動などを推進し、主要先進国間における連携を強化する。
- b)OECDによる模倣品・海賊版対策プロジェクトについて、デジタル・コンテンツに対する海賊行為に係る報告書の取りまとめに向け、諸外国と連携しつつ議論を推進する。
- c)APEC(エイペック)において、「APEC(エイペック)模倣品・海賊版対策イニシアティブ」に基づき新たに策定された「知的財産権に関する能力構築ガイドライン」を含む関連ガイドラインを周知するとともに、同ガイドラインに沿った取組、各国・地域における知的財産権サービスセンターの早期設置の働き掛け、植物品種保護に関するセミナーの実施に向けた取組などを推進する。
- d)ASEMにおいて、ASEM関税局長・長官会議での議論等を通じ、エンフォースメントを含む知財権保護のための活動を推進する等、アジア・欧州間での協力を強化する。
- e)WTOの対中国経過的レビューメカニズムや貿易政策検討制度(TPRM)などを積極的に活用し、アジア諸国・地域に対して模倣品・海賊版の取締りを強化するよう要請するとともに、TRIPS理事会におけるエンフォースメントの議論に積極的に参加する。
- f)WIPOにおいて、エンフォースメント諮問委員会の場などを活用し、模倣品・海賊版問題を主要議題として採り上げ、積極的に議論を推進する。
- g)税関の国際機関であるWCOにおいて、知的財産侵害物品の水際取締りに関する基準(SECURE)の策定に向けた議論に積極的に参画するとともに、WCOに加盟する途上国が当該基準を充たすことが可能となるよう、WCOによる能力構築(キャパシティビルディング)を支援する。
(外務省、財務省、文部科学省、農林水産省、経済産業省、関係府省)
(4)外国市場対策に関する基盤を整える
模倣品・海賊版対策の能力構築を支援する
P54]
2003年8月に決定されたODA大綱を踏まえ、個別の援助計画において必要性及び優先度に応じ開発途上国の知財制度の整備・執行の強化を支援する。また、模倣品・海賊版対策に積極的に取り組むアジア諸国の政府関係者や民間の団体・企業等に対し、各府省が実施している知財権の保護に関する能力構築を、「知的財産保護協力・能力構築支援戦略」(模倣品・海賊版対策関係省庁連絡会議決定)に基づき、我が国企業と協力しつつ、関係府省や国際協力機構(JICA(ジャイカ))、JETROなどの関係団体が協調して実施し、年度終了後に事業内容のレビューを行う。
(警察庁、総務省、法務省、外務省、財務省、文部科学省、農林水産省、経済産業省)
模倣品・海賊版対策に関する情報発信を強化する
P54]
2008年度において、関係府省の連携を確保しつつ、各種協議や国際会議などを通じ、我が国の模倣品・海賊版対策に関する制度や取締実績、官民による取組事例などについて、積極的に諸外国・地域に紹介する。また、対策に関する相互理解の促進、透明性向上という観点から、取締実績など取組の実施状況に関する情報の整理・公表について、その状況を勘案しつつ、諸外国・地域の政府に対して働き掛ける。
(警察庁、総務省、法務省、外務省、財務省、文部科学省、農林水産省、経済産業省)
模倣品・海賊版の被害の実態を調査する
P54]
海外市場における我が国企業の模倣品・海賊版の被害が未だ深刻であることにかんがみ、模倣品・海賊版による被害の実態などを調査・分析し、その結果を広く公表するとともに、国際交渉にも活用する。また、我が国の企業が侵害国において訴訟提起などの権利行使をするために必要なノウハウなどの情報を収集し、資料としてまとめ、企業に配付する。
(外務省、文部科学省、経済産業省、関係府省)