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参考資料   2

平成15年6月27日

司法救済制度小委員会
主査   松 田 政 行   殿
委員   山 本 隆 司


著作権登録制度の見直しについて


   簡便・強力な権利立証方法として著作権登録制度を再構成することを司法救済制度小委員会の検討事項に加えるべきと考えます。

1.
参考事例: ジョイサウンド仮処分事件(東京高決平成9年8月15日)
債権者: EMI、BMG、ポリグラム、ソニーなどの国際的大手レコード会社
ジョン・レノン、ホイットニー・ヒューストン、カーペンターズなどの音源を保有。
債務者: ジョン・レノン、ホイットニー・ヒューストン、カーペンターズなどの同一音源のレコードを発売
地裁決定: 債権者は権原の立証としてその発売したレコード上の(p)表示(著作権法14条)や陳述書を提出したが、裁判所はこれを不十分として、申し立てを却下1
高裁決定: 債権者は、権原の立証として米国での著作権登録証を提出し、勝訴2

2. 米国著作権登録制度の概要
(1)適用範囲: 著作物の作成(registration)および著作権の移転(recordation)
(2)所要費用: $30   (特別扱い料金:+$580)
(3)所要時間: 通常3ヶ月(特別扱い料金で、5日間に短縮)
(4)審査手続: 形式審査(申請書、料金、納本)
(5)法的効果: 著作権の成立および記載事項の真性についての法律上の推定または対抗要件
(6)虚偽申告: $2,500以下の罰金

3. 現行著作権登録制度の問題点
(1)適用範囲: 実名、第1発行年月日、プログラム創作年月日および著作権の移転
(2)所要費用: 3,000円、9,000円、18,000円…
(3)所要時間: 通常6ヶ月+α
(4)審査手続: 形式審査(申請書、料金、添付資料)+α
(5)法的効果: 登録事項についての法律上の推定または対抗要件

4. 考えられる著作権登録制度のあり方
(1)ビジネス・ニーズ: 簡便・強力な権利保有立証手段
(2)適用範囲: 著作物の作成自体についての登録制度の追加
(3)所要時間: 特別扱い制度の導入
(4)法的効果: 著作権の成立および記載事項の真性についての法律上の推定
(5)虚偽申告: 罰則の導入

    以上のとおり意見を申し上げますので、よろしくご検討下さるようお願い申し上げます。

以上




1    「差止め等を求める者又はその者にレコード製作者の権利を譲り渡したとする者等が原盤に最初に音を固定したことについては、レコード製作者の権利が発生するための要件であり、しかも、差止め等を求める者の側で起きた事実であるからその確実な立証を求めることは酷とはいえないし、レコード製作者の権利は契約関係がない者に対してもこれを主張し得るいわゆる絶対的権利であることからしても、これによる保護を求めようとする者は、これを自ら有することを確実に立証する手段を保存しておくべきであり、それを訴訟において提出する責任を負っているのである」
2    米国著作権局への著作権登録に、強い事実上の推定力が認められた。
「米国著作権法においては、最初の発行から五年以内に著作権登録がなされた著作権の登録証には、その記載事項について法律上の推定が与えられており(四一〇条c項)、また、一九八九年二月までは、著作権登録は著作権侵害訴訟を提起するための要件であった(旧四一一条)。一九八九年三月以降は、著作権登録は著作権侵害訴訟提起の要件ではなくなったが、最初の発行から三か月以内に著作権登録を経由しておれば、弁護士費用の賠償請求権が与えられる利益がある(四一二条)。したがって、米国においては著作権登録を速やかに行うことが慣習化しており、また、これに関する情報は容易に入手し得るが、別紙音源目録記載の抗告人CD収録音に関する抗告人らの著作権登録に対し、現在まで異議の申立ては全くなされていない。
   そして、著作権登録について虚偽の事実を申請すれば刑事罰の制裁があること(五〇六条e項)に鑑みると、米国著作権局発行に係る著作権登録証には、別紙音源目録記載の抗告人CD収録音につき抗告人らがレコード製作者の権利を有することについて、強い事実上の推定力があるというべきである。」

 

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