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3 検討結果 |
・ | 実際に著作物の私的録音・録画を行わない者も機器や記録媒体を購入する際負担することとなる。この問題点を解消するための返還金制度も、そもそも返還額が少額であり実効性のある制度とすることが難しい。(複製を行う者の正確な捕捉の困難性) |
・ | 汎用的な複製に用いられる機器(パソコン)や記録媒体(データ用CD‐R)は、私的録音・録画に用いられる実態があるが、仮に指定すると音楽録音等に使用しない者にも負担を強いることとなり、指定は困難(しかし、指定されないことにより、現実に行われている多くの複製が捕捉されない結果となっている)。(複製の対象となる機器や記録媒体の正確な捕捉の困難性) |
・ | 権利者への分配は、CD出荷量、放送・レンタル等の音楽使用データより推計して行っており、緻密に算出しても、実態の捕捉の困難性から、著作物等を複製されているのに配分を受けることができない権利者が生じ得る。(配分を受ける権利者の正確な捕捉の困難性) |
・ | 消費者に制度が知られておらず、機器や記録媒体購入の際負担していることを認識していない消費者がほとんどである。 |
・ | 補償金の返還制度は十分に機能していない。 |
・ | 共通目的事業の内容が十分知られていない。また、権利者のみならず、広く社会全体が利益を受けるような事業への支出も見られる。 |
(注)「二重徴収」について問題 | |
・ | なお、消費者が配信サービスにより楽曲の提供を受けた場合に、配信についての「課金」と、私的録音に対する「補償金」が「二重徴収」されているのではないかとの問題が指摘された。 <「二重徴収」にあたらないとする意見> これについては、配信サービスの対価はあくまでも「消費者への音源の配信」や「ダウンロードに際しての複製」ついての対価であり、その後の私的複製は対象としていない。 <「二重徴収」にあたるとする意見> 消費者に一定の限度で複製を認める場合には、その料金には事実上その複製の対価が含まれると考えるのが適切であり、やはり「補償金」との「二重徴収」にあたる。 |
・ | 購入等の手段によって、自己所有のCD等を複製する場合においても「補償金」が「二重徴収」されているのではないかとの問題が指摘された。 |
・ | 現在の補償金制度は、「私的録音録画が零細であり、その捕捉が事実上困難である」ことを前提とした制度であったが、DRM等の技術の進展により私的録音録画の実情の捕捉が可能となりつつあるとの意見がある(![]() |
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・ | 仮に本制度導入時にこうしたものが存在していれば、この制度の対象となったであろうとの意見があった一方で、市場に投入されている一部機種には写真その他のデータを保存できる機能を有するなど、音楽の再生以外の機能を有する「汎用機器」のものもあることから、補償金の対象とすることが適切ではないとの指摘もあった。 |
・ | しかし、これら機器は、音楽の録音・再生を最大のセールスポイントとして販売され、また購入されているのが実態である。したがって、主として「音楽の録音に用いられるもの」として指定すること(![]() |
・ | しかしながら、本件について検討する過程においては、現在の補償金制度についての様々な問題が指摘されるとともに、そもそもこうした問題点を抱えたままで新たな指定をおこなうことについては反対する意見も多数述べられたところである(![]() |
・ | このような状況のもとでは、本小委員会としては、現時点で内蔵型機器の指定を行うことは必ずしも適切ではないと思料する。来年以降の私的録音録画の検討において、補償金制度について抜本的に検討を行う中でその検討結果を踏まえ適切に検討すべきであると考える。 |
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・ | 汎用機器は、私的録音録画に用いられることが多く、例えば内蔵型機器のうち、録音についても、パソコンを経由して複製が行われるなど、私的録音録画の現状においては、無視できない存在であるにもかかわらず、パソコン内蔵・外付けのハードディスクドライブ、データ用CD‐R/RW等のいわゆる汎用機器・記録媒体(以下、「汎用機器等」という。)は現在補償金の対象とはされていない。 | ||||||||
・ | この点、汎用機器等については、以下のような理由から、補償金の対象とすべきでないとする意見が多数であった。
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・ | なお、汎用機器等の取り扱いは、今後の私的複製における重要な課題であることから、来年以降の私的録音・録画の検討のなかで、十分な検討を行い、結論を得る必要がある。 |
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・ | 現行制度では2つの問題があると指摘される。1点目は、技術を指定する現行制度は、指定までの時間がかかり過ぎて権利者の補償に欠けることである。2点目は、技術を指定する現行制度は、私的録音録画補償金を支払う消費者には理解できず、制度への理解を妨げる一因ともなっていることである。 |
・ | しかし、法的安定性、明確性の観点から、現行の制度の下では、現行の方式を変更すべきではない。 |
・ | ただし、機器等の個別指定が技術革新の速度に対応できないという意見や、指定手続を機動的かつ透明性の高いものにすることを前提に、機器等の指定を省令又は告示に委任することも検討すべきとの意見もあった。補償金制度の見直しの際に、併せて検討するべきである。 |
・ | 平成17年1月24日に著作権分科会で示した「検討課題」や「知財推進計画2005」においては、私的複製に関して、それが認められる範囲の明確化などについて検討することとされている。 | ||||
・ | 本小委員会としては、今回の検討の過程で補償金制度のあり方について様々な問題点や社会状況の変化の指摘があったことを踏まえ、上記「私的複製の検討」では、私的録音・録画についての抜本的な見直し及び補償金制度に関してもその存否や他の措置の導入も視野に入れ、抜本的な検討を行うべきであると考える。 | ||||
・ | この私的録音・録画の検討は、実態を踏まえた解決策を見出すことが必要であることから、関係者が参加した形での検討がなされる必要がある。したがって、本小委員会とは別の検討の場を設けることが適切であり、そこでの検討を踏まえて法制面からの検討を本小委員会において行うべきであると考える。 | ||||
・ | なおこの検討は、著作権分科会「検討課題」や、政府の「知的財産推進計画2005」に示されているように、平成19年度中には一定の具体的結論を得るよう、迅速に行う必要がある。また、検討に当たっては本小委員会の契約流通ワーキングチームや司法救済ワーキングチームにおける検討とも十分連携をとる必要がある。 | ||||
・ | なお、検討に当たっては、補償金制度に対し、本小委員会において指摘された点や以下の点等について十分留意すべきである。
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・ | 私的録音録画補償金制度の当面の運用に関しては、次のような改善を速やかに図る必要がある。
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