1. |
欧米や一部のアジア諸国の著作権法では、視覚・聴覚以外の障害に対しても配慮がなされている。しかし、我が国の著作権法では想定すらされていない。今後海外からの留学生受け入れが増えるなか、母国では配慮があったのに、留学先の我が国では配慮がされないというケースも生じかねない。これは国際的にも恥ずべきことである。
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2. |
一例をあげるなら、視力は正常であるのに、通常の印刷物の読み取りに困難のあるディスレクシア(ディスレキシア)の人の場合、著作権法第37条第3項で規定する「録音図書」の貸出し対象とされていない。また著作権法第33条の2で規定する「拡大教科書」の利用対象にもされていない。
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3. |
欧米等の諸国では、ディスレクシア以外にも、知的障害、発達障害、上肢障害、高齢等が原因で、通常の印刷物の読み取りに困難のある人々のことを「プリント・ディスアビリティ」という概念で捉え、広く著作権法上の配慮をしてきている。
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4. |
ディスレクシアは「学習障害(LD)」に包含される概念で、さらにLDは発達障害者支援法で言う「発達障害」に含まれる。また、本年4月より正式に開始された「特別支援教育」の対象にもなっている。「特別支援教育」とは、従来の「特殊教育」から転換し、児童・生徒の個別の教育的ニーズに応えようという考えに基づく教育システムである。文部科学省の方針では、義務教育のみでなく高等学校等在籍者も対象となる。
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5. |
ディスレクシア等の児童・生徒に対しては、視覚障害向けの「録音図書」や弱視向けの「拡大教科書」等を活用した指導が有効であることが知られてきた。なかでも特に、DAISYのようなマルチメディア対応のディジタル録音図書の有用性が知られてきた。
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6. |
米国では国家レベルでの取り組みとして、NIMASが策定されたことで教科書をディジタル化し、個別の教育的ニーズを持つ児童・生徒に提供できるようになり、個々のニーズに応じた形式に変換して利用することが可能となった。DAISYはNIMASが規定する仕様を満たしており、将来的には事実上の国際標準規格となる可能性が大きい。
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7. |
少なくとも特別支援教育の対象となっている児童・生徒や、発達障害者支援法による就労支援等の対象者で、実際の指導に当たる専門家が指導上必要であると認めた者については、諸外国並みに著作権法第37条第3項の適用対象とすべきである。
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8. |
込み入った内容や難解な用語を含む放送内容など、そのままでは知的障害者や発達障害者等の中には理解が困難な方がいるので、聴覚障害者向けの字幕に関する翻案権の制限についての適用範囲とすることが必要である。 |