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2   海賊版対策の在り方について

(1) 基本的方向性

   アジア地域を中心に我が国の著作物などの海賊版が大量に流通しているとみられることから、引き続き対策強化に努めていく必要がある。
   昨年の報告書においては、海賊版への戦略的対応として、7つの重点分野をとりまとめた。今後、推進計画に基づきながら、官民連携の下、以下の施策に取り組むことが求められる。

(2) 具体的な施策

1侵害発生国における対策強化について

   我が国は、侵害発生国政府との二国間協議などの場を通じて、著作権制度の整備及び制度執行の強化を働き掛けてきた。具体的には、昨年、開始された日中著作権定期協議や、日中経済パートナーシップ協議、日韓文化交流局長級協議の場を活用しながら、相手国政府に海賊版対策の強化を要請してきた。また、台湾との間では、民間レベルで行われる貿易経済会議の場を用いて、海賊版対策に関する協議が行われてきた。今後、これらの活動をさらに実効性あるものにするとともに、他のアジア諸国との間においても、必要に応じて、著作権問題を重点的に取り扱う二国間協議の場を設けて、海賊版対策の強化を要請していくことが求められる。
   また、欧米なども、二国間協議などを通じて、侵害発生国政府に海賊版の取締りの強化を働き掛けている。今後、海賊版対策に係る経験やノウハウを共有するため、官民ワークショップの開催など、欧米との間で実質的な情報交換の場を設けることが有効である。
   さらに、多国間協議の場でも、知的財産の保護の取組がなされている。このうち、APECでは、知的所有権専門家会合において海賊版対策について議論がなされており、引き続き、多国間協議を活用して、侵害発生国政府に海賊版対策の強化を働き掛けていくことが求められる。
   また、侵害発生国において、一般国民の著作権保護に対する意識の向上を図ることは、侵害状況を改善する上で基礎となるものである。このため、我が国が主体となって、著作権の意義、保護の必要性などについて分かりやすく説明した著作権教材などを作成・配布するとともに、同教材を用いた著作権教育のセミナーを開催することが求められる。

2我が国の権利者による積極的な権利行使への支援について

   海賊版対策においては、既に述べたとおり、政府間の協議による相手国政府への要請も重要であるが、それ以前にまず、権利者自らが法的手続きに基づいて権利行使を行うことが求められる。しかしながら、我が国の権利者が他国で自ら権利行使するケースは少ないのが現状である。その理由としては、侵害国における著作権法制度、運用状況、権利執行の手続などに関する情報が不足していること、費用対効果が低いことなどが考えられる。
   我が国の権利者が他国における著作権侵害に適切に対処できるためには、侵害発生国の法制度、侵害事例、権利執行の具体的な手続などに関するマニュアルを作成することが求められる。特に、我が国コンテンツの侵害発生率の高いアジア地域を国ごとに取り上げ、各国の実情に沿ったマニュアルを作成することが望ましい。

3官民のさらなる連携の強化について

   実効性ある海賊版対策を実施していくためには、官民の密接な連携が不可欠である。政府はこれまでも、コンテンツ海外流通促進機構(CODA)の活動など、民間の海賊版対策を積極的に支援してきた。2003年9月には、著作権侵害情報の収集・提供及び海外へのビジネス展開・著作権侵害訴訟に係る窓口相談を強化するため、北京、上海などアジア地域に現地事務所を有する日本貿易振興機構がCODAの事務局機能を担うこととなった。
   今後とも、官民の情報交換、合同ミッションの派遣などを積極的に行うことにより、官民の連携強化を図ることが求められる。

 

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