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障害者福祉関係の権利制限について
平成17年4月
厚生労働省
【要望の趣旨】
視覚障害者情報提供施設等において、専ら視覚障害者向けの貸出しの用に供するため、公表された録音図書を公衆送信できるようにしていただきたい。
なお、点字図書の公衆送信については平成12年よりお認めいただいているところ。
(日本点字図書館、全国視覚障害者情報提供施設協議会、障害者放送協議会) |
1.現行制度
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点字図書館等は、専ら視覚障害者向けの貸出しの用に供するために、公表された著作物を録音することができる。(第37条第3項)
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ただし、公衆送信することはできない。(第37条第2項)
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2.当該制度に関する著作権に係る問題点
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視覚障害者に係る情報環境は、点字本から録音図書に大きく変化してきている。
(点字本48万タイトル 録音図書48万4千タイトル CD23万タイトル)
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視覚障害者(約30万人)のうち点字を読むことができる者は1割程度であり、残りの9割の視覚障害者が録音図書を必要としている。
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公衆送信できないため、録音図書を視覚障害者の自宅へ郵送することで対応しているが、読書できるまでには、申込、順番待ち、受け取り、郵便局へ返却といった、視覚の障害のある者にとっては大変な困難さと、必要な時に必要な情報が入手できないことが問題となっている。
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3.著作権法の改正以外による当該問題点の解決策
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著作者団体と事前の一括許諾契約を結ぶことで、録音図書の公衆送信を行っている。
(「びぶりおネット」という録音図書配信サービスを16年4月から実施)
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一括許諾契約の相手方は日本文藝家協会と日本文藝著作権センターで、17年1月現在、一括許諾に承認いただいた著作者数は3,441人、803タイトル
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「びぶりおネット」利用登録者は、平成16年2月時点で614人で、1,740タイトル、利用回数は92,402件の録音図書が配信されている。
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ただし、それ以外の個人や外国人作家等に関しては個別の契約が必要
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4.その他 |
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平成16年4月22日付、日本点字図書館・日本ライトハウス連名により、文化庁へ要望 |
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【要望の趣旨】
聴覚障害者情報提供施設において、専ら聴覚障害者向けの貸出しの用に供するため、公表された著作物(映像によるもの)に手話や字幕による複製ができるようにしていただきたい。
なお、視覚障害者向けの点字や録音による複製はお認めいただいているところ。
また、手話や字幕により複製した著作物(映像によるもの)の公衆送信ができるようにしていただきたい。
現段階で、字幕によるリアルタイムの自動公衆送信はお認めいただいているところ。
(全日本聾唖連盟) |
1.現行制度
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点字の複製は認められているが、字幕、手話の複製は認められていない。(第37条)
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「字幕」を公衆送信するには、 |
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主体は、放送事業者や聴覚障害者情報提供施設等に限ること。 |
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専ら聴覚障害者の用に供すること。 |
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リアルタイムで送信すること。 |
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を条件として可能となっている。(第37条の2)
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また、「手話」の公衆送信は一切認められていない。(第37条の2)
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2.当該制度に関する著作権に係る問題点
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聴覚障害者情報提供施設において、聴覚障害者用に字幕・手話入りビデオ、DVD等の貸出を行っているが、複製権を侵害することから、実質、多くの作品には字幕や手話を付与することはできない。
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字幕の公衆送信はリアルタイムによるものに限られており、「映像の再送信」については、字幕を付与することが認められていない。
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3.著作権法の改正以外による当該問題点の解決策
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放送事業者や著作者団体と事前の一括許諾契約を結ぶことで、字幕・手話による複製を行っている。(NHK、関東民放5社、関西民放5社、地方局等)
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ただし、それ以外の個人や取材先等に関しては個別の契約が必要
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これまで一括許諾や個別許諾により制作された字幕・手話入りビデオは、平成16年度末現在で2,793タイトル(字幕2,612タイトル、手話181タイトル)あり、平成16年度制作分は130タイトル(字幕120タイトル、手話10タイトル)
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複製権の承認のための高額な著作権料の支払いが必要。
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4.その他
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全日本聾唖連盟として、字幕・手話に関する著作権法の改正を昭和58年から一貫して文化庁へ要望。 |
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【要望の趣旨】
聴覚障害者向けの字幕に関する翻案権の制限について、知的障害者や発達障害者等にもわかるように、翻案(要約等)することを認めていただきたい。
(障害者放送協議会) |
1.現行制度
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著作者は、翻案する権利を専有する。(第17条) |
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字幕により自動公衆送信する場合には、翻案することが可能(第43条第3号)
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2.当該制度に関する著作権に係る問題点
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文字情報を的確に読むことが困難な知的障害者や学習障害者は、ルビを振ったり、わかりやすい表現に要約するといった配慮が必要。
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特に、教育・就労の場面や緊急災害情報等といった場面での情報提供に配慮が必要。
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3.著作権法の改正以外による当該問題点の解決策
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ボランティア等の支援者が著作者に対し個別に許諾を得て、翻案を行っているのが現状であるが、情報の範囲は広がらず、即効性もない。
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今後は、字幕入りビデオカセットの貸出事業の実績がある聴覚障害者情報提供施設などにおいて、体制を整えて行うことが有効と考える。
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4.その他
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障害者放送協議会として、平成11年6月18日付、平成14年10月15日付、平成16年11月16日付で、文部科学大臣あて要望。 |
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【要望の趣旨】
私的使用のための著作物の複製は、当該使用する者が複製できることとされているが、視覚障害者等の者は自ら複製することが不可能であるから、一定の条件を満たす第三者が点字、録音等による形式で複製することをお認めいただきたい。
(障害者放送協議会) |
1.現行制度
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著作物の複製は、 |
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私的利用の目的の範囲内に限り、 |
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使用する者に限り、 |
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無許諾で複製できる。(第30条)
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2.当該制度に関する著作権に係る問題点
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障害があるゆえに、障害者自身で著作物の変換(複製)を行うことが難しい。
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また、個人の所有する著作物の変換(複製)希望は、カタログから医学書まで、そのニーズが広く、家族等身近な人を頼るにも限界がある。 |
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