ここからサイトの主なメニューです


第2章   保護分野

1.知的財産の保護の強化

   知的財産創造のインセンティブを確保するとともに,その効果的な活用を図るには,知的財産の適切な保護が不可欠であり,そのための制度や体制は,今後もより一層充実させていかなければならない。新たに生み出された知的財産を,制度の国際的な調和や技術革新の進展も踏まえて適正に保護するとともに,権利取得手続,訴訟手続の充実と迅速化のための体制を整備することによって,知的財産の保護を十全ならしめる基盤の構築を目指す。

.特許審査を迅速化する

(1) 特許審査迅速化法(仮称)を制定する
   熾烈な国際競争の中で企業の経営判断にスピードが求められる今日,特許審査の迅速化は,優れた発明の事業化を促し経済の活性化につなげるために不可欠である。特許審査の迅速化を図るためには,50万件に上る審査未着手案件(いわゆる滞貨)の縮減と,今後発生が見込まれる約30万件の審査請求の急増への対応が重要である。世界最高レベルの迅速・的確な審査を実現するため,審査待ち期間の短縮の目標を定め,あわせて,必要な審査官の確保,専門性を備えた審査補助職員の活用,先行技術調査の外部発注等による審査体制の整備強化,特許法等の見直し,出願人等による出願・審査請求構造の改革等の総合的対策を推進する。なお,滞貨縮減のための臨時措置として,外部人材の活用により任期付審査官を配置し,任期終了後は知的財産専門人材としての活用を図る。さらに,関係法律の改正など,特許審査の迅速化に必要な措置を包括的に定めた特許審査迅速化法案(仮称)を2004年通常国会に提出する。
(経済産業省)

(2) 先行技術調査機関を育成し,その活用を図る
   2004年度以降,大学・企業等が出願・審査請求を行うに際して,その発明の特許性を適切に判断することができるよう,民間における先行技術調査機関の機能の拡充・向上を図るための措置を講ずるとともに,特許庁の保有している先行技術の検索ツールの公開や先行技術調査のノウハウの対外的な移転を進める。また,より迅速かつ的確な特許審査を実現しつつ,更なる効率化を進める観点から,指定調査機関への新規参入の環境整備,指定調査機関が出願人等の依頼に基づいて先行技術調査を行う制度,申請者への先行技術調査を義務付ける制度の可否等について検討し,2003年度末までに結論を得る。
(経済産業省)

(3) 出願・審査請求構造改革を推進する
1    出願・審査請求構造の改革を推進するため,出願者間のコスト負担を是正し適正な審査請求行動を促進する料金体系への移行に併せて,サーチ環境の整備や中小企業等を対象とする料金減免措置の拡充等の支援措置の検討を行う。また,出願人の理解と協力を得て,特許登録率の向上のための審査請求の厳選,権利取得の必要性が低下した出願の取下げ,実用新案制度の適切な活用等を含め,出願・審査請求構造改革を促すための施策を,2003年度以降推進する。
2    適正な権利取得と明細書の充実等のために弁理士の役割は極めて重要であることから,日本弁理士会の理解と協力を得て,弁理士の果たすべき役割について検討を行い,2003年度末までに結論を得る。
(経済産業省)


ページの先頭へ