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第1章   法制問題小委員会

1   検討の内容について

   法制問題小委員会は,「法律ルール」の整備について検討するために設置された。「法律ルール」の整備について,「知的財産基本法」及び「知的財産の創造,保護及び活用に関する推進計画」には,それぞれ次のような記述がある。

【知的財産基本法】

(新分野における知的財産の保護等)
       十八条   (略)
     国は,インターネットの普及その他社会経済情勢の変化に伴う知的財産の利用方法の多様化に的確に対応した知的財産権の適正な保護が図られるよう,権利の内容の見直し,事業者の技術的保護手段の開発及び利用に対する支援その他必要な施策を講ずるものとする。

(競争促進への配慮)
       十条   知的財産の保護及び活用に関する施策を推進するに当たっては,その公正な利用及び公共の利益の確保に留意するとともに,公正かつ自由な競争の促進が図られるよう配慮するものとする。

【知的財産の創造,保護及び活用に関する推進計画】

<権利者へ利益が還元されるための基盤を整備する>
   (権利の付与等により保護を強化する)
      ア)    書籍に関する貸与権
   レンタルコミック店の新刊市場へ与える影響に鑑み,著作権法附則第4条の2(書籍等の貸与についての経過措置)の廃止について関係者間で協議が進められているが,関係者間協議の結論を得て,2004年度以降必要に応じ著作権法の改正案を国会に提出する。

イ)    例外的に無許諾でできる非営利・無料・無報酬の上映の限定
   権利者に対価を還元させることを確保しつつ,映画コンテンツの多様な活用を促進するため,「公衆向けビデオ上映会」等を行える範囲を学校における上映等に限定することについて,2004年度以降著作権法の改正案を国会に提出する。

ウ)    私的録音録画補償金制度
   音楽CD複製機能を備えたパソコンや,技術的保護手段を備えたCDなど多様なデジタル録音・録画のための機器・媒体が商品化されている現状を踏まえ,関係者間で,より実態に応じた制度への見直しを目指し協議が進められているが,関係者間協議の結論を得て,2004年度以降必要に応じ同制度の改正を行う。

エ)    レコード輸入権
   海賊版対策としても有効である海外企業との正規ライセンス締結を促進するため,音楽CDなどの日本への還流を止める「レコード輸入権」の是非について,関係者間で協議が進められているが,関係者間協議の結論を得て,消費者利益等の観点を含めて総合的に検討を行い,2004年度以降必要に応じ著作権法の改正案を国会に提出する。

オ)    著作権等の保護期間
   映画の著作物については,その保護期間を「公表後50年」から「公表後70年」と延長することとしており,映画以外の著作物に係る権利等の保護期間の在り方について関係者間で協議が行われつつあるが,関係者間協議の結論を得て,2004年度以降必要に応じ著作権法の改正案を国会に提出する。

カ)    ゲームソフト等の中古品流通の在り方
   ゲームソフトなどが中古業者により広範に取り扱われ,発売後間もない新盤市場に影響を与えていると指摘されていることに鑑み,より良い創作につながる権利者への利益の還元の在り方について関係者間で協議が進められているが,関係者間協議の結論を得て,消費者利益等の観点も含めて検討を行い,2004年度以降必要に応じ所要の措置を講ずる。

キ)    出版物に関する「版面権」
   出版社が著作物を公衆伝達している役割に鑑み,出版物の複製に係る出版社の報酬請求権の是非について関係者間で協議が進められているが,関係者間協議の結論を得て,2004年度以降必要に応じ著作権法の改正案を国会に提出する。

<技術的保護手段等の回避等に係る法的規制の対象を拡大する>
             技術的保護手段の有用性を担保する観点から,接続管理(アクセスコントロール)回避行為への刑事罰創設,接続管理回避サービス(アクセスコントロール解除のノウハウ本出版,技術的保護を解除(回避)する特定情報(シリアルナンバー等)の公衆への提供など)の規制等について,将来の管理技術開発への影響等を踏まえつつ検討を行い,2004年度以降必要に応じ所要の法案を国会に提出する。

<著作権法を簡素化する>
         

   パソコンやインターネットの普及など,「情報化」の進展に伴う創作手段・利用手段の急速な普及により,著作権に関する知識がすべての人々に必要なものとなっていることから,著作権法そのものについても,一般の人々にとってできる限り分かりやすいものとするため,「権利の統合」や「契約に関する規定の見直し」など,著作権法の規定ぶり(権利の拡大・縮小とは別に)について簡素化等の可能性を検討し,2005年度中に結論を得る。

   コンテンツビジネスの振興に関する施策の迅速な実現を図るため,コンテンツ関係法律の一括改正を含めコンテンツビジネスの振興全般に関する重要事項について調査検討し,結論を得た事項について2004年度以降関係府省において具体化の上,速やかに実施する。


【検討事項】

○関係者間の合意が形成された事項
         ● 「書籍・雑誌等の貸与」に係る暫定措置の廃止
「日本販売禁止レコード」の還流防止措置

○著作権法制全般に関する事項
         ● 著作権法の単純化
「アクセス権」の創設又は実質的保護

○個別の権利の在り方に関する事項
         ● 保護期間について

○各省庁の著作権法改正要望

 

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