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資料5

インターネット上での海賊版対策と広告行為について

社団法人コンピュータソフトウェア著作権協会

1. 海賊版販売の実態と特徴
(1) インターネットオークション
 インターネットオークションとは、事業者がインターネットを利用してオークションの場(以下「オークションサイト」という)を提供し、個人と個人が直接売買を行うサービスである。商品(新品または中古品)を売りたい者(出品者)は、オークションサイトの出品ページに、商品についての情報(商品写真、商品説明文)や最低落札価格、配送方法、入札期限日時などを掲載し、出品ページを見た購入希望者(入札者)は、希望入札額を出品ページに入力して競り合い、入札期限において最も高い価格を提示した者が落札する。落札者と出品者は電子メール等で連絡を取り商品の取引を行うものである。
 インターネットの初心者でも簡単に出品・入札ができるうえに、大人数の目に触れることが多いため、海賊版販売の主流となっている。当協会に寄せられている海賊版の販売に関する情報提供数の6割がオークションを利用したものである。

 インターネットオークションにおける出品されている品物が海賊版であるかは、商品説明文の記述により判断したり、実際に落札して商品を購入したうえで判断し、対応を行っているが、海賊版出品における商品説明(広告)の内容は、当協会では、以下のように分類している。
  1 コピー品と明示してある、正規商品とは外観、仕様が異なると、いった明らかに海賊版であると分かるもの。
2 明らかに海賊版であるとまでは断定できないものの、特定のキーワードを用いたり、販売価格が正規品の価格に比べ著しく安価であること等の事情より、当協会やオークションサイト事業者の経験上海賊版である蓋然性が極めて高いもの。
3 上記2の条件を含むが、海賊版である蓋然性が極めて高いとまでは言えないもの。

(2) ホームページ
 自己の開設したホームページに海賊版のリスト(タイトルや売価)、注文方法を掲載し、電子メールなどで注文を受けて販売する形態である。注文を受けると販売者はCD-Rなどに複製した海賊版を郵便や宅配便で送り、代金は銀行振り込みや代金引換郵便などで回収する方法が多い。
 広告内容は(1)インターネットオークションと同様に分けられるが、コピー品と明示した広告は現在では見られない。

(3) その他
 インターネットを悪用した海賊版販売には上記以外に、電子掲示板に海賊版のリスト、注文方法を書き込み、電子メールで注文を受ける方法や、同様の内容の電子メールをインターネットユーザーの電子メールアドレスに無差別に送りつける(スパムメール)方法なども存在する。

2. 海賊版販売への対策
 権利者である当協会会員ならびに当協会は、海賊版の出品、販売に対して以下の対策を行っている。
(1) 民間での対応
 海賊版の流通を阻止するため、海賊版の広告行為である、インターネットオークションの出品削除、ホームページの掲載中止を求める作業を行っている。
 しかしながら、海賊版の広告行為だけではプロバイダ責任制限法に定める要件(情報の流通による権利侵害の発生)を満たさないため、同法に則った手続きではない。
 削除の手続きは以下の通りである。
  1 実態の確認
権利者または当協会がオークションサイト、ホームページを調査し、海賊版の出品、販売を確認する。
2 違法品を販売しているかどうかの判断
判断の方法は以下の通り。
これまでの経験をもとに商品説明の文言から海賊版であるかどうかを判断する。
出品者・販売者に電子メールやオークションの機能を利用し、問い合わせて判断する。
実際に商品を購入し海賊版であることを確認する。
3 削除要請
2により販売、出品されている商品が海賊版である蓋然性が極めて高い場合には、以下の方法により削除要請を行う。
(ア) ホームページによる海賊版販売の場合は、開設者へ電子メール等で販売の中止を要請する。
(イ) インターネットオークションの場合は、オークション事業者に対し、著作権侵害物の出品であることを知らせ、個別に出品の削除要請を行う方法と、海賊版出品削除のためのスキームに基づく削除要請の2種類の方法がある。
 2004年4月からの削除要請数は1,255件。及び、上記スキームに基づくものは31,953件(共に2007年4月までの件数)。

<参考>オークション事業者との削除要請スキーム
 当協会とオークション事業者最大手のヤフー株式会社は2004年1月に海賊版ソフトウエア競売出品の迅速な削除で提携し、詳細な削除基準とその対応方法を共通で取り決め、運用を行っている。海賊版である蓋然性が高い特定のキーワード等を削除基準として定め、削除基準に該当する出品については権利者から当協会を通じてヤフーに対して削除要請を行うと、速やかに出品が停止(削除)される仕組みである。本スキームによりソフトウェアの海賊版の出品は減少傾向にあるものの、削除基準を回避した多くの出品もなされるようになっている。

(2) 刑事手続き
 海賊版販売に対して犯人の処罰を求める刑事手続きは、大量に海賊版をネットオークションに出品したり、ホームページで販売したりする場合や、上記民間での対応による削除要請等に応じず、かつ販売者とのメール、宅配、郵便などのやりとりによっても本人の所在が明らかにならない、もしくは偽装している場合など、悪質性の高い事例に限って告訴が行われている。

3. 問題点
プロバイダ責任制限法に則った手続きがとれないため、削除要請および発信者情報開示が行えない。そのため、
1 法的に不安定な状態で販売者への告知をせざるを得ない。そのため、強く侵害行為を停止、もしくは削除を要請できない。削除要請に応じない場合にはそれ以上の手続きを行うことが出来ない。
2 出品者、販売者が住所を偽っている場合は、メールや宅配、郵便などのやりとりをしても情報を得ることができず、内容証明等の文書の送付他、民事の法的手続きが取れない。出品者、販売者の情報が刑事手続きに依ってしか得られない。
すべての海賊版販売に対して刑事事件にできない。
警察の実務能力に限りがあるため、全ての海賊版販売を刑事事件にすることができない。

 広告行為自体が著作権侵害となれば、プロバイダ責任制限法に基づく発信者情報開示請求と削除要請を行うことができるため、出品者、販売者の情報をオークション事業者やインターネットサービスプロバイダー等から得て、法的根拠に基づき削除要請を行うことができ、海賊版の流通を事前に防止することが現在以上に行えることが期待される。
 また、インターネットを利用しない海賊版販売の広告行為をも規制対象となることから、プロバイダ責任制限法の改正によるものに比べてより広く海賊版流通を防止できる。


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