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ハードディスク内蔵型録音機器等による私的録音から著作権者・著作隣接権者が受ける経済的な影響 |
(1) |
著作権法30条1項の適用を受けない場合の試算
昭和45年の30条1項制定当初想定していた零細な私的複製の規模を遙かに超える録音量であり、且つ高品質で、一旦複製した後は劣化しない、という特性から、30条1項の適用を受けず、複製権の利用許諾が必要となる新たな利用形態であるとの観点から見た場合には、以下のとおり経済的な影響を試算できる。
添付資料実態調査結果から、
ハードディスク内蔵型録音機器等所有者一人当たりの当該機器における私的録音による保有曲数  260.3曲
邦盤/洋盤比率   73(190.0曲)  27(70.3曲)
ハードディスク内蔵型録音機器等累計出荷台数  535万台
以上から、
(ア) |
邦盤
22.68円 190.0曲 5,350,000台 1.05(消費税相当額) 24,206,931,000円
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(イ) |
洋盤
31.73円 70.3曲 5,350,000台 1.05(消費税相当額) 12,530,502,232円 |
(ア)  (イ)  36,737,433,232円
約36,737,433千円
著作権者、著作隣接権者が受ける経済的影響合計
約48,581,539千円 |
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1 |
録音使用の案件ごとに、個々のレコード製作者が自ら使用料額を決定している。なお、通常は、実演家に配分する使用料も含んだ額としてレコード製作者が使用料を決定する。 |
2 |
商業用レコードの製作において、レコード会社はJASRAC(ジャスラック)に対して、当該商業用レコードの小売価格の6パーセント(JASRAC(ジャスラック)使用料率)の著作権(録音)使用料を支払う。
一方、同じく商業用レコードの製作において、レコード会社が他のレコード製作者から原盤の提供を受け商業用レコードを発売する場合は、当該レコード製作者に原盤印税(実演家分を含む)を支払う。原盤印税率は小売価格の一定率として契約で定められており、この原盤印税率と著作権(録音)使用料率の比率をもって、当該レコードから著作隣接権者が得るべき利益の相対的評価と考える。 |
3 |
平均的な原盤印税率は社団法人日本レコード協会会員社へのヒアリングによる。洋楽音源についても同様。 |
4 |
邦盤・洋盤比率は、社団法人日本レコード協会のオーディオレコード生産実績の統計(2005年上半期分)に基づく。 |
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(2) |
著作権法30条2項の適用を受ける場合の試算
ハードディスク内蔵型録音機器等による私的録音が、現行著作権法30条2項のもと、私的録音補償金の対象として政令指定されていたと仮定した場合、権利者が得るはずであった補償金額を推計することで経済的な影響を試算できる。(著作権者、著作隣接権者合計)。
なお、算出にあたっては、ハードディスク内蔵型及びフラッシュメモリ内蔵型について、個別に補償金単価を推計して算出する。
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補償金単価の推計
(ア) |
ハードディスク内蔵型録音機器
社団法人私的録音補償金管理協会が定め文化庁長官の認可を受けた現行規程を準用し、当該機器の補償金単価を推計する。ただし、当該製品は機器に記録媒体が組み込まれているため、当該製品の製造原価において記録媒体が占める割合を推定し、価格を按分した上で補償金単価を推計する。
現行の規程を準用した補償金単価の計算式は以下のとおりである。
(機器):カタログ価格 按分率 65パーセント 2パーセント
(記録媒体):カタログ価格 按分率 50パーセント 3パーセント
なお、当該製品にはカタログ価格が存在しないため、添付の「別表1」で得られる平均小売価格をもってカタログ価格相当額とした。また、按分率は、機器を80パーセント、記録媒体(ハードディスク)を20パーセントと推定し、以下のとおり補償金単価を算出する。
(表1)ハードディスク内蔵型録音機器に係る補償金単価の推計
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カタログ価格相当額(平均小売価格)
31,803円
(「別表1」参照) |
機器分(80 ) |
記録媒体分(20 ) |
按分後の価格 |
25,442円 |
6,361円 |
補償金単価 |
330.7円 |
95.4円 |
合計単価 |
426.1円 |
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(イ) |
フラッシュメモリ内蔵型録音機器
上記ハードディスク内蔵型録音機器と同様に、現行規程を準用し、価格按分により補償金単価を推計する。
現行の規程を準用した補償金単価の計算式は(ア)のとおりである。
なお、カタログ価格相当額は添付の「別表2」で得られる平均小売価格とし、また、按分率は、上記ハードディスク内蔵型録音機器と同様、機器を80パーセント、記録媒体(フラッシュメモリ)を20パーセントと推定し、以下のとおり補償金単価を算出する。
(表2)フラッシュメモリ内蔵型録音機器に係る補償金単価の推計
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カタログ価格相当額(平均小売価格)
16,158円
(「別表2」参照) |
機器分(80 ) |
記録媒体分(20 ) |
按分後の価格 |
12,926円 |
3,232円 |
補償金単価 |
168.0円 |
48.5円 |
合計単価 |
216.5円 |
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補償金総額の推計
(ア) |
ハードディスク内蔵型録音機器
ハードディスク内蔵型録音機器等累計出荷台数(前述) 535万台
添付資料実態調査結果から、
ハードディスク内蔵型機器所有者比率 53パーセント(実態調査結果(1)による)
以上から、
426.1円 5,350,000台 0.53 1.05(消費税相当額) 1,268,616,878円 |
約1,268,617千円
(イ) |
フラッシュメモリ内蔵型録音機器
ハードディスク内蔵型録音機器等累計出荷台数(前述) 535万台
添付資料実態調査結果から、
フラッシュメモリ内蔵型機器所有者比率 47パーセント(実態調査結果(1)による)
以上から、
216.5円 5,350,000台 0.47 1.05(消費税相当額) 571,608,713円 |
約571,609千円
著作権者、著作隣接権者が受ける経済的影響合計
(ハードディスク内蔵型・フラッシュメモリ内蔵型合計補償金相当額)
約1,840,226千円 |
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(別表1)ハードディスク内蔵型録音機器の平均小売価格
メーカー名 |
機種名 |
平均小売価格(円) |
対象店舗数 |
アップル |
iPod 20GB |
30,915 |
24 |
iPod mini 4GB |
20,540 |
29 |
iPod mini 6GB |
25,469 |
34 |
iPod U2 20GB |
37,792 |
13 |
iPod Photo 40GB |
36,731 |
26 |
iPod Photo 60GB |
46,462 |
28 |
ソニー |
HD1 20GB |
38,176 |
10 |
HD2 20GB |
28,735 |
6 |
HD3 20GB |
30,122 |
9 |
HD5 20GB |
32,859 |
40 |
Rio Japan |
Rio Carbon 5GB |
22,036 |
29 |
平均小売価格 |
31,803 |
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注1) |
メーカーは、国内シェアの上位3社(BCN総研調べ) |
注2) |
機種は、「価格 com」のウェブサイトにおいて2005年6月14日時点で平均価格が表示されていたものを使用 |
注3) |
平均小売価格は各機種の小売価格の単純平均 |
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(別表2)フラッシュメモリ内蔵型録音機器の平均小売価格
メーカー名 |
機種名 |
平均小売価格(円) |
対象店舗数 |
アップル |
iPod shuffle 512MB |
10,444 |
22 |
iPod shuffle 1GB |
15,717 |
27 |
ソニー |
E405 512MB |
16,242 |
27 |
E407 1GB |
21,175 |
28 |
E507 1GB |
22,169 |
34 |
Rio Japan |
Rio SU10 512MB |
10,410 |
23 |
Rio SU35 256MB |
11,446 |
18 |
Rio SU70 512MB |
21,663 |
27 |
平均小売価格 |
16,158 |
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注4) |
メーカーは、国内シェアの上位3社(BCN総研調べ) |
注5) |
機種は、「価格 com」のウェブサイトにおいて2005年6月14日時点で平均価格が表示されていたものを使用 |
注6) |
平均小売価格は各機種の小売価格の単純平均 |
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