(1-1 放送に関するビジネス上の課題について) |
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放送では、1回の利用だけで、ほとんどの利益を回収する仕組みとしており、二次利用を想定して出演者等との契約を行ってきていない。
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そのため、その後、二次利用をするために、使用料の支払いを含め様々な経費が必要となるが、インターネット等での二次利用では、これに見合う収入が見込めない。
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また、当初から全ての番組について、二次利用まで含めて契約をしようとすれば料金が高くなるので、実際上、放送局はそのようなことはせず、二次利用での収入の見込み等に応じて、二次利用のための契約を事後にすることになる。
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既存の放送流通体系下においては、放送局自らが再放送を予定していたり、他のメディアによる提供(DVD販売等)と競合したりする場合があるなど、他の事業者への番組提供について、調整を要する業務上の理由がある。
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日本の放送業界では、キー局とネット局との関係では、キー局中心の系列が強く、コンテンツの多様な流通ルートが育っていないことも一因ではないか。
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ただ、今後については、地上波のテレビにスポンサーが広告を払う金額は下がってきており、インターネットや他の分野に広告が移ってきているため、放送業界の収益の構造が変わってくる。したがって、今後も同じような状況が続くということにはならないのではないか。
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(1-2 インターネットなどに関する技術的課題について) |
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インターネット技術については、日々高まっているものの、配信インフラについては、回線速度の速いものと遅いものが混在していたり、パソコンの性能のばらつきがあったり、配信インフラ、回線容量の問題などの技術的な問題がある。
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そもそも番組が保存されていない場合が多く、保存されていても保存状態が悪く、二次利用に耐えうる映像ではない場合がある。
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(1-3 著作権以外の権利関係について) |
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著作権及び実演家等の著作者隣接権の問題だけではなく、肖像権、プライバシーの権利、寺社や美術品の所有者との調整など様々な権利についてもあわせて契約をしなければならない。
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(1-4 著作権契約に関する課題について) |
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著作権に関する契約が問題で、二次利用を拒まれる場合は、主に、以下のような場合である。
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著作権等管理団体に権利を委託している者、権利者団体と利用者団体との協定が適用されている者については、所定の規程や協定のルールに従って、一定の使用料を支払うことにより、二次利用について、ほぼ自動的に許諾が得られる仕組みとなっている。
したがって、二次利用についての許諾が得られない場合の多くは、次のような場合である。
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これらの団体に権利を委託していない者やルールが適用されていない者の場合 |
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著作者、実演家等の死亡、引退等による権利者の所在不明の場合 |
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そのほか、実演家のイメージ戦略、経済的価値の維持として、過去のTV番組の二次利用の許諾をしない場合、権利者の思想信条(例えば、インタビュー等について番組制作時と考え方が変わっている)に関係する場合などで、許諾を得られない場合もある。 |