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4.税関における水際取締りに係る著作権法の在り方について

2. 検討結果

(1) 「輸出」規定の必要性について

   著作権法においては「みなし侵害行為」(第113条)において、著作権等を侵害する行為によって作成された物を「頒布」する行為または「頒布の目的をもって所持」する行為については規定が存在する。しかし、必ずしも「輸出」行為自体が対象とされているものではない。国内における侵害行為を抑止し、水際において確実に侵害物品の取締りを行う観点から、「輸出」に関する規定を整備することが適当である。
 ただし、著作権等の侵害に係る「輸出」行為の取締りについては、すべての「輸出」行為を対象とすべきではなく、「輸出」行為の目的や態様等について限定をかけることが適当である。
 なお、「輸出」行為が実行されてしまった場合には、侵害品が拡散するなどしてその後の侵害防止措置が困難な状況に至ることから、「輸出」行為の予備行為として侵害に至る蓋然性が高い行為(輸出を目的とする所持)についても取締りの対象とすることが適当である。

(2) 「通過」に対する対応の必要性について

   「通過」行為には大きく分けると、1外国からの貨物が単に我が国の領域を通過する場合、2日本を仕向地としない貨物が荷繰りの都合上いったん日本で陸揚げされた後(保税地域に置かれる場合も含む)、日本において通関手続きを経ずに当初の仕向地に向けて運送される場合(いわゆる「輸入」行為と「輸出」行為が複合しているような場合)があると考える。
 この点、1については、我が国に陸揚げされていないため、そもそも著作権法の効力が及ぶことは困難であると考える。2については、著作権法における「輸入」は一般的に「日本国の法令が及ぶことのできない領域から日本国の法令が及ぶ領域内に物を引き取ること」とされており、通関を前提としたものではないと考えられるため、税関通過以前であっても、陸揚げにより保税地域等に置いた時点で「輸入」に該当すると考えられる。第三国に送付する行為は「輸出」と考えられ、「輸出」行為に係る規定により対応可能と考える。
 したがって、「通過」について、「輸出」行為として対象となるもの以上に、新たな規定を設ける必要はないと考えられる。

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