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第4章   コンテンツビジネスの飛躍的拡大

   「知的財産立国」を目指す我が国にとって,世界的にも優位にあるコンテンツ(映画,アニメ,ゲームソフトの著作物等)を活用したビジネスを飛躍的に拡大することが必要不可欠である。
   我が国のコンテンツビジネスの規模は,娯楽系事業だけでも約11兆円に上ることに加え,関連する産業分野が幅広いことから,コンテンツビジネスの活性化が,我が国経済を牽引し経済再生の鍵となることが大いに期待されている。
   コンテンツビジネスの飛躍的拡大のためには,魅力あるコンテンツを創造し,それを適切に保護した上で,広く国内外への流通を促進していくことが必要である。このような「文化の再生産」というべきコンテンツの創造サイクルの活性化を図ることが喫緊の課題であるが,現状は,近年の急速なデジタル化・ネットワーク化への対応が必ずしも十分ではない上に,業界独特の慣習や人材不足,さらには海賊版問題にみられるようにその保護も遅れていると言わざるを得ない。
   このため,これらの課題を適切に処理・解決していくことが焦眉の急であり,コンテンツビジネスの関係者においても,「知的財産立国」の実現に向けて不断の努力が求められる。また政府においては,文化芸術振興基本法に基づく「文化芸術の振興に関する基本方針」も踏まえつつ,以下に掲げる施策を関係府省が一丸となって,スピード感をもって推進することとする。

1.魅力あるコンテンツを創造する

(1)人材を育成する
   1 プロデューサー育成のため大学等への育成課程策定を支援する
 
       制作に係る資金調達や,海外取引を始め契約における法務知識とビジネス感覚を備えた「プロデュース機能」を担う有能な人材を育成するため,2004年度以降引き続き,芸術系大学等での育成プログラムの策定を支援する。
(総務省,文部科学省,経済産業省)

2 創作者育成機関の設立を支援する
 
    1    創作者の技能向上のため,高等教育レベルの育成機関の2004年度以降の設置に向けた各主体による取組を支援するとともに,当該育成機関に対し,現場で活躍する現役創作者を講師として揃えることや,海外の同様の育成機関(例:南カリフォルニア大学)との提携,インターンシップの活用等各主体による創意工夫ある高度な教育を支援する。
(文部科学省,経済産業省)
  2    当該育成機関における映像編集機材等の導入を支援するとともに,2004年度以降,撮影後の編集・加工・仕上げの作業を行う最新鋭のスタジオの利用支援を行う。
(文部科学省,経済産業省)

3 有望な創作者の海外での研修を支援する
 
       センスと技能に恵まれた若い創作者が海外の先進事例に触れ,自らの才能を存分に伸ばすことができるよう,2003年度以降引き続き,海外での研修を支援する。
(文部科学省,経済産業省)

4 海外の一流創作者及びプロデューサーを招聘する
 
       創作者の動機や能力を高めるため,世界の第一線で活躍する「成功者」である一流創作者やプロデューサー等を2004年度以降招聘し,セミナー,シンポジウムなどを推進する。
(総務省,文部科学省,経済産業省,関係府省)

(2)資金調達手段を多様化し,各種支援を行う
   1 商品ファンド法による「映画ファンド」組成の円滑化を図る
 
       映画等の制作に係る資金調達の円滑化を図る観点から,商品ファンド法における許可要件の緩和について,法目的である投資家保護の趣旨を十分踏まえつつ検討を行い,2003年度中に結論を得て,必要に応じ所要の措置を行う。
(金融庁,経済産業省)

2 著作権の信託による資産流動化の枠組みを整備する
 
       コンテンツ制作に係る資金提供者からの制約を少なくするとともに,著作権の流動化を図る観点から,1知的財産を信託業の対象とするとともに,2一般事業会社の参入を認めるよう,2003年度中に信託業法の改正を行う。
(金融庁,経済産業省)

3 保証制度の創設を検討する
 
       コンテンツ制作に係る資金調達を支援するため,中小のコンテンツ制作事業者などの借入れに対する信用保証制度(完成保証制度)を設けることについて検討を行い,2004年度までに必要な措置を行う。
(経済産業省)

4 文化芸術分野等におけるコンテンツ制作への融資等を充実させる
 
       民間からの資金調達が直ちに見込めない優れたコンテンツの制作を振興する観点から,十分な収益が上がるまで一定の期間公的融資を活用するため,日本政策投資銀行の事業に文化芸術分野等におけるコンテンツ制作への低利融資事業,出資事業及び完成保証事業を追加することについて検討を行い,2004年度までに結論を得る。
(総務省,財務省,文部科学省,経済産業省)

5 コンテンツの制作・投資を促進するための環境整備を行う
 
       映画等のコンテンツの制作・投資を促進するため,税制措置を含む環境整備について,2003年度以降検討を行う。
(総務省,財務省,文部科学省,経済産業省,関係府省)

(3)環境を整備する
   1 コンテンツを活用し,日本というブランドを向上する
 
       我が国コンテンツを活用し,我が国に対する国家イメージを向上させるため,文化芸術振興基本法の「基本方針」に基づく優れた作品や先駆的,実験的な創作への支援,東京国際映画祭への支援,国際見本市などのイベントを活用した海外向けのPR支援,キャラクター等を核とする総合ブランド戦略への取組支援,国際交流基金等を通じた我が国コンテンツの海外発信支援について,2003年度以降推進する。
(総務省,外務省,文部科学省,経済産業省,関係府省)

2 コンテンツ創作者の発表機会を確保する
 
       優れた映画やゲームソフトなどのコンテンツ,また若く才能ある創作者を見出し,発展の機会を与えるため,各コンテンツ産業界と国が協力し,2004年度以降発表の機会を確保するとともに,競技会(=挑戦の場)の開催を奨励する。
(総務省,文部科学省,経済産業省)

3 フィルム・コミッション(自治体を中心に設立された野外撮影を誘致・支援する非営利組織)のロケ誘致活動を支援する
 
    1    映画製作の野外撮影誘致活動を円滑にするため,2003年度以降,道路の使用などの手続きに関する事務や地元住民への理解協力についての相談窓口の一元化などに必要な支援を行う。
(文部科学省,経済産業省,関係府省)
  2    2004年度以降,建造物等の管理者に対する協力促進の働きかけや,建造物等のデータベース整備のための支援を行う。
(文部科学省,経済産業省,関係府省)

4 東京国立近代美術館フィルムセンターの充実を図る
 
       映像コンテンツ制作の環境整備を一層促進するため,フィルムセンターの映像コンテンツの保存機能,普及・上映機能を充実させるとともに,新たに人材養成機能や製作支援機能を付加することについて2003年度以降検討を行い,2004年度中に結論を得る。
(文部科学省)

5 実演家の活動環境を整備する
 
    1    プロダクション等に所属しない実演家等が,安全で安心して活動に取り組める環境を整備するため,実演家等の事故災害補償の在り方や労働契約によらない場合の出演契約の書面化の促進について検討し,2004年度以降必要に応じ所要の措置を行う。
(文部科学省,厚生労働省)
  2    子役の出演する公演時間の多様化の方策,実演家の肖像権の保護の在り方などについて検討し,2004年度以降必要に応じ所要の措置を行う。
(法務省,文部科学省,厚生労働省,経済産業省)


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