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2   地方自治体・社会教育施設等の公的機関等が実施する著作権教育の在り方について

   「審議経過報告」では、地方自治体・社会教育施設等の公的機関等が実施する著作権教育事業に対する支援の重要性について言及し、これらの機関等が有機的な連携協力を保ち、地域全体として著作権教育事業を展開するため、
・   地方自治体・社会教育施設の職員等を対象とした研修の拡大
・   地域において著作権教育事業を企画・実施できる人材の育成
・   各地域における著作権教育のための指導法・教材等の開発・提供等
の方策の実施の必要性が報告された。

   本年度は、文化庁としての著作権教育へのより具体的な支援方策を検討するため、地方自治体・社会教育施設等において望まれる著作権教育の在り方について検討し、地域社会の中で著作権教育を行う場合の留意点等について次のとおり整理した。

(1)

   一定のカリキュラムに基づく継続的な教育の必要性

   地方自治体・社会教育施設等では、組織の内部業務、地域社会向けの広報や行事運営に関する業務、生涯学習のための事業や福祉のための事業における活動など、著作物の創作や利用の形態は多様であり、様々な立場の者を対象として著作権教育を行うに当たっては、大学における著作権教育の場合と同様に、その要望に応じてわかりやすく教えることができるように工夫された一定のカリキュラムに基づく継続的な教育が必要である。

   特に地域向けの著作権教育は、学校・大学を除いたとしても、行政機関、図書館・博物館・美術館・公民館、地元企業などの職員向けのものから、地域住民のための生涯学習の一環として行われるものまで様々である。したがって、対象者をある程度分類した上で、受講者の関心事項や業務の遂行に当たって要求される著作権知識の水準などに配慮した一定のカリキュラムを作成した上で、著作権教育を実施することが望まれる。

(2)

   地域住民を対象とした著作権教育

   地方自治体・社会教育施設等における様々な業務にも著作権が関連する場合も多く、それに携わる職員にとって著作権に関する正しい知識が必要なことはいうまでもないが、地域住民一人一人にとっても著作権に関する基礎的な知識が必要となっている今日、地域住民を対象にした著作権教育は新たな課題である。

   地域住民を対象とした様々な啓発活動については、住民自身が主体的に企画し運営するものや、地域の生涯学習に関する行政機関が主体となって実施するものなど様々であるが、著作権教育に関しては、現状では住民自身が主体的に著作権教育に関する研修を企画運営することは困難である。そのため、当面は、地方自治体・社会教育施設等が、地域の実情に応じて様々な工夫により著作権教育を展開していくことが必要である。

   具体的には、例えば社会教育施設が主催するパソコン操作技術の講座、楽器演奏や合唱の講座などにおいて、著作権制度の仕組みについても周知されるような内容構成に配慮するなどの取組が考えられる。さらに、著作権制度そのものについて学びたいという地域住民の学習要望がある地域においては、体系的でかつ平易な内容の研修講座を生涯学習講座のひとつとして設けることも有意義と考えられる。

(3)    著作権教育の核になる人材の養成

   地方自治体・社会教育施設等においては、当該組織の職員に対する著作権教育だけでなく、生涯学習の観点から、住民一人一人が著作権に関する正しい認識をもてるようにすることも重要となっていることから、これらの様々な面での著作権教育を円滑に実施するためには、著作権教育の重要性を認識し、地域社会の中心となって様々な要望に応じた研修会を企画したり関係者への指導や助言が行えるような人材を養成することが必要である。

 

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