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資料   9

検   討   事   項   例


損害賠償制度の見直し

「法定賠償制度」
侵害の数量の推定規定
弁護士費用の敗訴者負担
「三倍賠償制度」(懲罰的損害賠償制度)

権利侵害行為の見直し

侵害とみなす行為の見直し
間接侵害規定の導入の必要性
技術的保護手段の回避等に係る違法行為の見直し
プロバイダに対する差止請求制度の必要性、発信者情報開示制度の在り方について

罰則の見直し

著作者人格権や侵害罪以外の行為に係る罰則への法人重課の導入
刑罰の引き上げ
侵害罪の非親告罪化

裁判外紛争解決等の在り方
裁判外紛争解決等の在り方



(参考)

平成14年度司法救済制度小委員会における意見のまとめ


検討事項 積極意見 消極意見、検討課題
○法定賠償制度
権利者による損害額の立証負担を軽減するため、「法定賠償制度」を導入すべきである。 
 適切な金額を定めることが困難であることが予想される。
法定する金額が低額に過ぎれば訴訟に必要な費用すら賄うことができない。
現行の著作権法第114条の4の規定に基づき、裁判所が相当な損害額を認定する制度がある。 
○侵害の数量の推定規定
権利者が立証した数量の2倍の数量を基に損害額を推定する規定を導入すべきである。
権利者が立証した数量を超える侵害行為があったということについて、権利者が合理的な疑いがあることを立証するという要件を加えた上で、侵害の数量の推定規定を導入すべきである。
実際に侵害行為が行われた数量を2倍と推定することが適当であるかどうかについて検討が必要である。
推定数量については事案ごとに決定すべきである。
○弁護士費用の敗訴者負担
弁護士費用の敗訴者負担の導入に際しては、著作権等侵害訴訟については、訴訟における請求額が低額である場合もあることを踏まえることが適当である。
「敗訴者負担を導入しない訴訟の範囲」に著作権等の侵害訴訟を含めるべきではないかという声もあるため慎重な検討が必要である。
○三倍賠償制度
「侵害し得」の社会からの脱却、侵害に対する抑止機能の強化といった観点から、「三倍賠償制度」を導入すべきである。 
侵害者に対する制裁や一般予防効果は、刑事罰の役割である。
外国で懲罰的賠償制度に基づく高額な賠償を認める判決が出た場合に、我が国でも執行しなければならなくなる可能性がある。
知的財産権侵害行為のみを「三倍賠償制度」の対象とする理由があるかを検討する必要がある。
○侵害とみなす行為の見直し
上映権侵害事件における立証負担を軽減する観点から、頒布目的所持に加え、「公衆に提示する目的で所持する行為」を侵害とみなすべきである。

海賊版ビデオの上映に関する事例については、上映権侵害として海賊版ビデオソフトは押収されており、上映権侵害の実態を踏まえる必要がある。
「頒布目的なく輸入された海賊版を後に頒布目的で所持する行為」を侵害とみなすことができることを明確化すべきである。 
 
「頒布目的」や「情を知って」という主観的要件は不要とすべきである。
一般の流通業者が、日常の商行為を行う中で知らず知らずのうちに違法行為を行っている状態に置かれるような制度は適当ではない。 
○間接侵害規定の導入の必要性
著作権法第112条第1項の「侵害する者又は侵害するおそれのある者」に「侵害の教唆者又は幇助者」も含まれる旨を明確化すべきである。
判例において教唆者又は幇助者に対する責任が認められており、必要性等について検討すべきである。

「専ら著作物の○○のみに使用される機器を製造・販売する行為」を侵害とする旨を規定すべきである。
一般的な規定の創設については、今後の判例の蓄積を踏まえどのような行為や技術が問題となるかを見定めてから検討すべきである。
○技術的保護手段の回避等に係る違法行為の見直し
技術的保護手段の回避を助長することを専らの目的とする情報を公衆に提供する行為を刑事罰の対象とすべきである。 
刑事罰の対象とする情報提供行為の範囲をどう画するか。
言論の自由等との抵触についてどう考えるか。
技術的保護手段の技術レベルの適正化により解決できるのではないか。
○プロバイダに対する差止請求制度の必要性、発信者情報開示制度の在り方について
侵害の通知があった場合にはプロバイダに直ちに削除義務を認めるなどプロバイダの判断リスクを除去することが必要である。

プロバイダによる発信者情報の開示制度から侵害明白性の要件を取り除くことなどが必要である。
プロバイダ責任法は施行されて間もないことから、今後の実務を踏まえて、引き続き検討を行うことが必要である。 
○著作者人格権や侵害罪以外の行為に係る罰則への法人重課の導入
著作権、出版権又は著作隣接権を侵害した場合について「法人重課」が導入されているが、著作者人格権又は実演家人格権の侵害や侵害罪以外の行為、技術的保護手段の回避や権利管理情報の改変等を行った者への罰則については「法人重課」が導入されていない。 
 法人重課が必要とされるような実態があるかどうか明らかでない。
平成11年に導入された技術的保護手段の回避や権利管理情報の改変等を行った者への罰則についてはその運用状況を踏まえた検討を行う必要がある。
○刑罰の引き上げ
著作権等の保護の重要性に対する意識の高まりや特許法及び商標法における刑罰とのバランスから、刑罰を引き上げるべきである。
法益としての重大性を変更する状況の変化をさらに検討することが必要である。
・  言い渡し刑の実態と懲役刑の引き上げの必要性の関係について検討が必要である。
○侵害罪の非親告罪化
権利侵害に対する抑止力が高まるため、著作権等の侵害を非親告罪とすべきである。
権利者が告訴の努力をしない限り侵害が放置されるのは適切ではない。
第三者による告発の濫発のおそれがある。
検挙件数が増加した場合に権利者側が対応できるかどうかという懸念がある。 
○裁判外紛争解決等の在り方
高度な専門性による解決が必要とされる紛争から、日常的な相談業務等によって解決できる紛争まで、多様なレベルの紛争の内容に即した解決手段が全国的に用意される必要がある。
プログラムの著作物については専門技術性の要請があるものの、一般の著作物については、誰もが著作物の創作者・利用者となる状況を踏まえ、専属管轄化せずに全国各地で裁判を受けることができることが必要である。
司法制度改革推進本部での検討状況を踏まえつつ、裁判外の紛争解決手段(ADR)の活性化の在り方を検討することが必要である。
日常生活において発生するトラブルについての相談などについては、全国の専門家の協力を得ることやネット上での対応の可能性など、簡便な手続で迅速に対応できる方法について検討することが必要である。
 

 

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