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第2章 知的財産の保護

1 知的財産の保護を強化する

7. 知的財産の国際的な保護及び協力を推進する

(2) 国際公共政策に配慮した国際ルールの構築に貢献する
 遺伝資源や伝統的知識、フォークロア(民謡などの伝統的文化表現)の問題など、知財政策と開発、人権、環境、公衆衛生といった他の様々な国際公共政策との関係について、我が国として適切な対応が図れるよう、2007年度も引き続き、関係省庁による「知的財産関連の国際公共政策に関する連絡会議」等を通じた政府内の連携を深めるとともに、産業界との意見交換の場を設けるなど、国際的な知財政策に関する検討体制を強化する。
 また、2007年度も引き続き、これらの問題に関する先進国、途上国、地域コミュニティ間の対話や国際シンポジウム等の開催、アカデミアやシンクタンクなどでの研究活動を促進するとともに、遺伝資源や関連する伝統的知識等の利用と利益配分に配慮した企業、大学等の自主的取組を促す。
(外務省、文部科学省、厚生労働省、農林水産省、経済産業省、環境省、関係府省)

(6) 自由貿易協定(FTA)/経済連携協定(EPA)等を活用する
 自由貿易協定(FTA)/経済連携協定(EPA)や投資協定などの二国間・複数国間協定の交渉の機会において、外国周知商標の保護など交渉相手国の知財制度の整備や特許におけるいわゆる修正実体審査の制度上又は運用上の受入れなどを促し、我が国産業界等の要望に沿った「知的所有権の貿易関連の側面に関する協定(TRIPS協定)」等の規定以上の知財の保護が達成されるよう、2007年度も引き続き積極的に働きかける。
(外務省、文部科学省、農林水産省、経済産業省)

(7) 国際的な情報共有を推進する

2 知的財産に関連する法律の英訳を国際的に発信する
 我が国の知財に関連する法律などが国際的に理解され、利用されやすくするため、2007年度も引き続き、法改正や新規立法に適時に対応しつつ、2007年3月に改定された翻訳整備計画に従い知財法や関連する実体法・手続法の正確かつ統一された英訳の整備を更に進めるとともに、英語による検索機能等を付加した利便性の高いウェブサイトの構築を速やかに進めるなど、利用者のニーズを踏まえた英訳の利用環境を整備する。
(内閣官房司法制度改革推進室、法務省、文部科学省、農林水産省、経済産業省、関係府省)

2 模倣品・海賊版対策を強化する

1. 外国市場対策を強化する

同計画の「重点編」に掲載 (1) 模倣品・海賊版拡散防止条約の早期実現を目指す
 我が国が提唱した「模倣品・海賊版拡散防止条約(仮称)」について、2007年度も引き続き、より一層国際的な関心を高めるとともに、関係各国との協議において、方針や見解を迅速かつ明確に示し、議論をリードし、早期の実現に向けた取組を加速する。
(警察庁、総務省、法務省、外務省、財務省、文部科学省、農林水産省、経済産業省)

(2) 侵害発生国・地域への対策を強化する

2 コンテンツ海外流通マーク(CJマーク)等を活用する
1  2007年度も引き続き、海賊版の摘発活動を容易にするため、コンテンツ海外流通マーク(CJマーク)の普及や調査・摘発活動を支援する。
(警察庁、文部科学省、経済産業省)

2  海外市場及び水際での商品の真贋判定を容易にするため、2007年度も引き続き、権利者・権利者団体や製造業者・流通業者に対し、その有効性を検証しつつ、偽造防止技術の活用を奨励する。
(警察庁、外務省、財務省、文部科学省、経済産業省)

4 侵害発生国・地域に対し具体的要請を行う
1  2007年度も引き続き、アジア諸国などの侵害発生国・地域に対し、デザイン模倣対策の強化、執行の強化、再犯防止の強化、周知商標の認定促進、水際における権利者負担の軽減など、具体的な制度改善や取締りの実効ある強化について閣僚レベルを始め様々なレベルで強力に要請する。
(外務省、財務省、文部科学省、経済産業省、国土交通省、関係府省)

5 模倣品・海賊版の被害の実態を調査する
 2007年度も引き続き、海外市場において模倣品・海賊版の被害を受ける我が国企業が増加していることにかんがみ、模倣品・海賊版による被害の実態等を調査・分析し、その結果を広く公表するとともに、国際交渉にも活用する。また、我が国の企業が侵害国において訴訟提起などの権利行使をするために必要なノウハウなどの情報を収集し、資料としてまとめ、企業に配付する。
(外務省、文部科学省、経済産業省、関係府省)

(3) 侵害発生国・地域の当局との当局間の連携を強化する
1  侵害発生国・地域の当局(権利付与官庁、警察当局、税関当局、行政取締当局、司法当局)との連携を具体的に強化するため、2007年度も引き続き、日常的な情報交換に加え、相互支援協定等の締結や当局間での定期協議などを推進する。
 また、2007年度から、模倣品・海賊版の拡散を防止するため、新たに設置された日中韓の税関当局による3か国会議の場を活用し、より効果的な水際取締りのための検討を行う等、税関当局間の連携を更に強化する。
(警察庁、外務省、財務省、文部科学省、農林水産省、経済産業省)

(4) 自由貿易協定(FTA)/経済連携協定(EPA)等を活用する
 2007年度も引き続き、自由貿易協定(FTA)/経済連携協定(EPA)や投資協定などの二国間・複数国間協定に、実効的なエンフォースメントの確保のための条項を盛り込むよう積極的に交渉する。また、エンフォースメントも含めた実際の執行状況等を協定上のメカニズムの場等を利用してレビューを行う。
(警察庁、外務省、財務省、文部科学省、農林水産省、経済産業省、関係府省)

(6) 諸国との連携を強化する

1 EU・欧州各国との連携を強化する
 2007年度も引き続き、侵害発生国・地域への働きかけをより有効に行うため、首脳・閣僚レベルの定期・個別協議や日・EU知財対話等の協議を積極的に活用し、EUとの連携を強化する。また、EUとの連携を効果的に行うために、日仏間を始め欧州各国との二国間協議など欧州各国との連携を強化する。
(外務省、財務省、文部科学省、農林水産省、経済産業省、関係府省)

2 米国との連携を強化する
 2007年度も引き続き、アジア・太平洋地域における知財権の保護を推進するため、首脳間、閣僚間を始めとする日米間の二国間協議などを積極的に活用し、米国との連携を強化する。
(外務省、財務省、文部科学省、経済産業省、関係府省)

3 中国との協力を強化する
 2007年度は、日中首脳間の合意に基づき2007年4月に立ち上げられた「日中ハイレベル経済対話」などを活用し、知財権の保護・運用の強化を働きかけるとともに、中国との対話と協力を強化する。
(外務省、財務省、文部科学省、農林水産省、経済産業省、関係府省)

(7) 多国間の取組をリードする
 2007年度も引き続き、主要国首脳会議(G8サミット)を始めとして、経済協力開発機構(OECD)、アジア太平洋経済協力会議(APEC(エイペック))、アジア欧州会合(ASEM)、世界貿易機関(WTO)、世界知的所有権機関(WIPO)、世界税関機構(WCO)等の国際機関・フォーラムにおいて、模倣品・海賊版問題が首脳を始めハイレベルで取り上げられるよう準備や働きかけを行うとともに、以下のような加盟国・参加国の間における協力や取組みを積極的に推進する。
a)  G8サミット・プロセス及びG8知財専門家会合を積極的に活用し、税関協力、途上国への技術支援、産業界との連携などを推進し、主要先進国間における連携を強化する。
b)  OECDにおいて、2005年から作業が開始されている模倣品・海賊版対策プロジェクトについて、諸外国と連携しつつ積極的に議論を推進する。
c)  APEC(エイペック)において、「APEC(エイペック)模倣品・海賊版対策イニシアティブ」に基づき、新たに2つのモデルガイドラインが策定されたが、同ガイドラインに沿った取組、各国・地域における知的財産権サービスセンターの早期設置の積極的な働きかけや植物品種保護に関するセミナーの実施に向けた取組などを推進する。
d)  ASEMにおいて、ASEM関税局長・長官会議での議論等を通じ、エンフォースメントを含む知財権保護のための活動に更に積極的に取り組む等、アジア・欧州間での協力を強化する。
e)  WTOの対中国経過的レビューメカニズム及びTRIPS協定の法令レビュー、貿易政策検討制度(TPRM)を積極的に活用し、アジア諸国・地域に対して模倣品・海賊版の取締りを強化するよう要請するとともに、TRIPS理事会におけるエンフォースメントの議論に積極的に参加する。
f)  WIPOにおいて、模倣品・海賊版のエンフォースメント問題を主要議題として取り上げ、模倣品・海賊版の取締りをWIPO加盟国が一体となって取り組むべき問題であるとの認識を加盟国間で共有するよう積極的に取り組む。
g)  税関の国際機関であるWCOにおいて、WCOの税関監視取締ネットワーク等を通じた知的財産侵害物品の水際取締りに関する情報交換が、模倣品・海賊版取締対策の大きな役割を果たしていくよう積極的に働きかけを行うとともに、加盟国がより効果的に取締りを実施するための方策の策定・実施に向けた作業を推進する。
(外務省、財務省、文部科学省、農林水産省、経済産業省、関係府省)

(8) 模倣品・海賊版対策の能力構築を支援する
2  模倣品・海賊版対策に積極的に取り組むアジア諸国の政府関係者や民間の団体・企業等に対し、各府省が実施している知財権の保護に関する能力構築(キャパシティービルディング)を、2005年6月に策定された「知的財産保護協力・能力構築支援戦略」に基づき、2007年度も引き続き、我が国企業と協力しつつ、関係府省や国際協力機構(JICA(ジャイカ))、JETRO等の関係団体が協調して実施し、年度終了後に事業内容のレビューを行う。
(警察庁、総務省、法務省、外務省、財務省、文部科学省、農林水産省、経済産業省)

2. 水際での取締りを強化する

同計画の「重点編」に掲載 (1) 個人輸入等の取締りを強化する
 2007年度は、税関が知的財産侵害疑義物品を発見した場合、その多寡にかかわらず、原則として認定手続を執ること等を明確化した改正通達に沿って、税関は水際における取締りを強力に推進するとともに、侵害認定について、状況により専門委員制度を活用する等、厳正化を図る。また、必要に応じ、模倣品・海賊版の個人輸入・個人所持の禁止について更に検討を行い、新法の制定等法制度を整備する。
(警察庁、法務省、財務省、文部科学省、経済産業省)

3. 国内での取締りを強化する

同計画の「重点編」に掲載 (1) インターネットオークション上の模倣品・海賊版の取引を防止する
1  著作権法において、インターネットオークションへの出品など海賊版の広告行為自体を権利侵害とすることについて、2007年度中に検討し、必要に応じ法制度を整備する。
(警察庁、法務省、文部科学省、関係府省)

4  2007年度は、官民協力の下、消費者や出品者の観点を考慮に入れつつ、権利者及びオークション事業者による「インターネット知的財産権侵害品流通防止協議会」等を通じた下記の取組を推進する。
a)  違法な出品を防止するため、オークション事業者による正確な本人確認を促進する。
b)  模倣品・海賊版をオークションサイト上から一掃するため、「知的財産権侵害品流通防止ガイドライン(仮称)」の作成・運用などを通じた自主削除の強化、各種取組の効果検証など、オークション事業者及び権利者が一体となった自主的取組を促進する。
c)  模倣品・海賊版の出品・購入を防止するため、協議会のウェブサイトを開設するとともに、出品者及び消費者への啓発活動を強化する。また、権利者及びオークション事業者双方に対し、協議会への更なる参加を促す。
(警察庁、総務省、文部科学省、経済産業省)

5  2007年度は、上記取組の効果検証と並行して、インターネットオークション上の模倣品・海賊版の取引を効果的に防止するための更なる対策の検討を行い、必要に応じ法制度等を整備する。
(警察庁、総務省、文部科学省、経済産業省)

(4) 劇場内で無断撮影された映像の違法流通への対策を強化する
 映画の上映中に劇場内において無許可で撮影された映像が違法に流通する等の問題に対応するため、2007年の通常国会で成立した「映画の盗撮の防止に関する法律」について、その周知徹底、映画関係事業者による映画の盗撮防止の自助努力、違反行為の取締りなど、官民挙げて対策を強化する。
(警察庁、文部科学省、経済産業省、関係府省)

(5) 著作権法における親告罪を見直す
 海賊版の氾濫は、文化産業等の健全な発展を阻害し、犯罪組織の資金源となり得るなど、経済社会にとって深刻な問題となっている。重大かつ悪質な著作権侵害等事犯が多発していることも踏まえ、海賊版の販売行為など著作権法違反行為のうち親告罪とされているものについて、2007年度中に非親告罪の範囲拡大を含め見直しを行い、必要に応じ法改正等制度を整備する。
(警察庁、法務省、文部科学省)

4. 官民の連携を強化する

(1) 政府内の連携を強化する
 外国市場対策や水際及び国内での取締りに関し、関係府省が一体となって対策に取り組むよう、2007年度も引き続き以下のような対策に取り組むとともに、関係府省の連携を強化する。
a)  政府模倣品・海賊版対策総合窓口の周知を徹底し、権利者や企業等からの相談に対し、関係府省の連携を確保しつつ、迅速に対応する。
b)  政府模倣品・海賊版対策総合窓口は「総合窓口年次報告書」を作成するとともに、関係府省と連携し、その内容の更なる充実を図る。
c)  関係府省が公表する模倣品・海賊版対策に関するデータや情報へのアクセスを容易にするため、政府模倣品・海賊版対策総合窓口のウェブサイトにおいてリンクを設定するなど、関係府省で模倣品・海賊版に関する情報共有を図る。
d)  各種対策については、関係府省間で相互に調整を行うとともに、「模倣品・海賊版対策関係省庁連絡会議」を機動的に開催し、政策調整を密に行い、総合的に実施する。
(警察庁、総務省、法務省、外務省、財務省、文部科学省、農林水産省、経済産業省)

(2) 官民・民民の連携を強化する
1  2007年度も引き続き、我が国の企業による諸外国での模倣品・海賊版対策の取組を支援するとともに、侵害発生国・地域の当局との交渉や働きかけを効果的に行うため、官民合同ミッションの派遣を始め、国際知的財産保護フォーラム、コンテンツ海外流通促進機構、不正商品対策協議会、日本関税協会知的財産情報センター等の民間団体の諸外国での活動を支援する。
(警察庁、外務省、財務省、文部科学省、農林水産省、経済産業省)

2  2007年度も引き続き、関係府省がより緊密に連携を取りつつ、企業等を対象にした模倣品・海賊版対策のためのセミナーを全国各地で開催する。
(警察庁、財務省、文部科学省、経済産業省、関係府省)

5. 模倣品・海賊版に関する国民の理解を促進する

(2) 模倣品・海賊版に関する国民への啓発活動を強化する
 2007年度も引き続き、権利侵害事犯の特徴等について事例を紹介したり、各種セミナーなどの機会を捉えて模倣品・海賊版の問題を採り上げたりする等、模倣品・海賊版が社会悪であることを明確にするとともに、その氾濫が社会にもたらす悪影響について訴求し、政府が推進している対策を周知する。
 また、このような訴求等により、国内外において模倣品・海賊版の購入をしない適切な消費行動につなげることが重要であるという認識の下、消費者の意識向上を図るための戦略的かつ効果的な啓発活動を、関係省庁が一体となって展開する。
(内閣府、警察庁、総務省、法務省、外務省、財務省、文部科学省、農林水産省、経済産業省、国土交通省)

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