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「2 著作者の権利 ○頒布権・譲渡権(7)(8)(9)(11)(12)」及び「3 著作隣接権 ○新たな隣接権の付与(36)」について
これらは、映画、映像に関する著作物の権利の帰属等に関する事項であり、映画の著作者、クラシカルオーサーとの関係、著作権の帰属等について総合的な検討を行なうべきと考えます。近時、ゲームの出力等に見られる「映像の著作物」につき、判例で映画類似のものと認定され、原作キャラクターの権利、固定性、ストーリーの改変、頒布権の消尽などについて新たな判断が出されております。映画の著作物全般について、著作権法の規定の見直を検討することが相当と思料いたします。
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「3 著作隣接権 ○放送事業者・有線放送事業者の権利(26)〜(30)」について
放送前信号の保護等、近年、審議会においてかなりの議論がなされてきております(昨年度はこの議論はなされていません)。時間的余裕のある現状況において、これまでの議論を踏まえ立法の要否を再検討しておくべきと考えます。
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「4 著作権等の制限 ○図書館に関する制限(55)及び○非営利・無料・無報酬の上演等に関する制限(82)」について
図書館における権利の制限等については、図書館関連団体から継続的に要望が提出されていると考えます。また著作者団体から継続的に公貸権に関する要望が提出されています。時間的余裕のある状況において、図書館問題について充分に審議しておくべきと考えます。
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「4 著作権等の制限 ○行政手続に関する制限(83)〜(85)」については
行政上必要な著作権の制限に関する要望であります。相当の理由があると考えられますので、審議をし、立法的対処の要否を検討すべきと考えます。
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「4 著作権等の制限 ○電子機器等に関する制限(90)(91)」については
コンピュータ技術と複製の問題については、判例に表われ、過渡的な蓄積は著作権法上の複製でないなどの判断がなされ、コンピュータ上におけるプログラムの使用中メモリー内の複製については著作権法上の複製であるやの審議会報告があります。これらを立法において確定しておく必要性があるか検討しておくべきと考えます。過渡的な蓄積について、従前の審議会報告では不明確であると考えます。
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「5 保護期間 ○保護期間(106)(107)」について
映画の著作物につき保護期間を70年としましたが、法的整合性はないと考えております。全ての著作物についての保護期間を同一のものにすべきと考えております。世界的趨勢も踏まえて、保護期間を検討すべきと思料いたします。
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「6 侵害とみなす行為等 ○侵害とみなす行為等(112)について
いわゆる間接的な関与を著作権の侵害とする判例が蓄積されております。概観するに、 侵害のみに使用されるソフトウェア等の販売を侵害と認定する方法と 管理・支配性、利得性をもって侵害とする方法の2つが判例上現れていると考えられます。前者の場合は、ユーザーレベルで違法行為となる場合にこの違法行為にのみ使用されるソフトウェア等の販売も違法になるという考え方が主流のようですが、個人的利用の範囲でユーザーレベルでは適法であっても市場全体をみると違法な利用が蔓延するツールの販売等を固有に侵害とするという議論がありうると思料します。極めて重要な議論であるので、充分な議論が求められると考えます。
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「7 紛争処理 ○あっせん等(120)」について
ADR法が施行になる状況において、著作権紛争あっせん制度の検討が求められているものと考えます。あっせん制度は10年に一度の利用がなされる現状において、この利用を促進するか、他の制度に変えるかの対応が求められていると考えます。私見を申すならば、著作権法上のあっせん制度を廃止し、ADR法に則ったあっせん機関を関係団体内に設けることが相当であると考えます。
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「7 紛争処理 ○損害賠償制度(124)」について
昨年度までに他の知的財産権法と横並びの改正が全て終了し、取りあえず損害賠償規定のみなおしは急務でありません。かかる状況下において、損害賠償制度及び不当利得制度、事務管理制度など総合的な検討が必要であると考えられます。
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「8 裁定制度・登録制度・契約など ○ライセンシーの保護強化(135)」について
これについは、2年間かなりの議論が行われたと考えております。このまま放置することになりますと、この議論が無駄になりますので、今年度において明確な方向性を示すべきであると考えます。 |