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資料   3-1

「拡大教科書」の作成に係る権利制限について

1.著作権法の一部を改正する法律の概要
       現行法第33条では、教科書を作成する場合には、補償金を支払えば、例外的に著作権者の許諾を得ずに、既存の著作物を掲載できることとされている。
   現在、盲学校や小・中学校の特殊学級等においては、弱視の児童生徒によって、既存の教科書の文字等を拡大した、いわゆる「拡大教科書」が利用されているが、この「拡大教科書」を作成する場合には、著作権者の許諾を得ることが必要である。
   しかしながら、「拡大教科書」の大部分は、ボランティア等が一冊一冊手作りで作成しており、小規模なボランティアグループ等が「拡大教科書」を作成するために短期間で全ての著作権者の許諾を得ることは、極めて困難である。
   このため、既存の教科書の文字等を拡大した「拡大教科書」の作成についても、例外的に著作権者の許諾を得ずに行えるようにするとともに、営利を目的として「拡大教科書」を作成する場合のみ、著作権者への補償金の支払いを義務づけた(施行日   平成16年1月1日)。

2.「拡大教科書」を作成する者の義務
   1 通知義務
   営利・非営利を問わず、「拡大教科書」を作成する全ての者に対し、元となる教科書の発行者への通知を義務付けた。
2 補償金支払義務
   「拡大教科書」を営利目的で作成する者に対し、文化庁長官が毎年定める補償金を著作権者へ支払うことを義務付けた。



著作権法(抄)

(教科用拡大図書等の作成のための複製)
第33条の2
   教科用図書に掲載された著作物は、弱視の児童又は生徒の学習の用に供するため、当該教科用図書に用いられている文字、図形等を拡大して複製することができる。

2   前項の規定により文字、図形等を拡大して複製する教科用の図書(当該教科用図書に掲載された著作物の全部又は相当部分を複製するものに限る。以下この項において「教科用拡大図書」という。)を作成しようとする者は、あらかじめ当該教科用図書を発行する者にその旨を通知するとともに、営利を目的として当該教科用拡大図書を頒布する場合にあっては、前条2項に規定する補償金の額に準じて文化庁長官が毎年定める額の補償金を当該著作物の著作権者に支払わなければならない。

3   文化庁長官は、前項の定めをしたときは、これを官報で告示する。


(文化審議会への諮問)
第71条
   文化庁長官は、第三十三条第二項(同条第四項において準用する場合を含む。)、第三十三条の二第二項、第六十七条第一項、第六十八条第一項又は第六十九条の補償金の額を定める場合には、文化審議会に諮問しなければならない。




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