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「文化審議会著作権分科会法制問題小委員会審議の経過」に対する意見募集に寄せられた御意見

※いただいた御意見は項目ごとに整理させていただいておりますが、原文のまま掲載しております。
項目 意見
1.権利制限の見直しについて
(2)特許審査手続に係る権利制限の見直し
1非特許文献を出願人に送付するための審査官による複製について 14のいずれについても権利制限を行うべきである。
開発・研究のために必要な複製に関しては、対価を支払うべきであるが、いずれも特許審査のために必要な複製であり、複製が行われなければ、特許取得企業のみならず、国民の利益を損することになる。複製は、国の制度上の要求に応ずるためのものであり、要求はより審査を正確なものにするためのものであり、その複製物が流出するなどの危険も少ない。権利制限によって発生する不利益がいかなるものか権利者側から明確な説明が為されるべきである。
なお、開発・研究のための複製についても、元となる論文・書籍が購入不可能な場合で著作権者不明などの理由で複製が困難な場合は、補償金をプールするなどして複製が可能になるような対処が必要と思われる。

「○問題の所在」の1から4については、特許出願人である当協会の会員各社にとって特許の権利化(登録)を迅速に進めるうえで必要不可欠なものである。これにより、非特許文献の著作権者の利益を不当に害することとはならないと考えられるため、早急に権利制限を認めるべきである。
なお、このための手続きに使用した非特許文献については、審査官のみならず出願人の側でも電子的に保存することができるよう法律上の手当てをお願いしたい。
また、これについては特許手続きのみならず、実用新案、意匠、商標及び特許協力条約に基づく国際特許の各手続きにおいても同様に法律の手当てをしていただきたい。
なお、これら検討されている事項は、主として産業財産権法の手続きに関することなので、結論がでたら著作権法のみならず、それぞれの法律の中に規定していただきたい。

一定の権利制限は必要性であるが、審議経過にもあるように現行制限規定で処理するのは困難である。そこで、新たな権利制限が必要となるが、特許権が産業の発展のためであり、本質的に経済的利益であることからすれば、権利者の財産的価値をも否定するような政策を採ることは均衡を欠くように思われる。

1非特許文献を出願人に送付するための審査官による複製について
特許制度の公益性の観点からすれば、許諾権を制限することには、権利者が社会的負担を負うべきである。一方で、無償での制限を負うとすれば、特許権取得者はそれで利益を得るにもかかわらず、そのために何らの財産回収もできないとすれば著しく均衡を欠くことになる。

The proposed “office action” exception (1) raises slightly different questions which the Committee may wish to explore. First, to what extent does the patent examiner, rather than furnishing the applicant with a copy of prior art documentation, simply cite a publicly accessible source from which the applicant can obtain a copy? Should this alternative be encouraged, so that patent examiners are not, in effect, conducting the research and incurring the costs that properly should be the responsibility of the applicant? Second, to what extent are licenses readily available to the Patent Office from individual publishers, document delivery services, and/or collective administration mechanisms, under which the patent examiner could easily obtain permission in those cases in which it is necessary to furnish a full-text copy of the prior art documentation to the applicant? Answers to these questions would greatly assist the Committee in evaluating whether this proposed exception would meet Japan's international obligations under Berne and TRIPS.

権利制限すべきです。
迅速な特許審査を行うためには、必要。
特許審査官が複製を行わずに、その出所のみを出願人に明示している現状では、出願人がその非特許文献を別途入手せざるを得ない。
論文・書籍・新聞記事などは、入手しやすいかもしれないが、パンフレット・マニュアル類などには入手困難なものも多い。
一刻も早く権利制限すべき事項だと思います。

バイオテクノロジー関連のベンチャーで自力で特許出願をしている者ですが、技術的に海外の論文等が使われることも多く、審査官が引用した文献を入手するのが大変で困ったり、時間がかかることがあります。拒絶理由に文献が添付されるようになると大変助かりますので、ぜひ実現して下さい。

今般の特許出願の審査、審判における手続きの複製とされている行為は複製ではなく単なる引用に過ぎないから、現状で何ら問題はなく著作権法を改正する必要はない。
審査、審判において先行技術として書籍が参照されるときは審査、審判を要求するものが自分で購入した書籍を引用して特許庁の審査官に知らせるもので複製ではない。また審査官が引用を確認するために図書館の複製を利用しても複製には当たらない。審査員が出願者に先行技術を一部引用しても複製ではない。これらの用途では元著作物の名称、発行年月日、引用場所がそろっていなければ役に立たないからである。

1非特許文献を出願人に送付するための審査官による複製について
審査官が「特許審査手続」の一環として非特許文献を複製することは、公的な業務を迅速に行うことが必要なことから権利制限を行うことに賛成です。現状では特許審査手続に相当時間がかかっています。

要望事項の4はともかくとして、13の非特許文献については権利制限の対象にすべきではない。著作権法第42条の現行の運用通り、1については文献を示すのみで充分と考える。出願者はもともと自らの利益保全のために特許出願をしているのであるから、その責任と負担において文献を入手し、利用すべきである。

1非特許文献を出願人に送付するための審査官による複製」ならびに「2審査官からの書類提出の求めに応じるための非特許文献の出願人による複製」について、「審議の経過」6ページに「要望の1及びに2ついては、的確・迅速な審査手続の確保の観点から、権利制限を行うことが必要であるとする意見が多かった。」とあり、また、「3特許庁への先行技術文献(非特許文献)の提出による情報提供のための複製」について、「審議の経過」6ページに「将来の紛争防止につながる公益性の極めて高い重要な手続であることから1及び2と同様の扱いとすべきとの意見が多かった。」とある。しかし、特許審査の際に利用される多くの学術論文(非特許文献)ならびにこれらの論文が掲載されている理工学・技術専門書誌は、特許技術を含む理工学専門情報を研究者や特許庁ならびに理工学・技術を管理する官公庁に伝達することをその出版目的としており、これらの出版物にとっては特許開発の研究者あるいは特許開発型企業の技術関係者も大きな市場である。これらの専門書誌が審査手続の的確性・迅速性という理由で権利制限されてしまうことはこれらの出版物の発行と販売にとって非常に影響が大きい。特許にかかる権利は個人あるいは私企業に属するものであり、その確保のために同様の知的所有権である出版物の著作権が侵害されることは権利者間の公平性の観点からも問題がある。
3特許庁への先行技術文献(非特許文献)の提出による情報提供のための複製」について、「審議の経過」6ページに「情報提供の主体が広範に及び複製の量も大きくなるおそれがある」とあり、上記1及び2については6ページのグラフで年間2万件程度としているものの、3にかかる複写については全体量が全く不明であり、問題点は上記に記載の通りである。また、これらの複写は先行技術を所有しているとする者が自己の権利を保全するために行うものであり、その確保のために同様の知的所有権である出版物の著作権が侵害されることは特に権利者間の公平性の観点からも問題がある。
「審議の経過」4ページに「当事者は権利者の許諾なく複写することができず」とあるが、権利者の許諾を得ればこれらの学術論文(非特許文献)や理工学・技術専門書誌を複写利用することは可能であり、多くの権利者はそのことを否定していないことのみならず、多くの権利は日本複写権センター、学術著作権協会、日本著作出版権管理システム等の管理団体に委託されており、利用者は事前に年間契約を締結すれば、包括的処理、あるいは事後の報告で権利処理を行うことが可能である。
「審議の経過」7ページに「現行法でも、第42条は、内部資料として必要な限度で行政目的の複製を認めていることから、特許庁が内部資料として、さまざまな文献の複写を権利者の許諾なく行うことは可能である。しかし、非特許文献については入手困難なものも多く、また、仮に要望の1から4の権利制限を行ったとしても、権利者にとっても結果的に被る制約は現状と同程度であると考えられる。したがって、これを認めることは、ベルヌ条約が求める「著作物の通常の利用を妨げず、かつ、その著作者の正当な利益を不当に害しない」との条件に矛盾しないものと考えられる。」とある。しかし、要望事項の4はともかくとしても、1から3については現状では第42条の範囲内ではないので、この部分について権利制限を拡大すれば、程度の差はあるとしても必ず権利者に影響が出ることになる。それが何故「権利者にとっても結果的に被る制約は現状と同程度であると考えられる」のか理解できない。著作権法第42条は確かに行政目的においては権利制限を認めているが、それは「内部資料として必要と認められる限度」であって、「複製物が作成部局内での使用にとどまる場合に限定され」(加戸守行:著作権法逐条講義四訂新版、283ページ)、外部から提供されることには適用されないというのがそもそもの立法趣旨である。それを行政庁が所有あるいは必要とする著作物であるからという理由で、複製物の外部への提供や外部からの入手までに著作権法第42条の概念を適用するのはあまりにも乱暴な論議である。行政庁以外が行う複製は当然権利制限の対象外とすべきであって、責任の所在と帰属性から考えてもそこには一定の線引きが必要であることは言うまでもない。また著作権法第42条には「ただし、当該著作物の種類及び用途並びにその複製の部数及び態様に照らし著作権者の利益を不当に害することとなる場合は、この限りでない。」という但し書きがあり、「著作物の経済的市場における使用と衝突するようなケース、あるいは、著作物の潜在的販路に悪影響を与えるようなケースには、たとえ内部資料としてであっても複製物を作成できない。」(加戸守行:著作権法逐条講義四訂新版、283ページ)とあり、非常に限定的に解釈されるべきである。

また、「非特許文献については入手困難なものも多く」とあるが、これらの文献の多くは複数の文献複写業者によってそのデータベース検索と複製物の提供サービス、ならびにそれにかかる権利処理が可能であり、全く困難ではない。また、要望の123いずれの場合も複写の原本となる出版物そのものは特許庁、出願人あるいは先行技術保有者のいずれかが所有しているはずであり、入手そのものが困難であるということはない。よって、複写物の入手は可能であり、残った問題は「許諾の入手」だけであり、その問題は上記に記載の通り、複写管理団体との契約によって多くの権利処理が簡便な方法によって可能となっている。
本件において要望されている目的を果たすために利用者の便宜を図ることは重要であるが、それは権利制限ではなく、文献複写サービスと複写管理団体が全ての需要に応えられる体制を確立することによって達成すべきである。

3.「1非特許文献を出願に送付するための審査官による複製」、「2審査官からの書類提出の求めに応じるための非特許文献の出願による複製」、「3特許庁への先行技術文献(非特許文献)の提出による情報提供のための複製」について
(1)上記1ないし3に規定される非特許文献の複製は、「行政手続きのために必要と認められる場合」の態様として、明文の権利制限規定を新設すべきである。
(2)理由:2.で上述したとおり、特許審査の迅速化並びに適正化を図るために、上記の複製行為の免責は不可欠である。「3情報提供のための複製」についても、非特許文献を刊行物として提出することは決して稀ではなく、複製権が働くことによって、本来拒絶されるべき特許出願への情報提供が阻害されるべきでない。

4.上記1ないし3に規定される非特許文献の複製に付随する複製行為について
(1)上記1ないし3に規定される非特許文献の複製に付随して、出願代理人から出願人への通信において必要となる複製(代理人における控えの作成)、並びに非特許文献が外国語文献である場合の翻訳、その翻訳物の複製等の行為は、拒絶理由応答ないし情報提供において必要な限度において複製権の行使を制限すべく、「行政手続きのために必要と認められる場合」の態様として、例えば政令等において免責されるべきである。
(2)拒絶理由応答や情報提供において迅速、的確に対応するには、出願代理人、出願人双方においての文献検討が不可欠であり、また「行政手続きを行なうために必要と認められる範囲内」においての複製物、翻案物の作成に限り免責すれば、著作権者の利益を不当に害するものとはならない。

特許審査手続に係る権利制限に関して、
1非特許文献を出願人に送付するための審査官による複製
2審査官からの書類提出の求めに応じるための非特許文献の出願人による複製
3特許庁への先行技術文献(非特許文献)の提出による情報提供のための複製
4非特許文献を出願・審査情報の一環として電子的に保存するための特許庁による複製について、議論されています。
このいずれについても権利制限を認めることに賛成します。
拒絶理由の通知に引用される非特許文献の審査官による複製(1)、審査官の書類提出の求めに応じるための出願人による複製(2)、非特許先行技術文献提出による情報提供のための複製(3)は、的確かつ迅速な特許審査を確保するために不可欠であることから、権利制限の対象としていただきたいと考えます。こうした措置は諸外国における拒絶理由の通知で引用される非特許文献の扱いと矛盾しませんし、国際協調を図る上からも望ましいと思えます。
また、特許庁による出願・審査情報の電子的保存(4)も、閲覧等の対象となるとはいえども、特許審査手続を記録し、審査基準の統一性・公平性を確保するための手段であることから、権利制限の対象となることを立法的に明示すべきであると考えます。
こうした考え方は、著作者の正当な権利を不当に害することには相当しないと思えます。

企業活動において、研究・開発、商品化を迅速に行うことが重要となっている現在、権利保護を迅速且つ適切に行うために、特許庁においては審査時間の短縮をはじめとする様々な取り組みが進められている。また、企業においてもこうした特許庁の取り組みに対応して、出願から審査にいたるまでの手続きの迅速化に向けて努力を行うとともに、適切な権利付与に寄与するための情報提供等を行っている。
しかしながら、以下の通り現行著作権法により、迅速且つ適切な権利付与の妨げとなる要因が存在するため、14の全ての項目に対して権利制限を加えるべきである。
1非特許文献を出願人に送付するための審査官による複製について
出願人が特許庁より拒絶理由の通知を受けた場合、現状では拒絶理由の根拠となる非特許文献を出願人が入手しなければならず、中には入手自体が困難な文献もあり、意見書の提出及び補正手続きの迅速化を妨げる要因となっている。
また、出願人が非特許文献を入手するまでの間は充分な拒絶理由の検討を行うことができず、適切な権利付与を阻害する要因にもなっている。

「特許庁が拒絶理由の通知に際しての非特許文献の複製を認めてもらいたい」との要望はもっともで、公益的見地からその必要性は高い。かつこの複製を第42条の「行政の内部資料として必要と認められる」場合と解するのは無理がある。出願者に拒絶理由を通知して内部からでているからである。この様な公益的見地からの複製を許容するために第42条の「行政の内部資料として必要と認められる場合」は狭すぎる。無制限な許容はよくないが、たとえば「行政の内部資料あるいは外部で使う場合でも、著作権侵害の恐れがない場合」という表現に変え、公益性を柔軟に判断できる条文にすべきである。

「問題の所在」1から4のいずれも権利制限を行うことが必要であると考える。理由は7頁2段落目の記載のとおり。

2審査官からの書類提出の求めに応じるための非特許文献の出願人による複製について 「問題の所在」1から4のいずれも権利制限を行うことが必要であると考える。理由は7頁2段落目の記載のとおり。

「特許法194条により、特許庁が当事者から必要な書類等の提出を求める場合、こうした複製に関しても権利制限の対象として欲しい」との要望があるが、この場合は、特許庁が内部資料として使う場合に当たり、第42条の適用はあると解すべきである。「何人も特許庁に対して先行技術文献を提出することによって、情報を提供することができる」場合も同様である。特許庁がこれを特許と認めるか否かの資料にのみ使う限り「内部資料として使う場合」に当たる。このような場合は、法改正ではなく、特許庁や私人が第42条に該当すると解釈し、自信をもって行動することによって解決すべきである。

企業活動において、研究・開発、商品化を迅速に行うことが重要となっている現在、権利保護を迅速且つ適切に行うために、特許庁においては審査時間の短縮をはじめとする様々な取り組みが進められている。また、企業においてもこうした特許庁の取り組みに対応して、出願から審査にいたるまでの手続きの迅速化に向けて努力を行うとともに、適切な権利付与に寄与するための情報提供等を行っている。
しかしながら、以下の通り現行著作権法により、迅速且つ適切な権利付与の妨げとなる要因が存在するため、14の全ての項目に対して権利制限を加えるべきである。
2審査官からの書類提出の求めに応じるための非特許文献の出願人による複製について審査官からの要請により、出願人が非特許文献の複製を作成する場合、現行法においては当該非特許文献の著作権者に対する手続きに時間がかかるだけでなく、著作権者の許諾を得られない場合には提出が不可能となる等、審査の迅速化を妨げる要因となっている。

要望事項の4はともかくとして、13の非特許文献については権利制限の対象にすべきではない。著作権法第42条の現行の運用通り、1については文献を示すのみで充分と考える。出願者はもともと自らの利益保全のために特許出願をしているのであるから、その責任と負担において文献を入手し、利用すべきである。

3.「1非特許文献を出願に送付するための審査官による複製」、「2審査官からの書類提出の求めに応じるための非特許文献の出願による複製」、「3特許庁への先行技術文献(非特許文献)の提出による情報提供のための複製」について
(1)上記1ないし3に規定される非特許文献の複製は、「行政手続きのために必要と認められる場合」の態様として、明文の権利制限規定を新設すべきである。
(2)理由:2.で上述したとおり、特許審査の迅速化並びに適正化を図るために、上記の複製行為の免責は不可欠である。「情報提供のための複製」についても、非特許文献を刊行物として提出することは決して稀ではなく、複製権が働くことによって、本来拒絶されるべき特許出願への情報提供が阻害されるべきでない。

4.上記1ないし3に規定される非特許文献の複製に付随する複製行為について
(1)上記1ないし3に規定される非特許文献の複製に付随して、出願代理人から出願人への通信において必要となる複製(代理人における控えの作成)、並びに非特許文献が外国語文献である場合の翻訳、その翻訳物の複製等の行為は、拒絶理由応答ないし情報提供において必要な限度において複製権の行使を制限すべく、「行政手続きのために必要と認められる場合」の態様として、例えば政令等において免責されるべきである。
(2)拒絶理由応答や情報提供において迅速、的確に対応するには、出願代理人、出願人双方においての文献検討が不可欠であり、また「行政手続きを行なうために必要と認められる範囲内」においての複製物、翻案物の作成に限り免責すれば、著作権者の利益を不当に害するものとはならない。

一定の権利制限は必要性であるが、審議経過にもあるように現行制限規定で処理するのは困難である。そこで、新たな権利制限が必要となるが、特許権が産業の発展のためであり、本質的に経済的利益であることからすれば、権利者の財産的価値をも否定するような政策を採ることは均衡を欠くように思われる。

2審査官からの書類提出の求めに応じるための非特許文献の出願人による複製について
特許制度の公益性の観点からすれば、許諾権を制限することには、権利者が社会的負担を負うべきである。一方で、無償での制限を負うとすれば、特許権取得者はそれで利益を得るにもかかわらず、そのために何らの財産回収もできないとすれば著しく均衡を欠くことになる。

「○問題の所在」の1から4については、特許出願人である当協会の会員各社にとって特許の権利化(登録)を迅速に進めるうえで必要不可欠なものである。これにより、非特許文献の著作権者の利益を不当に害することとはならないと考えられるため、早急に権利制限を認めるべきである。
なお、このための手続きに使用した非特許文献については、審査官のみならず出願人の側でも電子的に保存することができるよう法律上の手当てをお願いしたい。
また、これについては特許手続きのみならず、実用新案、意匠、商標及び特許協力条約に基づく国際特許の各手続きにおいても同様に法律の手当てをしていただきたい。
なお、これら検討されている事項は、主として産業財産権法の手続きに関することなので、結論がでたら著作権法のみならず、それぞれの法律の中に規定していただきたい。

14のいずれについても権利制限を行うべきである。
開発・研究のために必要な複製に関しては、対価を支払うべきであるが、いずれも特許審査のために必要な複製であり、複製が行われなければ、特許取得企業のみならず、国民の利益を損することになる。複製は、国の制度上の要求に応ずるためのものであり、要求はより審査を正確なものにするためのものであり、その複製物が流出するなどの危険も少ない。権利制限によって発生する不利益がいかなるものか権利者側から明確な説明が為されるべきである。
なお、開発・研究のための複製についても、元となる論文・書籍が購入不可能な場合で著作権者不明などの理由で複製が困難な場合は、補償金をプールするなどして複製が可能になるような対処が必要と思われる。

今般の特許出願の審査、審判における手続きの複製とされている行為は複製ではなく単なる引用に過ぎないから、現状で何ら問題はなく著作権法を改正する必要はない。
審査、審判において先行技術として書籍が参照されるときは審査、審判を要求するものが自分で購入した書籍を引用して特許庁の審査官に知らせるもので複製ではない。また審査官が引用を確認するために図書館の複製を利用しても複製には当たらない。審査員が出願者に先行技術を一部引用しても複製ではない。これらの用途では元著作物の名称、発行年月日、引用場所がそろっていなければ役に立たないからである。

権利制限すべきです。
迅速な特許審査を行うためには、必要。
文献複写に係わる著作権管理団体は複数あるが、非特許文献のすべてをカバーしているわけではない。特にパンフレット・マニュアル類についてはほとんど権利は委託されていない。
また、論文・書籍などについても、複数の管理団体が併存しており、管理著作物を調べる際にはすべての団体を調査せざるを得ず、利用者の負担は大きい。
2002年1月に社団法人情報科学技術協会は管理団体の統合を提言しているが、3年半以上経ったにもかかわらず、状況は好転していない。
http://www.infosta.or.jp/oshirase/cccteigen.html
このような状況下では、個別の権利処理を利用者に求めるのは、特許出願人に非常に大きな負担を強いることになる。
一刻も早く権利制限すべき事項だと思います。

1非特許文献を出願人に送付するための審査官による複製」ならびに「2審査官からの書類提出の求めに応じるための非特許文献の出願人による複製」について、「審議の経過」6ページに「要望の1及び2については、的確・迅速な審査手続の確保の観点から、権利制限を行うことが必要であるとする意見が多かった。」とあり、また、「3特許庁への先行技術文献(非特許文献)の提出による情報提供のための複製」について、「審議の経過」6ページに「将来の紛争防止につながる公益性の極めて高い重要な手続であることから1及び2と同様の扱いとすべきとの意見が多かった。」とある。しかし、特許審査の際に利用される多くの学術論文(非特許文献)ならびにこれらの論文が掲載されている理工学・技術専門書誌は、特許技術を含む理工学専門情報を研究者や特許庁ならびに理工学・技術を管理する官公庁に伝達することをその出版目的としており、これらの出版物にとっては特許開発の研究者あるいは特許開発型企業の技術関係者も大きな市場である。これらの専門書誌が審査手続の的確性・迅速性という理由で権利制限されてしまうことはこれらの出版物の発行と販売にとって非常に影響が大きい。特許にかかる権利は個人あるいは私企業に属するものであり、その確保のために同様の知的所有権である出版物の著作権が侵害されることは権利者間の公平性の観点からも問題がある。
3特許庁への先行技術文献(非特許文献)の提出による情報提供のための複製」について、「審議の経過」6ページに「情報提供の主体が広範に及び複製の量も大きくなるおそれがある」とあり、上記1及び2については6ページのグラフで年間2万件程度としているものの、3にかかる複写については全体量が全く不明であり、問題点は上記に記載の通りである。また、これらの複写は先行技術を所有しているとする者が自己の権利を保全するために行うものであり、その確保のために同様の知的所有権である出版物の著作権が侵害されることは特に権利者間の公平性の観点からも問題がある。
「審議の経過」4ページに「当事者は権利者の許諾なく複写することができず」とあるが、権利者の許諾を得ればこれらの学術論文(非特許文献)や理工学・技術専門書誌を複写利用することは可能であり、多くの権利者はそのことを否定していないことのみならず、多くの権利は日本複写権センター、学術著作権協会、日本著作出版権管理システム等の管理団体に委託されており、利用者は事前に年間契約を締結すれば、包括的処理、あるいは事後の報告で権利処理を行うことが可能である。
「審議の経過」7ページに「現行法でも、第42条は、内部資料として必要な限度で行政目的の複製を認めていることから、特許庁が内部資料として、さまざまな文献の複写を権利者の許諾なく行うことは可能である。しかし、非特許文献については入手困難なものも多く、また、仮に要望の1から4の権利制限を行ったとしても、権利者にとっても結果的に被る制約は現状と同程度であると考えられる。したがって、これを認めることは、ベルヌ条約が求める「著作物の通常の利用を妨げず、かつ、その著作者の正当な利益を不当に害しない」との条件に矛盾しないものと考えられる。」とある。しかし、要望事項の4はともかくとしても、1から3については現状では第42条の範囲内ではないので、この部分について権利制限を拡大すれば、程度の差はあるとしても必ず権利者に影響が出ることになる。それが何故「権利者にとっても結果的に被る制約は現状と同程度であると考えられる」のか理解できない。著作権法第42条は確かに行政目的においては権利制限を認めているが、それは「内部資料として必要と認められる限度」であって、「複製物が作成部局内での使用にとどまる場合に限定され」(加戸守行:著作権法逐条講義四訂新版、283ページ)、外部から提供されることには適用されないというのがそもそもの立法趣旨である。それを行政庁が所有あるいは必要とする著作物であるからという理由で、複製物の外部への提供や外部からの入手までに著作権法第42条の概念を適用するのはあまりにも乱暴な論議である。行政庁以外が行う複製は当然権利制限の対象外とすべきであって、責任の所在と帰属性から考えてもそこには一定の線引きが必要であることは言うまでもない。また著作権法第42条には「ただし、当該著作物の種類及び用途並びにその複製の部数及び態様に照らし著作権者の利益を不当に害することとなる場合は、この限りでない。」という但し書きがあり、「著作物の経済的市場における使用と衝突するようなケース、あるいは、著作物の潜在的販路に悪影響を与えるようなケースには、たとえ内部資料としてであっても複製物を作成できない。」(加戸守行:著作権法逐条講義四訂新版、283ページ)とあり、非常に限定的に解釈されるべきである。

また、「非特許文献については入手困難なものも多く」とあるが、これらの文献の多くは複数の文献複写業者によってそのデータベース検索と複製物の提供サービス、ならびにそれにかかる権利処理が可能であり、全く困難ではない。また、要望の123いずれの場合も複写の原本となる出版物そのものは特許庁、出願人あるいは先行技術保有者のいずれかが所有しているはずであり、入手そのものが困難であるということはない。よって、複写物の入手は可能であり、残った問題は「許諾の入手」だけであり、その問題は上記に記載の通り、複写管理団体との契約によって多くの権利処理が簡便な方法によって可能となっている。
本件において要望されている目的を果たすために利用者の便宜を図ることは重要であるが、それは権利制限ではなく、文献複写サービスと複写管理団体が全ての需要に応えられる体制を確立することによって達成すべきである。

特許審査手続に係る権利制限に関して、
1非特許文献を出願人に送付するための審査官による複製
2審査官からの書類提出の求めに応じるための非特許文献の出願人による複製
3特許庁への先行技術文献(非特許文献)の提出による情報提供のための複製
4非特許文献を出願・審査情報の一環として電子的に保存するための特許庁による複製について、議論されています。
このいずれについても権利制限を認めることに賛成します。
拒絶理由の通知に引用される非特許文献の審査官による複製(1)、審査官の書類提出の求めに応じるための出願人による複製(2)、非特許先行技術文献提出による情報提供のための複製(3)は、的確かつ迅速な特許審査を確保するために不可欠であることから、権利制限の対象としていただきたいと考えます。こうした措置は諸外国における拒絶理由の通知で引用される非特許文献の扱いと矛盾しませんし、国際協調を図る上からも望ましいと思えます。
また、特許庁による出願・審査情報の電子的保存(4)も、閲覧等の対象となるとはいえども、特許審査手続を記録し、審査基準の統一性・公平性を確保するための手段であることから、権利制限の対象となることを立法的に明示すべきであると考えます。
こうした考え方は、著作者の正当な権利を不当に害することには相当しないと思えます。

Proposed exception (2) seems perhaps the least justifiable. A patent applicant must incur some costs in seeking to secure a statutory monopoly on her discovery or invention. Often these costs, for preparing and filing an application and responding to requests from patent examiners, may be considerable. If a patent examiner asks an applicant to provide a particular document falling within the category of “non-patent literature,” and if a citation to a source accessible to the patent examiner will not suffice, then the applicant could be required to obtain permission to copy the document, and pay whatever licensing fee applies. In many cases, the applicant can readily do this through a collective administration mechanism such as the Japan Copyright Licensing System (JCLS) or the Japan Academic Association for Copyright Clearance (JAACC). The applicant could also obtain the document from a document supply service that has a licensing arrangement with the publisher, or could license the use directly from the publisher.

AAP is not aware how often this situation occurs in the patent process, and we suspect that the cost of obtaining a license to copy a requested document would add very little, relatively speaking, to the overall cost of obtaining a patent. However, to the extent that an additional cost must be incurred to obtain a license, the most fair and reasonable approach is to allocate that cost to the applicant, who is the party with a financial stake in the matter, and who will benefit if the patent is granted. It would be most unfair to require a scientific, technical or medical publisher to bear this cost by foregoing any licensing revenue for the use. The publisher generally has no stake whatsoever in the patent application, and will not benefit in the least from the issuance of a patent. It should not be required to subsidize a patent applicant or assignee ? often a large corporation ? in this way.


審査官が「特許審査手続」の一環として「拒絶理由通知」に際して、非特許文献の出所を出願人に明示するだけでは、審査がなかなか進まないと思われます。現状でも相当な時間がかかっているのですから。当事者が非特許文献を提出するためには、更に複製の許諾を得てから複写物を提出しなければならず、迅速な審査が行われるとは思われません。全て(又は大多数)の非特許文献が迅速・的確な許諾を受けれる状況になっていない現状では、益々、的確・迅速な審査に支障をきたすことになります。この件の権利制限を行うことに賛成を致します。

3特許庁への先行技術文献(非特許文献)の提出による情報提供のための複製について 誰でも先行技術文献を提供できることは、特許審査を公平に審査できることにつながり、紛争防止にもつながる手続である。私的な利益を得るために文献を複製して提出するわけではないので、権利制限を行うことに賛成です。

特許審査手続に係る権利制限に関して、
1非特許文献を出願人に送付するための審査官による複製
2審査官からの書類提出の求めに応じるための非特許文献の出願人による複製
3特許庁への先行技術文献(非特許文献)の提出による情報提供のための複製
4非特許文献を出願・審査情報の一環として電子的に保存するための特許庁による複製について、議論されています。
このいずれについても権利制限を認めることに賛成します。
拒絶理由の通知に引用される非特許文献の審査官による複製(1)、審査官の書類提出の求めに応じるための出願人による複製(2)、非特許先行技術文献提出による情報提供のための複製(3)は、的確かつ迅速な特許審査を確保するために不可欠であることから、権利制限の対象としていただきたいと考えます。こうした措置は諸外国における拒絶理由の通知で引用される非特許文献の扱いと矛盾しませんし、国際協調を図る上からも望ましいと思えます。
また、特許庁による出願・審査情報の電子的保存(4)も、閲覧等の対象となるとはいえども、特許審査手続を記録し、審査基準の統一性・公平性を確保するための手段であることから、権利制限の対象となることを立法的に明示すべきであると考えます。
こうした考え方は、著作者の正当な権利を不当に害することには相当しないと思えます。

14のいずれについても権利制限を行うべきである。
開発・研究のために必要な複製に関しては、対価を支払うべきであるが、いずれも特許審査のために必要な複製であり、複製が行われなければ、特許取得企業のみならず、国民の利益を損することになる。複製は、国の制度上の要求に応ずるためのものであり、要求はより審査を正確なものにするためのものであり、その複製物が流出するなどの危険も少ない。権利制限によって発生する不利益がいかなるものか権利者側から明確な説明が為されるべきである。
なお、開発・研究のための複製についても、元となる論文・書籍が購入不可能な場合で著作権者不明などの理由で複製が困難な場合は、補償金をプールするなどして複製が可能になるような対処が必要と思われる。

「○問題の所在」の1から4については、特許出願人である当協会の会員各社にとって特許の権利化(登録)を迅速に進めるうえで必要不可欠なものである。これにより、非特許文献の著作権者の利益を不当に害することとはならないと考えられるため、早急に権利制限を認めるべきである。
なお、このための手続きに使用した非特許文献については、審査官のみならず出願人の側でも電子的に保存することができるよう法律上の手当てをお願いしたい。
また、これについては特許手続きのみならず、実用新案、意匠、商標及び特許協力条約に基づく国際特許の各手続きにおいても同様に法律の手当てをしていただきたい。
なお、これら検討されている事項は、主として産業財産権法の手続きに関することなので、結論がでたら著作権法のみならず、それぞれの法律の中に規定していただきたい。

一定の権利制限は必要性であるが、審議経過にもあるように現行制限規定で処理するのは困難である。そこで、新たな権利制限が必要となるが、特許権が産業の発展のためであり、本質的に経済的利益であることからすれば、権利者の財産的価値をも否定するような政策を採ることは均衡を欠くように思われる。

3特許庁への先行技術文献(非特許文献)の提出による情報提供のための複製について
一方で、特許の正当性を担保するための情報提供複製については、必ずしも、複製者の財産につながるものではない。ただし、12については、要補償金と解するところ、これについて補償金を必要としても特段の負担が生じるわけではないと考える。

「将来の紛争防止につながる公益性の極めて高い重要な手続であることから1及び2と同様の扱いとすべきとの意見が多かった」とありますが、権利者同士の権利の扱いに不公平感を感じます。特許開発に関わる当該の研究者や企業は、もともと利益追求の側面もあり、公共性という表面だけで私的利潤目的が隠れがちです。それら特許申請と私たち出版社が生業としている出版業は、いずれも公共に資するという使命は同じであり、にもかかわらず、権利者同士の公平性が保たれていないのは、いささか納得のいくものではありません。

権利制限すべきです。
迅速な特許審査を行うためには、必要。
文献複写に係わる著作権管理団体は複数あるが、非特許文献のすべてをカバーしているわけではない。特にパンフレット・マニュアル類についてはほとんど権利は委託されていない。
また、論文・書籍などについても、複数の管理団体が併存しており、管理著作物を調べる際にはすべての団体を調査せざるを得ず、利用者の負担は大きい。
2002年1月に社団法人情報科学技術協会は管理団体の統合を提言しているが、3年半以上経ったにもかかわらず、状況は好転していない。
http://www.infosta.or.jp/oshirase/cccteigen.html
このような状況下では、個別の権利処理を利用者に求めるのは、特許出願人に非常に大きな負担を強いることになる。
一刻も早く権利制限すべき事項だと思います。

今般の特許出願の審査、審判における手続きの複製とされている行為は複製ではなく単なる引用に過ぎないから、現状で何ら問題はなく著作権法を改正する必要はない。
審査、審判において先行技術として書籍が参照されるときは審査、審判を要求するものが自分で購入した書籍を引用して特許庁の審査官に知らせるもので複製ではない。また審査官が引用を確認するために図書館の複製を利用しても複製には当たらない。審査員が出願者に先行技術を一部引用しても複製ではない。これらの用途では元著作物の名称、発行年月日、引用場所がそろっていなければ役に立たないからである。

3.「1非特許文献を出願に送付するための審査官による複製」、「2審査官からの書類提出の求めに応じるための非特許文献の出願による複製」、「3特許庁への先行技術文献(非特許文献)の提出による情報提供のための複製」について
(1)上記1ないし3に規定される非特許文献の複製は、「行政手続きのために必要と認められる場合」の態様として、明文の権利制限規定を新設すべきである。
(2)理由:2.で上述したとおり、特許審査の迅速化並びに適正化を図るために、上記の複製行為の免責は不可欠である。「3情報提供のための複製」についても、非特許文献を刊行物として提出することは決して稀ではなく、複製権が働くことによって、本来拒絶されるべき特許出願への情報提供が阻害されるべきでない。

4.上記1ないし3に規定される非特許文献の複製に付随する複製行為について
(1)上記1ないし3に規定される非特許文献の複製に付随して、出願代理人から出願人への通信において必要となる複製(代理人における控えの作成)、並びに非特許文献が外国語文献である場合の翻訳、その翻訳物の複製等の行為は、拒絶理由応答ないし情報提供において必要な限度において複製権の行使を制限すべく、「行政手続きのために必要と認められる場合」の態様として、例えば政令等において免責されるべきである。
(2)拒絶理由応答や情報提供において迅速、的確に対応するには、出願代理人、出願人双方においての文献検討が不可欠であり、また「行政手続きを行なうために必要と認められる範囲内」においての複製物、翻案物の作成に限り免責すれば、著作権者の利益を不当に害するものとはならない。

1非特許文献を出願人に送付するための審査官による複製」ならびに「2審査官からの書類提出の求めに応じるための非特許文献の出願人による複製」について、「審議の経過」6ページに「要望の1及び2については、的確・迅速な審査手続の確保の観点から、権利制限を行うことが必要であるとする意見が多かった。」とあり、また、「3特許庁への先行技術文献(非特許文献)の提出による情報提供のための複製」について、「審議の経過」6ページに「将来の紛争防止につながる公益性の極めて高い重要な手続であることから1及び2と同様の扱いとすべきとの意見が多かった。」とある。しかし、特許審査の際に利用される多くの学術論文(非特許文献)ならびにこれらの論文が掲載されている理工学・技術専門書誌は、特許技術を含む理工学専門情報を研究者や特許庁ならびに理工学・技術を管理する官公庁に伝達することをその出版目的としており、これらの出版物にとっては特許開発の研究者あるいは特許開発型企業の技術関係者も大きな市場である。これらの専門書誌が審査手続の的確性・迅速性という理由で権利制限されてしまうことはこれらの出版物の発行と販売にとって非常に影響が大きい。特許にかかる権利は個人あるいは私企業に属するものであり、その確保のために同様の知的所有権である出版物の著作権が侵害されることは権利者間の公平性の観点からも問題がある。
3特許庁への先行技術文献(非特許文献)の提出による情報提供のための複製」について、「審議の経過」6ページに「情報提供の主体が広範に及び複製の量も大きくなるおそれがある」とあり、上記1及び2については6ページのグラフで年間2万件程度としているものの、3にかかる複写については全体量が全く不明であり、問題点は上記に記載の通りである。また、これらの複写は先行技術を所有しているとする者が自己の権利を保全するために行うものであり、その確保のために同様の知的所有権である出版物の著作権が侵害されることは特に権利者間の公平性の観点からも問題がある。
「審議の経過」4ページに「当事者は権利者の許諾なく複写することができず」とあるが、権利者の許諾を得ればこれらの学術論文(非特許文献)や理工学・技術専門書誌を複写利用することは可能であり、多くの権利者はそのことを否定していないことのみならず、多くの権利は日本複写権センター、学術著作権協会、日本著作出版権管理システム等の管理団体に委託されており、利用者は事前に年間契約を締結すれば、包括的処理、あるいは事後の報告で権利処理を行うことが可能である。

「審議の経過」7ページに「現行法でも、第42条は、内部資料として必要な限度で行政目的の複製を認めていることから、特許庁が内部資料として、さまざまな文献の複写を権利者の許諾なく行うことは可能である。しかし、非特許文献については入手困難なものも多く、また、仮に要望の1から4の権利制限を行ったとしても、権利者にとっても結果的に被る制約は現状と同程度であると考えられる。したがって、これを認めることは、ベルヌ条約が求める「著作物の通常の利用を妨げず、かつ、その著作者の正当な利益を不当に害しない」との条件に矛盾しないものと考えられる。」とある。しかし、要望事項の4はともかくとしても、1から3については現状では第42条の範囲内ではないので、この部分について権利制限を拡大すれば、程度の差はあるとしても必ず権利者に影響が出ることになる。それが何故「権利者にとっても結果的に被る制約は現状と同程度であると考えられる」のか理解できない。著作権法第42条は確かに行政目的においては権利制限を認めているが、それは「内部資料として必要と認められる限度」であって、「複製物が作成部局内での使用にとどまる場合に限定され」(加戸守行:著作権法逐条講義四訂新版、283ページ)、外部から提供されることには適用されないというのがそもそもの立法趣旨である。それを行政庁が所有あるいは必要とする著作物であるからという理由で、複製物の外部への提供や外部からの入手までに著作権法第42条の概念を適用するのはあまりにも乱暴な論議である。行政庁以外が行う複製は当然権利制限の対象外とすべきであって、責任の所在と帰属性から考えてもそこには一定の線引きが必要であることは言うまでもない。また著作権法第42条には「ただし、当該著作物の種類及び用途並びにその複製の部数及び態様に照らし著作権者の利益を不当に害することとなる場合は、この限りでない。」という但し書きがあり、「著作物の経済的市場における使用と衝突するようなケース、あるいは、著作物の潜在的販路に悪影響を与えるようなケースには、たとえ内部資料としてであっても複製物を作成できない。」(加戸守行:著作権法逐条講義四訂新版、283ページ)とあり、非常に限定的に解釈されるべきである。

また、「非特許文献については入手困難なものも多く」とあるが、これらの文献の多くは複数の文献複写業者によってそのデータベース検索と複製物の提供サービス、ならびにそれにかかる権利処理が可能であり、全く困難ではない。また、要望の123いずれの場合も複写の原本となる出版物そのものは特許庁、出願人あるいは先行技術保有者のいずれかが所有しているはずであり、入手そのものが困難であるということはない。よって、複写物の入手は可能であり、残った問題は「許諾の入手」だけであり、その問題は上記に記載の通り、複写管理団体との契約によって多くの権利処理が簡便な方法によって可能となっている。
本件において要望されている目的を果たすために利用者の便宜を図ることは重要であるが、それは権利制限ではなく、文献複写サービスと複写管理団体が全ての需要に応えられる体制を確立することによって達成すべきである。

企業活動において、研究・開発、商品化を迅速に行うことが重要となっている現在、権利保護を迅速且つ適切に行うために、特許庁においては審査時間の短縮をはじめとする様々な取り組みが進められている。また、企業においてもこうした特許庁の取り組みに対応して、出願から審査にいたるまでの手続きの迅速化に向けて努力を行うとともに、適切な権利付与に寄与するための情報提供等を行っている。
しかしながら、以下の通り現行著作権法により、迅速且つ適切な権利付与の妨げとなる要因が存在するため、14の全ての項目に対して権利制限を加えるべきである。
3特許庁への先行技術文献(非特許文献)の提出による情報提供のための複製について
特許性の認められない技術に対する誤った権利付与を防ぐために、特許庁に対して非特許文献をはじめとする先行技術文献の提供が行われるが、当該非特許文献の著作権者に対する文献提供許諾手続きが自由な情報提供を困難なものとしているだけでなく、許諾を得られない場合、必要な情報提供が不可能となり、不適切な権利付与の要因となっている。

要望事項の4はともかくとして、13の非特許文献については権利制限の対象にすべきではない。著作権法第42条の現行の運用通り、1については文献を示すのみで充分と考える。出願者はもともと自らの利益保全のために特許出願をしているのであるから、その責任と負担において文献を入手し、利用すべきである。

Our analysis of proposed exception (3) is similar. A person who submits prior art documentation to the Patent Office usually has an economic stake in contesting a pending patent application. To the extent that there is a cost burden associated with licensing the reproduction of this documentation, the fairest way is to impose this burden on the submitter, and not to require a publisher with no interest in the matter to subsidize the submission. The Committee may wish to inquire further into the actual practice by which prior art is submitted to the Patent Office, in order to determine how often prior art documentation is submitted by a disinterested third party who would, for some reason, not be in a position to obtain a license through any of the methods listed above.

「問題の所在」1から4のいずれも権利制限を行うことが必要であると考える。理由は7頁2段落目の記載のとおり。

4非特許文献を出願・審査情報の一環として電子的に保存するための特許庁による複製について 「問題の所在」1から4のいずれも権利制限を行うことが必要であると考える。理由は7頁2段落目の記載のとおり。

Similar questions arise with respect to proposed exception (4) on electronic archiving of non-patent literature by the Patent Office. AAP thinks that it is likely that much of this material consists of widely circulated professional publications, such as books and journals, for which licensing arrangements for electronic archiving (or for Patent Office access to electronic editions) could be made with relative ease through one of the mechanisms mentioned above. If so, there would seem to be little justification for recognition of an exception to copyright protection in this area. In any event, AAP urges the Committee to proceed with particular caution in this area, since, as the Interim Report points out, it is essential to ensure that any archive established by the Patent Office is accessible for internal purposes only.

企業活動において、研究・開発、商品化を迅速に行うことが重要となっている現在、権利保護を迅速且つ適切に行うために、特許庁においては審査時間の短縮をはじめとする様々な取り組みが進められている。また、企業においてもこうした特許庁の取り組みに対応して、出願から審査にいたるまでの手続きの迅速化に向けて努力を行うとともに、適切な権利付与に寄与するための情報提供等を行っている。
しかしながら、以下の通り現行著作権法により、迅速且つ適切な権利付与の妨げとなる要因が存在するため、14の全ての項目に対して権利制限を加えるべきである。
4非特許文献を出願・審査情報の一環として電子的に保存するための特許庁による複製について
特許審査の迅速化の上では、特許庁の保有するあらゆる文献情報の有効活用が不可欠であり、特にこれら情報の電子化は最も有効な手段と考えられる。しかしながら膨大な数量の非特許文献の著作権者に対して必要な手続きを行うことは極めて非効率的である。

3.「4非特許文献を出願・審査情報の一貫として電子的に保存するための特許庁による複製について」
(1)上記4に規定される非特許文献の複製は、「内部資料として必要」と認められる限度においての第42条において免責される複製であることを確認すべく、政令等に具体的規定を置くべきである。
(2)上記4における電子情報は、閲覧の対象となるため、現行第42条により免責されるか否かは疑義が生じ得る。

一定の権利制限は必要性であるが、審議経過にもあるように現行制限規定で処理するのは困難である。そこで、新たな権利制限が必要となるが、特許権が産業の発展のためであり、本質的に経済的利益であることからすれば、権利者の財産的価値をも否定するような政策を採ることは均衡を欠くように思われる。

第42条と3の中間的なようなものである。許諾権を制限することについては、問題ないように思われるが、補償金については、大量の複製が行われること、特許事務が有償であることから、検討されても良いように考える。
なお、商標等の同種手続きについても同様である。

特許庁に提出される特許申請件数は多数(数十万件)にのぼり、それを審査するための非特許文献も当然多数に上ると思われる。審査状況を考えたときに、電子的に保存することについては、公的業務として行うわけであるので、権利制限することに賛成である。

「○問題の所在」の1から4については、特許出願人である当協会の会員各社にとって特許の権利化(登録)を迅速に進めるうえで必要不可欠なものである。これにより、非特許文献の著作権者の利益を不当に害することとはならないと考えられるため、早急に権利制限を認めるべきである。
なお、このための手続きに使用した非特許文献については、審査官のみならず出願人の側でも電子的に保存することができるよう法律上の手当てをお願いしたい。
また、これについては特許手続きのみならず、実用新案、意匠、商標及び特許協力条約に基づく国際特許の各手続きにおいても同様に法律の手当てをしていただきたい。
なお、これら検討されている事項は、主として産業財産権法の手続きに関することなので、結論がでたら著作権法のみならず、それぞれの法律の中に規定していただきたい。

14のいずれについても権利制限を行うべきである。
開発・研究のために必要な複製に関しては、対価を支払うべきであるが、いずれも特許審査のために必要な複製であり、複製が行われなければ、特許取得企業のみならず、国民の利益を損することになる。複製は、国の制度上の要求に応ずるためのものであり、要求はより審査を正確なものにするためのものであり、その複製物が流出するなどの危険も少ない。権利制限によって発生する不利益がいかなるものか権利者側から明確な説明が為されるべきである。
なお、開発・研究のための複製についても、元となる論文・書籍が購入不可能な場合で著作権者不明などの理由で複製が困難な場合は、補償金をプールするなどして複製が可能になるような対処が必要と思われる。

ただし、4頁にある「以上のほか、審査の過程で審査官が審査目的で複製した資料については、これを電子化して他の出願書類とともに保存しておけば、将来の審査・審判手続において有効に活用され、手続の迅速化に資することが期待されることから、特許庁がこうした複製を行うことを認めて欲しいとの要望がある。」
については、やはり現行の著作権の引用で済まされる狭い範囲に限定しておくべきであろう、広範囲の複製を認めない代わりに複製の制限を緩和する必要はない。

権利制限すべきです。
迅速な特許審査を行うためには、必要。
また、権利者に不利益をもたらすものではない。
一刻も早く権利制限すべき事項だと思います。

内容的に異議を唱えるものではないが、説明不足ではないか。
現行42条でも保存は可能なものの、閲覧等の対象となり得るため現行42条で可能か疑義があるため立法的に明示すべきとの意見が書かれているが、そもそも電子的に保存したものを閲覧等に供する必要性があるかどうかについては言及されていない。閲覧等に供さない場合は現行法で可能とすれば、閲覧等に供する必要があるかどうかを検討した上で、必要があれば「電子的に保存」することではなく「電子的に保存し、閲覧等に供する」ことについて検討すべきなのではないか。なお、42条により複製したものであっても、42条の2に基づく開示は可能なことを認識した上で検討していただきたい。

特許庁の電子化の要請は、趣旨を異にする。電子化しなくても誤って特許を認定する恐れはなく、この要請は一に手続の迅速のみを目的とするものである。しかし特許を申請してから1年以上待たなければ特許が認定されない現状を考えるとき、この要請は特許申請者の側から重要な意味を持つ。こうした電子化は、多数意見は内部資料と捉えているが、少数意見にみられるように、閲覧等の対象となったり、あるいは、外部に転送する等の可能性も考えられ、行政の内部資料と捉えるには無理があるので、意見1で述べたごとく、第42条の改正が必要と考える。

特許審査手続に係る権利制限に関して、
1非特許文献を出願人に送付するための審査官による複製
2審査官からの書類提出の求めに応じるための非特許文献の出願人による複製
3特許庁への先行技術文献(非特許文献)の提出による情報提供のための複製
4非特許文献を出願・審査情報の一環として電子的に保存するための特許庁による複製について、議論されています。
このいずれについても権利制限を認めることに賛成します。
拒絶理由の通知に引用される非特許文献の審査官による複製(1)、審査官の書類提出の求めに応じるための出願人による複製(2)、非特許先行技術文献提出による情報提供のための複製(3)は、的確かつ迅速な特許審査を確保するために不可欠であることから、権利制限の対象としていただきたいと考えます。こうした措置は諸外国における拒絶理由の通知で引用される非特許文献の扱いと矛盾しませんし、国際協調を図る上からも望ましいと思えます。
また、特許庁による出願・審査情報の電子的保存(4)も、閲覧等の対象となるとはいえども、特許審査手続を記録し、審査基準の統一性・公平性を確保するための手段であることから、権利制限の対象となることを立法的に明示すべきであると考えます。
こうした考え方は、著作者の正当な権利を不当に害することには相当しないと思えます。

全般 特許審査手続において複写利用されることの多い専門書は、もともと学術研究、公共の利益に適う開発という場面で利用されることを目的に出版されている。このような出版物がその本来の利用者に無償で複写されることにより、その販売機会が失われることは、元来、発行部数の少ない理工学書誌、その他の専門書誌の出版が困難となり、日本の学術・技術研究の発展に重大な影響を及ぼすものと考えられる。
また、これは明らかに、ベルヌ条約第9条2で定める、いわゆる「スリーステップテスト」にいう「著作物の通常の利用を妨げる」場合に該当する。
したがって、その権利制限の拡大には反対する。

行政上の手続きを効率化、省力化のための複製であれば制限するべきではないと考えます。行政上の手続きを効率化することはそのまま公共の利益にもつながり、個人の利益よりも公共の利益を重んじる日本国憲法の精神にも反しないと考えます。ただし、この権利制限については明文化する必要があると考えます。法解釈や運用の弾力化によって回避することは明文化されている法文の形骸化につながる虞があります。よって、行政上の手続き上必要とする場合には複製権の保護を得られないということを明文化すべきです。

特許審査手続きの迅速化を図ることは知的財産推進計画においても重要課題とされており、その必要性については十分理解する。しかし、特許審査の際に利用される多くの学術論文やそれらが掲載されている学術専門書籍や雑誌は、もともと特許技術を含む学術専門情報を研究者や学術を管理する官公庁に伝達することをも出版目的の一つとしているものである。これらの出版物(非特許文書)の読者、利用者は該当の出版物の主要な購買者であるべきであり、特許も審査手続の的確性・迅速性という理由で権利制限されてしまうことは、これらの出版物の販売に大きな影響を与えることとなる。また、「審議の経過」の中で「当事者は権利者の許諾なく複写することができず」との記述があるが、出版物の複写に係る権利処理については複数の著作権管理団体が活動しており、医学・工学を含めて学術専門書・雑誌は権利者の許諾をとることにより、複写利用可能なシステムが既に整っている。複写される出版物の著作権者の著作権が制限され、それによって著作権者および出版物の伝達者である出版社の利益が損なわれるべきではないと考える。

出版物の複写に係る権利処理については、すでに複数の著作権管理団体が活動しており、当社でも株式会社日本著作権管理システムに対して権利委託を行っている。

「審議の経過」4ページに「当事者は権利者の許諾なく複写することができず」
とありますが、現在、複写に関する手続きのシステムは整備されつつあり、容易に権利処理ができるようになっています。
当社も複写権センターあるいはJCLS等の管理団体に委託しており、複写に関する依頼があった場合はそれらの管理団体を通していただくよう、お願いしている次第です。
特許審査手続きの迅速化を図る目的での論議は十分に理解できるものですが、まずは現行のシステムをご利用いただき、その上で、どうしても迅速化が図れない、処理手続きが煩雑であるといった問題が顕在化するようでしたら、そこで始めて論議の必要性が生じるものと考えております。
繰り返しになりますが、まずは現行のシステムをご利用いただきたいと思っております。

医学専門の出版社勤務の者です。特許審査手続きや薬事行政における専門書はもともと学術研究、医学医療といった公共の利益に適う場面で利用されることを目的に出版されています。医療に携わる人々向けなので、読者は限定されます。
従って生産部数は小部数です。このような小部数生産の出版物が利用者に無償で提供されると、出版自体が困難になり、理工書や医学書などの専門出版社の存続自体にもかかわる問題であり、断固反対。

現在、審議されているいわゆる「権利制限の見直し」について、意見を提出します。
著作権を公益目的のために制限する著作権制限規定の意義は高く、その見直しは著作権者にとって好ましいものではなく、慎重に検討されるべきと考えます。
特許審査手続や薬事行政において利用される専門書はもともと学術研究、医学医療といった公共の利益に適う場面で利用されることを目的に出版されています。このような出版物がその本来の利用者に無償で提供されてしまうと、もともと発行部数の少ない医学書の出版が困難となります。
その結果、医科学研究領域における著作者の発表の機会が失われてしまいます。
薬事行政における情報提供が国民の健康に関わる重要な要請であることは理解できますが、そのために複写される出版物の著作権者の著作権が制限され、それによって著作権者および出版物の伝達者である出版社の利益が損なわれるべきではないと考えます。
出版物の複写に関して許諾を受けたい者は、しかるべき手続き(許諾契約)を締結することによって複写を行うことが可能です。
また、その複写報告ならびに著作権使用料の支払いは、事後でも良く、複製物入手の迅速性に関しても問題がないといえます。

今回のように出版物がその本来の利用者に無償で提供されてしまうと、専門出版社への経済的損失は多大なものになります。
読者と書き手が同一である専門書出版の場合、情報の正確性・信頼性に対す要求は強くかつ高いレベルが求められます。その要求に応えられない出版社は、これまでも(これからも)淘汰されてきました。
一方、専門書出版社は、営利企業であるが故に継続的に専門書出版を維持することができます。また、良質の専門書出版を維持するには、それに見合うだけの投資が必要です。本来のあるべき淘汰の流れとは別の次元の問題(無償提供)によって、専門書出版が衰退するようであれば、読者である専門家だけではなく、最新の専門知識の最終的な享受者となる国民の損失につながることになります。
本件の検討に際し、慎重な判断を求めます。

特許審査手続き、および薬事行政に関わる権利制限について権利制限が必要と主張する論点について、共通して言及されているのは、公共の福祉のためには、各種手続きの迅速化が必要ということである。まず、この点に反論する。
1 国の各級機関、および地方行政が担っている様々な行政手続きについて、公共の福祉を伴わないものが存在するのか。もし、存在するとすれば、その行政機関が行っている行政手続きこそ、速やかに廃止するのが、公共の福祉にかなうものである。
2 特許権が、排他的独占権として極めて強力な権利である、という位置づけについては、同意する。しかし、そのために、著作権が制限されることがあり得る、という論拠にはならない。
「人間の知的創造活動の成果としては、独創的なアイデアである「発明」や「考案」、ユニークなデザインである「意匠」、音楽や小説、絵画などの「著作物」などがあり、それぞれが特許法、実用新案法、意匠法、著作権法によって保護されています。」というように、どちらかが優先されるという性質のものではない。特許審査が、長期にわたるため、その迅速化が求められていることは、承知している。しかし、それは、特許行政全般にわたる問題であり、著作権に関わる分野について、特に行政手続きが遅滞しているという具体的事例は報告されていない。もし、そういう事例が極めて多く存在するということであれば、特許庁による著作権管理団体への情報開示と、意見交換こそ必要なのではないか。
3 国民の健康ならびに生命に直接関与する分野については、すべからく優先されるのか。
医薬品等の顕著な有用性についての積極的な情報提供は、医薬品等の製造販売業者が、日々、努力していることは、周知の事実である。一方、医薬品等の当該の副作用情報が迅速に情報提供されていないということが、著作権保護によってもたらされた手続きの煩雑さに求められるというのは、一般国民の常識からずれた論議であるといわねばならない。薬害エイズがもたらした貴重な一例の反省がされていないのではないか。
以上により、
特許審査手続きならびに薬事行政における権利制限の拡大に、反対である。

当社は理工学専門書の出版社であり、読者は各メーカー、研究所、大学、専門学校、諸官庁などで、科学技術関連の実務および研究開発に携わる方たちが大多数である。専門書の読者層は限定的であり、それゆえに発行部数も少ない。また技術革新や規格変更等により、商品を改訂して常に新しい情報をお届けしなければならない。
加えて、当社は学会およびメーカーが発行する学会誌や技術ジャーナルの販売元である。当社の読者=現著作者もしくは将来の著作者でもあり、それらの方々が新技術の発明をされ、特許出願や審査請求をされるケースは相当数あるだろうと認識している。権利制限の対象となったからといって、著者や読者がいきなり本を買わなくなるとは思えないが、長い眼でみると、特化した研究分野で採算を度外視した出版物の発行はより難しくなるであろうし、学術研究、医学医療に限らず、特許情報関連で使用される複写が権利制限されることの影響は少なくないと考える。
『権利が働くべき著作物の利用行為に対しての制限は「限定的」(権利制限は法文に具体的に列記されているものに限定)される』が原則であり、「著作者の正当な利益を不当に害しない」との判断の見極めが双方のデータに開きがあり、権利者にとって納得できるものとは言い難い。
また特許に代表される工業所有権においては、体系として整備され、情報公開がなされ、インターネット上で検索可能である。一方、決して小額でない金額を納めて特許出願や出願審査請求し、かつ特許査定や特許審決の場合は特許料を納入し、厳格に知的所有権の維持管理がなされている。その知的財産の煩雑な出願や審査請求や不服申立て等の管理システムのなかで、出願にまつわる一連の作業には決して少なくない手間と時間を要するわけで、審査における出願情報の妥当性を見極めるための一部の手続きのみを権利制限とするのは納得できるものではない。もちろん、迅速に権利処理できる許諾システムを権利者サイドとして責任をもって構築の努力を続ける。国益としての知的所有権保護と活用を促進していくべきである。
当然であるが、現行でも当社出版物には比較的目立つ扉裏や目次頁等に著作権について記載し、複写の権利委託先を明示(当社はJRRCとJCLSに発行出版物の90パーセント以上を委託)しており、利用者が迷われるケースは少ないはずである。またその際にも直接当社へ連絡いただければ、その場で許諾対応を行っている。こうした努力を一部の「許諾がとれない」ケースで損害を被るからという理由で権利制限を行うことは適切でない。むしろ「許諾がとれない」ケースを事後許諾で複写可能とし、拡充することが大事だし、コンセンサスがとれやすいと考える

General Comments:
The reasoning applied in the Interim Report implies that requesting rightsholder permission for the use of copyrighted materials in the course of a patent examination is a time intensive process, impeding an accurate and prompt examination, thereby possibly preventing the grant of a patent, which is, as you say, a strong exclusive right deserving scrutiny for the sake of public interest.

This analysis ignores two facts: the easy availability of scientific literature and the equal value of copyright and patents and intellectual property rights in general.

As to the easy availability of scientific literature:
・ In most cases, scientific non-patent literature can easily and almost instantaneously be obtained through collective licensing bodies, such as JAACC and JCLS, or other document suppliers providing licensed photocopies. Electronic licences generally allow for print-outs for regulatory submissions, including patent submissions
.・ Contrary to what the Interim Report implies, instances where permission of a rightsholder cannot be obtained are rare. Authors and publishers of scientific works are eager to reach readers and will therefore not unreasonably withhold permission for use. To the contrary, authors and publishers of scientific works are dependent on their articles being read. Without readers ? and the license fees they pay ? authors and publishers could not subsist.[For this reason, the intended market for scientific literary works must be widely defined and always includes not only active researchers in both private and public institutions, but also users in government agencies, including the Patent Office.]“Orphan works”, i.e. works where the author or publisher cannot be identified or found are rare in the area of scientific publications and moreover governed by special provisions within the Copyright Law of Japan, see Copyright law of Japan,§8 Article 67).
Requesting rightsholder permission for the use of copyrighted materials in the course of a patent examination is therefore generally not a time-intensive burden imposed on the patent applicant or the examiner. It is rather a necessity to ensure that scientific literature remains available: If the authors or publishers of scientific were deprived of the remuneration for their effort, there would no longer be an incentive to publicise peer-reviewed articles, reliably informing the public as well as researchers about new scientific developments.

As to the equal value of copyright and patents:
Copyright holders' rights should be respected in the same way as the rights of patent holders (to be). The patent right is an exclusive right protecting the interest of an individual or a corporation. It would seem unjust if a patent applicant can ignore the intellectual property of scientific authors and publishers (i.e. copyright) in order to obtain protection for her/his intellectual property (invention).


IPA's Analysis:
In particular given the wide-spread availability of scientific materials through collective licensing schemes, IPA believes that the exception as envisaged by the Legislation Committee could violate the three-step test of the Berne Convention and the WTO TRIPS: The exception rises to a level of a conflict with a normal exploitation of the work as the uses of the work pursuant to the exception would enter into competition with the ways the rightsholder normally extracts economic value from that right.(See WTO Panel Report, Section 110(5) of the US Copyright Act,15 June 2000, NT/DS160/R at para.6.183).

Further, IPA urges the Legislation Committee not to favour one intellectual/industrial property over another, but to promote harmonious solutions that allow for both important goods to prosper. A decision unnecessarily weakening copyright would send dangerous signals to the creative communities in your country, in particular to those losing the incentive to continue their creative activity.
We would therefore welcome if the Legislation Committee was to review the introduction of an exception to the reproduction right in Cases (1) to (3) identified in the Interim Report and to no longer ignore the legitimate rights of copyright holders to receive at least a fair compensation for any use made of their works in the course of the patent examination procedure.

Comments on the proposed limitation allowing reproduction for the purpose of electronically archiving non-patent literature (Case 4):
IPA vehemently rejects the proposal to allow the digitisation of copyrighted material for archiving purposes.

The term of copyright is limited. This limitation has been put into place to ensure that works enter into the public domain, and can be generally accessed, once the legitimate personal and commercial interests of the author have expired. IPA welcomes if public domain works are preserved in digital archives and made generally accessible, using whatever technology appears fit.
For the length of the copyright term, however, it remains the unassailable, inalienable fundamental right of the author or publisher to decide whether someone should digitise her/his works. Whether or not the distribution of digitised copies is limited to a small circle of persons, the mere existence of an (unauthorised) digital copy of a copyrighted work puts the author's or publisher's ability to control the further use of her or his works at risk: The digital environment creates the potential to produce and disseminate unlimited perfect copies of a digitised copyrighted work, and this even with relatively modest technical means.

IPA believes that any copyright limitation allowing digitisation and electronic archiving at this stage is going far beyond the alleged needs of the participants in the patent examination procedure. It should be rejected as unreasonably prejudicing the legitimate interests of the rightsholder due to the ease with which such an electronic copy can be distributed.


【意見】
特許審査手続を適正に運用することは社会全体に資するものであり、著作権の行使を認めるあまりに瑕疵ある出願へ特許を認めるような事態となれば本末転倒である。よって権利制限を認めるべきと考える。

【理由】
●近年、他社の事業を妨害することだけが目的であるかのような、特許権を根拠としながら内容が不適切であると言わざるを得ない裁判が続発している(代表的なものでは、先日知財高裁で判決のあった松下×ジャストシステムの一太郎訴訟等)。このような事例から、特許を認める時点での判断の適切さが疑われることが増えているように見受けられる。
●「審議の経過」にもあるように、特許を認めるか否かで適切な判断が下されなかった場合には、社会全体がその影響を甘受しなければならなくなる。誤った特許権の主張で裁判が起こる場合の社会負担がその一例である。著作権者を保護することに気をとられすぎこうした瑕疵ある特許の負の影響を受けることは、国民の多くには到底納得できないことであろう。
●特許制度の適切な運用を優先し、それを妨げるような著作権行使は行き過ぎであると認めた上で権利制限を規定することは、社会の要請に合致するものであると考えられる。
●この権利制限が実現した場合に、利益を得るものが特許出願者・情報提供者であるから本来の著作権使用料を払うべきとする著作権者側の主張は妥当でない。なぜなら、瑕疵ある特許が仮に認められてしまえば、その影響は国民全体に及ぶからである。むしろこの権利制限の受益者として想定されるべきは全国民(すなわち日本社会全体)であり、特許出願者・情報提供者にのみ(著作権にもとづいた)経済的負担を押しつけるべきではない。
●上の理由により、公的資金による補償金制度の創設を模索することも一考の余地があるだろうか(積極的に賛成はしないが)。
●特許制度を適正に運用するために必要な論文・資料の複製は、極めて限定的に行なわれる。営利目的でない以上権利者に不利益を与えないと思われること、そしてこの権利制限の根拠とされる公益性の大きさ、許諾権・報酬請求権の行使による抑制効果の弊害を勘案すれば、ここで権利制限を認めることは非常に有益であると言える。

○特許審査手続や薬事行政において利用される専門書はもともと学術研究、医学医療といった公共の利益に適う場面で利用されることを目的に出版されている。このような出版物がその本来の利用者に無償で提供されてしまうと、もともと発行部数の少ない理工学書、医学書の出版が困難となる。その結果、科学技術情報の伝達に影響が出るばかりでなく、著作者の発表の機会が失われてしまう。
○特許審査手続きの迅速化を図ることは、知的財産推進計画においても重要課題とされており、その必要性については十分理解する。また、薬事行政における情報提供が国民の健康に関わる重要な要請であることも理解する。しかし、そのために複写される出版物の著作権者の著作権が制限され、それによって著作権者および出版物の伝達者である出版社の利益が損なわれるべきではない。
○出版物の複写に係る権利処理については、現在既に複数の著作権管理団体が活動しており、当社でも、日本複写権センターおよび株式会社日本著作権管理システムに対して権利委託を行っている。出版物の複写に関して許諾を受けたい者は、これらの著作権管理団体との間で許諾契約を締結することによって複写を行うことが可能である。実際に複写の需要があるもののうちで、管理団体に権利委託されているものの割合は相当高いといえる。
また、その複写報告ならびに著作権使用料の支払いは、事後でも良く、複製物入手の迅速性に関しても問題がないといえる。

現行法でも、第42条は、内部資料として必要な限度で行政目的の複製を認めていることから、特許庁が内部資料として、さまざまな文献の複写を権利者の許諾なく行うことは可能でしょう。しかし、非特許文献については入手困難なものも多く、また、仮に要望のからの権利制限を行ったとしても、権利者にとっても結果的に被る制約は現状と同程度であると考えられます。したがって、これを認めることは、ベルヌ条約が求める「著作物の通常の利用を妨げず、かつ、その著作者の正当な利益を不当に害しない」との条件に矛盾しないものと考えられます。

当協会会員企業からも、審査手続きで指摘された引用文献(非特許文献)のコピーを入手できず、適切な権利化を図ることが困難なケースがあったとの指摘がなされております。
したがって、論点とされております4項目に関しまして、当該権利制限規定を設けることは、審査手続きの迅速化・適正化にも資するものであり、また、主要諸外国との調和を図る観点から、この方向性が打ち出されたことに対し、当協会としては、特許制度のユーザの立場から深く賛同するとともに、当該権利制限規定を早期に実現されることを強く要望いたします。

「特許審査手続に係る権利制限について」に関して提出されている4つの要望については、今回の審議においても、大きな問題はないとされているようなので、これらが可能となるように改められるべきと考えます。

1.特許審査の際に利用される多くの学術論文(非特許文献)が掲載されている理工学・技術専門書誌は、特許技術を含む理工学専門情報を研究者や特許庁ならびに理工学・技術を管理する官公庁に伝達することをその出版目的としており、これらの出版物にとっては特許開発の研究者あるいは特許開発型企業の技術関係者も大きな市場である。これらの専門書誌が審査手続の的確性・迅速性という理由で権利制限されてしまうことはこれらの出版物の発行と販売にとって非常に影響が大きい。
2.特許にかかる権利は個人あるいは私企業に属するものであり、その確保のために同様の知的所有権である出版物の著作権が侵害されることは権利者間の公平性の観点からも問題がある。
3.理工学・技術専門書誌に掲載された学術論文の多くの権利は日本複写権センター、学術著作権協会、日本著作出版権管理システム等の管理団体に委託されている。利用者は事前に年間契約を締結すれば、包括的処理、あるいは事後の報告で権利処理を行うことが可能である。
4.現行第42条は、内部資料として必要な限度で行政目的の複製を認めているが、それと複製物の外部への提供や外部からの入手を同等に考えるのには無理がある。行政庁以外が行う複製は当然権利制限の対象外とすべきであって、責任の所在と帰属性から考えてもそこには一定の線引きが必要である。
5.非特許文献の多くは複数の文献複写業者によってそのデータベース検索と複製物の提供サービス、ならびにそれにかかる権利処理が可能であり、全く困難ではない。文献複写業者におけるこれらの複写利用は複写管理団体との契約によって権利処理が簡便な方法によって可能である。
6.よって本件に係る権利制限を新たに新設する必要性はない。

権利制限の対象とする意見に賛同する。
いずれの要望も、審査の的確性の確保、効率化、迅速化に寄与するものであり、著作物の通常の利用を妨げず著作権者等の正当な利益を不法に害しない行為であると考える。

「文化審議会著作権分科会法制問題小委員会審議の経過」(以下「審議の経過」といいます。)では、特許審査手続に関し4項目について著作権制限の拡大をご検討されていますが、そのいずれも著作権制限を拡大すべき理由は存しないと考えます。
確かに、特許審査手続自体は公法上の行為で、その的確性・迅速性・将来の紛争防止等という著作権制限の社会的必要性があるかのような印象を与えます。
しかし、特許制度は出願人に対して技術上のアイデアの独占を認める手続で、特許付与の結果、出願人に財産上の利益を与えることになります。また、非特許文献の提出も、特許が付与されないことによって、そのアイデアを自由に使用することができるという財産上の利益が存するといえます。
ところで、著作権法30条以下の著作権制限規定をみると、財産上の利益につながる著作物の利用について、著作権を制限することはほとんどありません。
また、財産上の利益につながる著作権制限を定める例外的場合(33条、34条、36条)でも無償での利用を認めた例はないと思われます(33条2項、34条2項、36条2項)。
したがって、特許権という財産権の取得のための著作物の利用について、著作権を制限するというのは、著作権法体系上、相当ではないと考えます。
また、文献のコピーの利用については、日本複写権センター、学術著作権協会等が複製許諾手続を用意しているところであり、著作権制限をしなければ著作物を複製できないわけではありません。例え、すべての文献がこれらに複製許諾を委託していないとしても、このような著作権者の努力こそ支援すべきであって、問答無用で権利制限をしてしまうことは適切ではないと思われます。
特に、技術文献の著作権者は、自らが特許申請人となる可能性が高いと思われますので、文献複写の許諾システムを構築しやすい条件があるのではないでしょうか。
しかも、仮に特許審査手続について著作権制限を拡大しても、大して実益があるようには思われません。なぜならば、特許審査を行う特許庁にしても、特許申請人にしても、また、先行技術文献を提出しようとする人にしても、常に著作権が問題とならない文書や文献のみを複写しているわけではないのですから、日本複写権センターや学術著作権協会との包括契約を締結している場合が多いと思われます。

それゆえ、仮にこれらの権利制限を認めたとしても、日本複写権センターや学術著作権協会等との包括契約が不要になるわけではありません。したがって、新たに権利制限が設けられた複製について、どう勘案して複製使用料を設定したら良いのかという問題を惹起するだけで、いたずらに問題を複雑にするように思われます。
また、ベルヌ条約の求める「著作物の通常の利用を妨げず、かつ、その著作者の正当な利益を不当に害しない」という条件に矛盾しないとしても、それは条約違反に該らないというだけで、新たな権利制限を設けることが正当であることを意味するものではありません。上述いたしましたように、特許権の取得という財産的利益のために著作権を制限することは適当ではありません。
「官から民へ」ということが叫ばれている現在、「民」の許諾システムを発展させることで著作権者の利益と著作物の利用とのバランスを構築することを考えるべきで、著作権制限により「官」に大きな役割を委ねることは、妥当ではないと考えます。

特許審査手続きの迅速化の必要性については理解しておりますが、複写される出版物の著作権者の著作権が制限され、それによって著作権者および出版物の伝達者である出版社の利益が損なわれるべきではないと考えます。
出版物の複写に係る権利処理については、現在既に複数の著作権管理団体が活動しており、当社でも、日本複写権センターに対して権利委託を行っております。
出版物の複写に関して許諾を受けたい場合は、著作権管理団体との間で許諾契約を締結することによって複写を行うことが可能です。

1.特許審査手続きにおける現行制度の問題点
現行著作権法第42条は、「裁判手続のために必要と認められる場合には、その必要と認められる限度において、複製することができる。」と規定し、ここにいう「裁判手続」には、特許審判が含まれるものとされている。一方、「立法又は行政の目的」のために必要な場合については、「内部資料として必要」と認められる限度においてのみ複製が許容される。そして、特許庁が公表する特許公開公報、特許公報等以外の非特許文献の無許諾複写には、本来、該非特許文献の複製権が働く。従って、特許審査手続中に特許庁審査官及び出願代理人(或いは出願人)が特許拒絶理由の通知ないし応答の必要のため行なう非特許文献の複写、並びに第三者の特許出願に対する情報提供(刊行物提出)のため行なう非特許文献の複写が、著作権法第42条の権利制限規定の適用を受けるかは明文上明らかでない。

2.特許審査手続における非特許文献の複写についての実務並びに現状
特許出願への拒絶理由通知において、非特許文献が引用例とされた場合、特許庁から出願代理人に対して、当該非特許文献の複写物は送付されず、その出所が特定されるのみである。従って、出願代理人において、引用された非特許文献を別途取り寄せ、出願人に送付する実務が一般である。通常の拒絶理由通知に対する応答指定期間は60日間であるところ、かかる非特許文献の取り寄せを担当業者に依頼する場合、1週間ないし2週間を要し、また引用例1件当たりのコストは数千円となる。引用例である非特許文献を入手した後はじめて、特許出願人は、拒絶理由通知への応答の検討に着手することができる。特許出願が、情報技術分野や生化学分野等、先端分野に関わるものであればあるほど、非特許文献が引用される場合が多く、今後も増加することが予想される。従って、現行の上記運用実務は、特許出願人の拒絶理由通知に対する迅速な応答を阻害し、加えてこの応答におけるコストを上昇させている。

5.その他
上記において免責された行為により作成された複製物、翻案物が、関係手続き外において利用されないよう、当該複製物、翻案物の利用目的を制限すべきである。
また、特許庁における審査手続きの迅速化、的確化の観点からは、特許出願手続のみならず、実用新案登録出願、意匠登録出願、商標登録出願及び特許協力条約に基づく国際特許出願についても、同様の措置を講ずるべきである。

特許審査の手続きは産業の発展に寄与するものであり、また著作物の利用も特許庁の先行技術調査のみなので権利制限を認めるべきである。さらに開発費用が少ない中小企業などの特許申請の費用が多大になるので補償金制度は導入するべきではない。
また一部の意見として特許の付与は特許権利者のみの利益であるという意見もあるが、特許はそもそも全面公開されるので第三者にも公開された技術の利用する機会が与えられる。よって技術の進歩や産業の発展があるので公益性は極めて高い。以上から公益性と知的財産立国の実現の観点から特許審査における文献の複製は全面的に権利制限するべきである。

からまでにつき、早急に法改正を行うべきである。
これらの法改正によっては、著作権者の経済的利益の損失は基本的に考えられない一方で、その必要性は緊急を要していると思われるためである。もちろん、この要望事項に係る必要性は、特許手続以外の他の知的財産権の登録等の手続にも言えることであるので、特許に限定しないで法改正を行うことが望ましいと考える。ただ、特許以外の知的財産権についての検討が済んでいないことを理由に今回の要望事項の改正を行わないことにつながるのであれば、特許関係の法改正を先に行うこともやぶさかではない。

AAP, representing publishers of all sizes and types located throughout the United States, is the principal trade association of the book publishing industry. The association's over 300 members include most of the major commercial book publishers in the United States, as well as smaller and non-profit publishers, university presses and scholarly societies. AAP members publish hardcover and paperback books in every field and a range of educational materials for the elementary, secondary, post-secondary and professional markets. Members of the association also produce computer software and electronic products and services, such as online databases and CD-ROM. AAP considers the protection of intellectual property rights to be among its top priorities.

This section of the Interim Report discusses four proposed exceptions to copyright protection, for academic papers, books, manuals, and other materials that may be relevant to consideration of a patent application (referred to in the Interim Report as “non-patent literature”). Two exceptions (number 1 and 4) would benefit the Japan Patent Office, or individual examiners in that office. The other two exceptions would benefit patent applicants, or other members of the public who submit prior art documents. In all cases covered by the exceptions, the beneficiary would be privileged to copy “non-patent literature” without permission of, or compensation to, the author or publisher thereof.

AAP has significant concerns about all the proposed exceptions in this section. Although the scope of the category “non-patent literature” is not well defined, AAP member companies surely hold copyright in much of this material, notably books and articles in scientific, technical and medical fields. We question whether a case has been made that any of these exceptions is necessary to address a special case in a manner that does not conflict with a normal exploitation of these works, and that does not unreasonably prejudice the legitimate interest of right holders. In other words, it is not clear that adoption of any of these exceptions would be consistent with Japan's obligations under the Berne Convention (Art.9.2) or the TRIPS Agreement (Art.13).


AAP fully agrees with the Interim Report that there is a strong public interest in the efficient operation of the patent examination system. However, as discussed above, there seems to be strong evidence that to the extent that this system requires the reproduction of “non-patent literature,” market mechanisms already exist that efficiently fill this need. Tampering with these mechanisms, or pre-empting them through recognition of an exception to copyright protection, would raise serious questions about interference with normal commercial exploitation of this material, and thus about Japan's fulfillment of its international obligations.
Accordingly, AAP urges that the Committee not endorse any of these exceptions at this time. We stand ready to assist the Committee in further exploration of the issues discussed above, and thank you for your consideration of our views.


この際、「裁判手続」のみならず、行政機関が公的業務として非特許文献を複製する場合には、権利制限の対象となることを明確にすることを検討して頂きたい。

法改正については、「行政手続のために必要と認められる場合」という文言は基本的にはよいと思う。ただしこれでは、あまりに漠然としているのでベルヌ条約の文言を利用し、「ただし、著作物の通常の利用に当たる場合、または、著作者の権利を不当に害する場合を除く。」との文言を入れるべきである。これにつき、政令への委任はすべきでない。運用に関しては判例の集積にゆだねるべきである。

理工学書、医学書は学術研究、医学・医療の進歩・発展に役立てられる、つまり、公共の利益に適う場面で利用されることを目的として出版されている。公共の利益に適うことを目的とした複写利用が権利制限の対象となり、本来の利用者に自由に無償で提供されてしまうと、もともと発行部数の少ない理工学書、医学書の出版は困難となるばかりか著作者の発表の機会が制限され、科学技術情報の伝達に影響を与え、学術研究、医学・医療の進歩・発展を大きく阻害することになる。殊に高度に専門的な領域を扱う出版物は先ず出版不可能な事態となる。
特許審査手続の迅速化は知財立国を目指すわが国の一員として非常に重要なこととして認識している。しかし、「非特許文献は入手困難なものも多く」とあるが、これら文献の多くは複数の文献複写業者によってそのデータベース検索、複製物の提供サービスならびにそのための権利処理が可能であり、困難とはいえない。また特許審査に関わる当事者のいずれかがこれら文献を所有しているはずであり、複写物の入手が困難ということはいえない。これは実用新案、意匠、商標の各審査手続においても同様である。
さらに、「許諾の入手」についても、現在既に複数の複写管理団体が存在しており、これらと契約することにより出版物の複写の簡便な権利処理が可能となっている。実際に複写の需要のあるものの中で、管理団体に権利委託しているものの割合は相当に高いといえる。当社においても日本出版権管理システムに対して権利委託を行っている。

2.特許審査手続、薬事行政それぞれにおいて利用される医学専門書誌等はもともと学術研究等公共の利益に適する場面で利用目的に出版されています。このような出版物の著作権が制限された結果、いかに学術研究等公共の利益と言う理由であっても、著作権者側に対して不利益な悪影響を及ぼすことは明白であります。今後著作権の制限見直しを審議する場合には我々医学専門書出版者の立場も充分考慮した上で判断されることを要望いたします。



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