企業における著作権教育の内容・方法 企業においては、大学や地方自治体等とは異なり、一般に営利目的で著作物等を創作・利用していることから、他人の著作物等を無断で利用できる場合がほとんどないため、著作権教育の内容は比較的単純であると考えられる。しかしながら、業種によって関心のある分野が違うことや、例えば役員等の責任者であるか一般職員であるかなどによっても教育すべき内容が異なることなどから、ある程度、分野や対象者を分けて教育の内容や方法を考える必要がある。
著作物の創作・利用を事業の柱としている企業においては、独自の教材を作成するなどして一般に継続的な社員教育も行われており、それぞれの責任において、このような取組が一層推進されることが期待される。
一方、付随的に著作物を創作・利用している企業については、法令違反による企業イメージの低下を防ぐため法令遵守教育のひとつとして著作権教育が行われている場合もあるが、多くの企業では、著作権に対する関心は高くなりつつあるものの、どのように著作権教育に取り組んでよいのかわからないというのが現状である。
このような企業についても、著作権教育の実施主体は原則として個々の企業や事業者団体であることはいうまでもないが、著作権教育に関する現状から考えると、個々の企業や事業者団体が独自で著作権教育を行うことのできる水準に達するまでは文化庁等の支援が必要と考える。また、その支援の内容については、大学における著作権教育の在り方を参考に、研修カリキュラムの作成や人材養成への支援を中心に考えるべきである。 |