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インターネット・オークションについて
平成19年7月19日
ヤフー株式会社
平成19年6月29日に開催された文化審議会著作権分科会法制問題小委員会(第5回)での配付資料4「権利制限をめぐる課題に関する審議等の進捗状況」において、「ネットオークションにおいて美術作品等の画像を掲載すること」が新規事項として挙げられました。これに関連し、下記のとおり、インターネット・オークションについての現状説明および弊社の意見を申し述べます。
記
1. |
インターネット・オークションについて
(1) |
サービスの概要
インターネット・オークションにおいて事業者が利用者に対して提供している仕組みは次のとおりであり、一言でいうと商品売買のための個人広告掲載サービス、あるいは画像が投稿できる電子掲示板ということができます。
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商品や役務の提供を希望する者が、その商品や役務に関する情報(文字や写真)をインターネット上に掲載する。 |
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インターネット上の掲載を見て商品や役務の購入を希望したいと考えた者が、希望する購入価格を入力する。 |
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一定時間経過時点で最高の希望価格を入力した人の連絡先メールアドレスが、商品や役務の提供を希望する者に通知される。 |
したがって、インターネット・オークション事業者は、売手や買手の代理人ではなく、また、契約の仲介や商品は代金のやりとりなどの媒介は一切行いません(連絡先を一方的に通知するだけのシステムですので、このような媒介は一切行えないという方が正しい表記かもしれません)。売買契約の締結は、システム上の「落札」後に、出品者と落札者が直接やりとりすることにより行われます。これらの点で、インターネット・オークションは、通常のオークション(競売)とは全く異なります。ビジネスモデルとしては現在提供しているインターネット・オークションの仕組以外にも、例えば、売り手から物を預かってインターネット上でオークションにかけるなどというような形態など種々のものが考えられますが、現在市場において最も普及している、つまり、利用者に受け入れられているタイプのインターネット・オークションは、個人広告掲載サービスという形式を採用しているものとなっています。
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(2) |
サービスの現状
インターネット・オークションの国内市場規模は、2007年度では1兆7,600億円、2009年度では2兆800億円に上るといわれています(野村総合研究所「これから情報・通信市場で何が起こるのか」東洋経済新報社・2005年より)。
各インターネット・オークションサイトの出品数は、以下のとおりです。
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Yahoo!オークション |
Bidders |
楽天オークション |
モバオク |
出品数 |
1,400万 |
200万 |
40万 |
330万 |
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Yahoo!オークション、Bidders:パソコン中心
楽天オークション:パソコン・モバイル併用
モバオク:モバイル中心 |
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各社発表資料およびaucfan.comより(2007年5月現在) |
また、弊社の提供するYahoo!オークションは、以下のとおりのサービス規模となっております。
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年間総取扱高 |
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7,127億円(2006年1月〜12月) |
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一日平均新規出品数 |
91.4万件(2006年10月〜12月) |
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出品数 |
1,400万件(2007年5月現在) |
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月間ページビュー数 |
約47億4,444万PV(2007年3月現在) |
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(3) |
取り扱い商品について
Yahoo!オークションでは、コンピュータ、おもちゃ、ゲーム、ファッション、アクセサリ、時計、花、園芸、アンティーク、コレクション、チケット、金券、宿泊予約、映画、ビデオ、本、雑誌、スポーツ、レジャー、ペット、生き物等、さまざまな商品が取り扱われています(総出品数1,400万件)。カテゴリ数はメインカテゴリで24、サブカテゴリで約400にのぼり、小項目においてさらに詳細な分類わけがなされています。
このように、インターネット・オークションでは、多種多様な商品が取り扱われており、多種多様な著作物も含まれています。
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(4) |
インターネット・オークション事業者の法律上の地位
インターネット・オークションに適用される法律は古物営業法、電気通信事業法、特定電気通信役務提供者の損害賠償責任の制限及び発信者情報の開示に関する法律(いわゆる「プロバイダ責任制限法」)があり、それぞれの法律において下記のような位置づけがなされています。
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古物営業法における古物競りあつせん業者 |
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電気通信事業法における電気通信事業者 |
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プロバイダ責任制限法における特定電気通信役務提供者 |
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2. |
出品物の画像の掲載について
(1) |
画像の掲載と掲載方法
インターネット・オークションにおいては、出品物の色、形状、大きさもしくは状態の良し悪しを示したり、または、出品物が実際に出品者の手元にあることを証明したりするなどの目的のために一般的に出品物の写真画像の掲載がなされています。
それらの画像は出品者自らが撮影しアップロードしており、インターネット・オークション事業者がこれに関与することはありません。
なお、Yahoo!オークションでは、サービスの仕様として、画像掲載に関し以下のとおり制限を定めています。
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掲載する画像は、1オークションにつき3枚まで |
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画像の高さおよび幅は600ピクセルまで(これを超える写真は、適切な大きさに縮小されて表示される) |
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(2) |
画像の掲載主体
上記のとおり、画像の掲載主体は、出品者となります。出品者には、一般の個人だけでなく、事業者が含まれます。また、Yahoo!オークション中の「公売オークション」とよばれるサービスでは、各行政機関が出品者となります。
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「公売オークション」とは、各行政機関が税金などの滞納者から差し押さえた財産を国税徴収法などにのっとって売却する手続きの一部として提供されるインターネット・オークションです。通常のYahoo!オークションと同様の機能が、出品者である各行政機関に提供されており、従前では困難であった差押動産の換金が容易になり徴税に大きく貢献しています。 |
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(3) |
違法な画像掲載について
著作権等の正当な権利を有する第三者から、著作物を複製した写真等の違法な画像がウェブページ上に掲載され権利が侵害されているとの通知を受けた場合には、権利侵害が明白か否かを調査し、権利侵害が発生していることを確認した段階で、当該画像の削除等の措置を講じています。 |
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3. |
法改正要望
現在のところ、法改正の要望はございません。 |
以上
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