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資料2


法定賠償制度の必要性   ― 導入に向けた検討継続の要望 ―

平成15年9月4日
後藤 健郎


   
第1    権利者が直面する現在の問題
   送信可能化権の侵害事例が多発。
   現行法下で有効な対策を講じることができていない(後掲“第2、第3”参照)。

第2    民事的な手段による対処が可能か
   差止請求(112条)
   差し止めても別ハンドルネーム、別サーバーを使って同種行為が繰り返される。
       →差止請求の実効性なし。

   不法行為(損害賠償請求)
(1)(新)114条1項・・・ ダウンロード回数不明→算定不可。
ダウンロード(複製)を伴わない場合にはそもそも適用の余地なし。
(2)(新)114条2項・・・ 侵害者に利益なし(無償で行われることが多いから)。
(3)(新)114条3項・・・ ダウンロードやアクセス回数不明ではロイヤルティ相当額の算定が困難。
(4)(新)114条の4・・・ 裁判の結果がでるまで予測不能。
裁判官にとって認定の基準がない。
適用実績なし。
(5)量の推定規定・・・・・ 2倍の元となる回数が不明。

   不当利得返還請求
   無償で行われる→侵害者に「利得」が存在しない→不当利得の請求ができない。

以上のとおり、既に存在している選択肢や現在検討中の選択肢は、他の局面では有用であるが、第1にて示した権利者が直面する現在の問題への対応には困難又は不十分な面が残る。
*なお、現行の民事的救済手段の枠組みの中での解決を前提としており、いわゆる懲罰的賠償制度(三倍賠償制度)については、比較検討の対象から除外した。

第3    刑事手段で対処可能か
一部可能であるが、侵害事例が多すぎ、すべてを刑事事件で対処するのは現実的には不可能。

第4    まとめ
   権利者側としては、現在直面する問題に対して有用な救済の手段が必要(現在検討がされている他の手段が、異なる局面では有用であり、別途検討を行うべき)。
   法制面の詳細は、送信可能化段階での損害等の問題を含めて、更に検討を求めたい。
 
以上

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