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特許庁編『工業所有権制度改正審議会答申説明書』108頁(発明協会・1957年)。立法検討過程では主にアメリカ法が参考にされ、アメリカ法における積極的誘引行為(active inducement of infringement)や寄与侵害(contributory infringement)の規制の導入が検討されていた。 |
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なお、裁判例では、101条における「発明の実施にのみ使用する物」の解釈について、対象物品が単に特許発明の本来の用途以外の用途に使用される抽象的ないし試験的な可能性があるというだけでは足りず、社会通念上経済的、商業的ないしは実用的であると認められる用途がある場合に特許発明の実施「にのみ」用いられる物品とはいえず、間接侵害が否定されるとしている(東京地判昭和56年2月25日無体集13巻1号139頁〈一眼レフカメラ事件〉、大阪地判平成12年10月24日判タ1081号241頁〈製パン器事件〉)。 |
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特許庁総務部総務課制度改正審議室編『平成14年・産業財産権法の解説』(発明協会・2002年)。 |
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アメリカ特許法(1952年法)は、271条(c)において、「何人も、特許された機械、製造物、組み合わせ、もしくは混合物の構成部分、または特許された方法を実施するために使用する物質もしくは装置であって当該発明の不可欠な部分を構成するものを、それが当該特許を侵害して使用するための特別に製造されたものであること、又は、特別に変形されたものであって実質的な非侵害の用途に適した汎用品または流通商品でないことを知りながら、合衆国内で販売の申込みをし、もしくは販売し、又は合衆国内にこれらを輸入する者は、寄与侵害者としての責任を負う」と規定する。
ドイツ特許法(1981年法)10条は、第1項において、「特許権は、全ての第三者が、特許権者の許諾を得ずして、本法施行の地域内において、特許発明を実施する権限を有しない者に対して、特許発明の本質的要素に関する手段を、特許発明の実施のために用いられることを知っているか、もしくは特許発明の実施に適しており、かつ実施のために用いられることを予定していることが明らかな状況の下において、供給し、又は供給することを申し出ることを禁止する効力を有する」とし、間接侵害の一般的成立要件を規定する。続いて、第2項において、「1項の規定は、その手段が取引される必需品である場合においては適用されない。ただし、提供者が提供を受ける者に対して第9条第2文によって禁止された行為(特許権の直接侵害のこと)を行わしめた場合はこの限りでない」とする。 |
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「発明による課題の解決に不可欠な物品」とは、請求項に記載された発明の構成要素の他、発明の実施に使用される道具、原料なども含まれる(前掲『平成14年・産業財産権法の解説』27頁)。 |
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「知りながら」とは、実際に知っていることであり、過失により知らなかった場合は対象外である。自ら供給する部品等が複数の用途を有する場合に、それらが供給先においてどのように使われるかについてまで注意義務を負わせることは、部品等の供給者に酷であり、取引の安全を著しく阻害するおそれがあるというのがその理由である(前掲『平成14年・産業財産権法の解説』31頁)。 |