検討の結果 著作物等に係る登録制度について,著作物流通促進の観点から,新たな登録制度創設の必要性などについて検討を行った。
創作年月日の登録の対象となる著作物の拡大
プログラムの著作物に係る登録制度として,著作物の創作年月日の登録が設けられている。この制度は,プログラムの著作物は他の著作物と異なり,開発した企業等の内部において利用されたり開発を委託した特定のユーザのみが利用するなど,未公表のまま利用されることが多く,第一発行(公表)年月日の登録制度を活用できる場合が限定されていることから,プログラムの著作物に限り特別に設けられた制度である。
この創作年月日の登録をプログラムの著作物以外の著作物に拡大してほしいという要望がある。その背景には,創作年月日の登録の結果としての事実上の効果,すなわち登録に係る著作物の著作者が誰であるかを公示するという効果を期待するところがあると考えられる。
著作物の創作年月日の登録は,旧著作権法において認められていた著作年月日の登録制度と類似の制度であるが,現行著作権法が制定された際に, 著作年月日を証明することは実際上難しいこと, 第一発行年月日の登録制度の改善が図られるため制度を維持する必要性が低いこと等を考慮し,これを廃止したという経緯がある。
登録制度の活用状況,登録の効果等を総合的に勘案すると,現状において,現行制度創設時の理由を否定すべき特段の状況の変化は認められないことから,創作年月日の登録の対象となる著作物を拡大する必要性は乏しいと考えられる。
登録原簿の調製
我が国では,e-Japan戦略等に基づき,電子政府構想を進めているところである。行政内部の電子化,インターネットを活用した電子申請,行政情報のインターネット公開・利用促進等の取り組みが進められていることから,登録原簿について帳簿をもって調製することとしている現行制度については,コンピュータ時代に合わせた検索しやすい媒体をもって調製できるように変更することが適当である。 |