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5.差止請求制度の見直しについて

         

問題の所在

   訴えの提起のときに侵害していても口頭弁論終結時までに侵害を任意に停止すれば、理論的には、侵害するおそれがないと認定される可能性が存在することから、著作権侵害の差止請求について、起訴後に侵害を停止したとしても、「侵害するおそれがある者」とみなす規定を設けるべきであるという意見がある。

検討結果

   「おそれがない」のに認められた請求権は法的にどのような意味を持つのか不明であるし、実際の訴訟においては、侵害を任意に停止したからといって、本案訴訟で差止の利益が認められないという例は、ほとんどないというのが実態であることから、現段階での「みなし規定」の導入は見送るべきであるとの意見が多く示された。
   なお、多大な費用を掛けて被告による侵害を証明した原告に、被告が将来侵害するかもしれないリスクを負わせるべきではないこと、訴え提起前に侵害を停止するインセンティブを侵害者に与えることとなり、権利者は訴えを提起せずに満足を得ることができる可能性が大きくなることから、「みなし規定」を設けるべきであるとの意見があった。

 

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