教職員や学生に対する著作権教育
大学は教育機関であることから、多様な方法で著作権教育を行うことができる。例えば、教員が学生に対して行う「教養教育」や「専門教育」の授業科目における指導や、大学事務局や情報処理センターが教職員や学生に対して行う各種の研修の中で、著作権教育を行うことが可能である。
しかしながら、これらのうち授業科目の中で教員が行う著作権教育については、基本的には教育内容は教員自身の自主性に任されていること、一般に教員自身の著作権教育に関する知識・経験が十分でないことから、当面は、大学当局が行う教職員や学生向けの研修等における著作権教育の充実に力を入れるべきである。
教職員や学生に対する著作権教育に当たっては、著作権侵害によって本人や所属する団体等が被るリスクの説明、不適切な著作物等の利用についての身近な事例を教えるなどにより、受講者が著作権を身近に感じ、理解しやすい方法で行うことが効果的である。
なお、教員による学生への指導においても、授業科目や論文指導の中で必要に応じて著作権教育を行うことが期待されており、そのような教育は大いに効果があると考えられるので、教員向けの研修については学生への指導ということも念頭において行うべきである。また、学生に対する研修等の場合には、これらに加えて、レポート作成の際の「引用」の方法なども教える必要があり、さらに、「コピーOK」マーク*1などの著作者としての意思表示の意義を考えさせるような体験的学習の工夫も必要である。
また、大学においては、広報誌、情報誌、紀要、論文集などの作成や共同研究の成果物の取り扱いなどに関し、著作権等に関する契約を結ぶ機会も多く、例えば、今後文化庁の策定・提供する標準契約書に基づいて大学独自の契約システムを構築する過程で、同時に教職員の資質の向上を図っていくことも考えられる。
さらに、大学における教育研究を公開したり教育資源の開放性が求められるなかで、将来的には、文化庁等の関係者の支援も受けながら、大学が地域社会における著作権教育の核になることも期待されており、例えば、地元企業と連携し職業に直結する著作権教育を行ったり、地域住民向けの著作権講座を開設したりするなどの取組も期待される。
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