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3   企業等における著作権教育の在り方について

  「審議経過報告」では,「企業関係者を対象とした著作権教育のためのプログラムの開発は遅れており,ニーズの多様性に配慮しつつ,企業関係者向けのプログラムを開発していく必要性がある」と報告されたが,昨年度は充分な検討が行えなかったことから,本年度は,企業等において望まれる著作権教育の在り方について,次のとおりより具体的な検討を行った。

(1)

   企業における著作権教育への関心度

   企業のなかでも,例えばレコード会社,映画製作者,放送局,新聞社,出版社,ソフト制作会社など著作物等の創作及び利用を事業の柱としているものについては,一般に著作権に対する認識は高く,このような企業の多くは,従来から個々の企業又は事業者団体において,継続的な著作権教育が行われている。

   また,業務の中で付随的に著作物等を創作又は利用している企業については,従来は著作権に対する認識が低かったが,情報技術の急速な普及・発展に伴い,業務の一環で著作物等の創作や利用の機会が増加するとともに,企業の社会的責任や法令遵守が厳しく問われる時代になって,著作権教育の必要性が認識されつつある。

(2)    企業における著作権教育の内容・方法

   企業においては,大学や地方自治体等とは異なり,一般に営利目的で著作物等を創作・利用していることから,他人の著作物等を無断で利用できる場合がほとんどないため,著作権教育の内容は比較的単純であると考えられる。しかしながら,業種によって関心のある分野が違うことや,例えば役員等の責任者であるか一般職員であるかなどによっても教育すべき内容が異なることなどから,ある程度,分野や対象者を分けて教育の内容や方法を考える必要がある。

   著作物の創作・利用を事業の柱としている企業においては,独自の教材を作成するなどして一般に継続的な社員教育も行われており,それぞれの責任において,このような取組が一層推進されることが期待される。

   一方,付随的に著作物を創作・利用している企業については,法令違反による企業イメージの低下を防ぐため法令遵守教育のひとつとして著作権教育が行われている場合もあるが,多くの企業では,著作権に対する関心は高くなりつつあるものの,どのように著作権教育に取り組んでよいのかわからないというのが現状である。

   このような企業についても,著作権教育の実施主体は原則として個々の企業や事業者団体であることはいうまでもないが,著作権教育に関する現状から考えると,個々の企業や事業者団体が独自で著作権教育を行うことのできる水準に達するまでは文化庁等の支援が必要と考える。また,その支援の内容については,大学における著作権教育の在り方を参考に,研修カリキュラムの作成や人材養成への支援を中心に考えるべきである。

 

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