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現行の補償金制度を著作権者と利用者とをダイレクトに結びつける制度へと変容させるべく、その技術的方策を踏まえ、検討をおこなうべきではないか。 |
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著作物の流通・配信システムの多様化、多彩な著作権者の登場、対象機器の属性、著作物利用形態ならびに当該機器の利用可能性を考慮に入れることなく、以前に作られた制度を拡充して便宜的に政令による追加指定を繰り返すようなことにでもなれば、「とりやすいところから、とる」という場当たり的な運用に堕してしまい、制度そのものの改革の機会を逸してしまうことになるであろう。 |
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そもそも、現行制度にも問題がある。たとえば、補償金の配分先と配分方法について、今のままでよいか、検討をすべきではないか。 |
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いずれの方向をとるにせよ、現在のメンバー構成で政令による追加指定・個別指定の問題を議論して、政令でその成果を実現するというのでは、利用者たる消費者の声が十分に反映されない。消費者の声を代弁する委員が1人というのは、あまりにもいびつである。 |
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同様に、機器メーカーの意見がヒアリングのような形でしか聞けないというのも、問題である。著作権関係団体の委員と同等の委員の数を、消費者関係委員と機器メーカー関係委員(事業者側委員)に割り振って初めて、各方面からの意見を対等に反映できる手続保障がなされるものと言うべきではないか。上記 から の議論を仮におこなうのならば、委員会のメンバー構成に配慮をすべきである。ことに、「政令」による運用面での処理で対処するのであれば、立案面で国民の声を反映するだけの十分な機会の保障と国民各層への事前の照会が必要である。 |
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この点は不案内であるが、もし、今回の議論が今般の知財戦略大綱との関係で出てきたのであるならば、たとえば政令による追加指定がおこなわれるとどのような経済的効果・不利益が生じるのか、経済・社会にかかる国家戦略にどのような影響を及ぼすのか、市場にどのような変動をもたらすのかを慎重に見極める必要がある。 |
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現行の補償金制度というものは、国民にきわめてわかりにくいものとなっている。多くの国民は、現在対象となっている機器を購入する際にすら、補償金がかかっていることを知らずに購入しているものと思われる。また、補償金がどのように分配され、どのように利用されているかに至っては、国民の多くは限りなく無知に近いのではないかと思われる。仮に補償金制度を維持するのであっても、同制度がどのような仕組みになっているのか、対象機器を支払う際に補償金がどれだけ徴収されているのか、わかりやすく表示かつ周知させる必要があるのではないか。実は、このほうが、法制問題小委員会で扱うべきテーマとしては、対象機器の追加をめぐる議論以上に重要な点ではないかと考える(前述したように、著作物の流通・利用形態が多様化している今日では、いっそうのことである)。 |