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.大学等における知的財産の創造を推進する

(1) 知的財産の創造を重視した研究開発を推進する
1 大学,公的研究機関において知的財産の創造を重視した研究開発を推進する
1    2003年度以降,民間の参加も得て,基礎研究段階からその研究成果の応用,技術移転に至るまで一貫して実施する研究開発制度や,国として戦略的に獲得すべき重要な知的財産の取得に向けた研究開発を更に充実させる。その際には,知的財産の創造,保護及び活用に十分配慮した研究の推進,評価を行う。
2    2003年度以降,「第2期科学技術基本計画」を踏まえて競争的資金を倍増する。
3    2004年度以降,競争的資金を用いて先端科学技術機器等の開発・実用化を進める。
(総合科学技術会議,文部科学省,経済産業省,関係府省)

2 研究開発において特許情報を活用する
1    2003年度以降,論文等の書誌情報と特許情報との統合検索システムの整備に向けてシステムの仕様について検討を行い,2005年度からの運用を目指す。
2    2003年度以降,大学・公的研究機関の研究者が特許情報を検索できる環境を整備するとともに,特許情報の検索方法,活用方法に関する研修事業を更に進める。
3    2003年度以降,国の資金による研究開発については,研究課題の選定等において特許情報を活用する。
(総合科学技術会議,文部科学省,経済産業省,関係府省)

3 研究現場に知的財産担当者を配置する
   2003年度以降,技術に関する知的財産の創造が想定される分野においては,大学・公的研究機関の研究現場の適切な単位毎に知的財産担当者を配置し,当該担当者に対して知的財産に関する研修を行うことを奨励する。
(総合科学技術会議,文部科学省,関係府省)

(2) 研究開発評価において知的財産を活用する
1 知的財産に関する総合的な評価指標を用いる
   2003年度以降,知的財産に関する指標を評価,研究費配分その他の研究資源の配分に活用するに際しては,特許等の(出願)件数を参考としつつも,ライセンス実績(件数,収入),特許等における特許・論文の被引用度といった質的な側面,さらには共同研究実績,起業実績,コンサルティング件数といった点を重視した「総合的な評価指標」を用いる。
(総合科学技術会議,文部科学省,関係府省)

2 社会貢献が研究者の責務であることを明確化し,業績評価において知的財産を重視する
1    2003年度以降,社会貢献が研究者の責務の一つであることを,大学・公的研究機関において明確に位置付ける。さらに,知的財産の創造が想定される分野においては,研究者の業績評価として研究論文等と並んで知的財産を重視する。その際,「総合的な評価指標」を用いる。
(総合科学技術会議,文部科学省,関係府省)
2    2003年度以降,大学が,透明性・公正性に十分配慮した適正な評価システムをできる限り構築し,学内に周知を図るよう促す。評価システム構築に当たっては,企業における人事システムの例,国内外の大学・研究機関の運用事例等を参考にすることが重要であることから,事例集の発行等必要な情報を大学に提供する。
(総合科学技術会議,文部科学省,関係府省)

3 大学・研究開発型独立行政法人の評価において知的財産への取組状況を用いる
   2003年度以降,大学評価・学位授与機構及び国立大学法人評価委員会において,各大学の特性を踏まえて,各大学の知的財産の創造,保護及び活用に関する取組状況を評価し,その結果を公表する。同様に,研究開発型独立行政法人においても,事後評価の指標の一つとして知的財産の創造,保護及び活用に関する「総合的な評価指標」を用いる。
(総合科学技術会議,文部科学省,経済産業省,関係府省)

4 公募型研究費の申請項目及び事後評価項目に追加する
   2003年度以降,科学研究費補助金その他の公募型研究費について,公募申請に際して申請者の知的財産に関する状況を申請させることにより,研究課題の採択における評価の参考とするとともに,成果報告においても知的財産に関する状況を報告させる。
(総合科学技術会議,関係府省)

(3) 研究者に多様なインセンティブを付与する
1 研究者個人への実施料を還元するルールを明確化する
   2003年度以降(国立大学にあっては法人化に合わせて),大学・公的研究機関においては,研究者の発明に関する権利を承継し,実施料収入を得た場合に,発明者個人に還元すべき金額の支払ルールを明確化する。
(総合科学技術会議,文部科学省,経済産業省,関係府省)

2 知的財産への取組状況を研究資源の配分に反映させる
   2003年度以降,知的財産の創造を奨励する一環として,研究資源の配分に当たり,その一部に,知的財産に関する取組状況を反映させる仕組みを設ける。その際,「総合的な評価指標」を用いる。
(総合科学技術会議,文部科学省,関係府省)

(4) 知的財産権の取得・管理といった知的財産関連活動に関する費用を充実する
1    法人化後の大学では,特許権が大学で一元管理される方向であり,また,国内外への特許出願件数の増加も予想される。このため,2004年度以降,国公私を通じた大学等への海外出願経費を含めた特許関連経費の支援を,競争的原理の下で,大学の自主性を尊重しつつ,充実するとともに,各大学に対しても必要な特許関連経費を確保することを奨励する。
2    2004年度以降,プロジェクト研究や競争的資金など,特許等の取得をある程度の目標とする研究費については,特許関連経費を別枠で措置するなどの方法により確保を図るとともに,2004年度末までに研究開発の時期と特許関連経費の支出時期のずれを踏まえ,特許関連経費の柔軟な取扱いを検討する。
3    2004年度以降,大学等に対する運営交付金の算定について,知的財産関連活動へのインセンティブを減じないよう配慮する。
4    2004年度以降,大学等が主体的に取り組む共同研究等について,その研究成果を事業化に結びつけるための知的財産の戦略的取得・維持に必要な資金を十分確保する。また,そのため,企業等から提供される研究費の内,間接経費の一部を知的財産の取得・維持費用に弾力的に充当できるようにする。
(総合科学技術会議,文部科学省,経済産業省,関係府省)

(5) 大学知的財産本部や技術移転機関(TLO)といった,知的財産に関する総合的な体制を整備する
1 大学の知的財産本部を整備する
1    特色のある知的財産本部を整備する
   2003年度以降できるだけ速やかに,各大学の創意工夫に基づく知的財産本部の機能の一層の充実・強化を図るとともに,各大学の状況に応じた多様な形態の知的財産管理体制が実現される支援を行う。
2    国際競争力のあるスーパー産学官連携本部を整備する
   2004年度以降できるだけ速やかに,モデルとなる大学知的財産本部の知的財産活動を評価し,特に活発な活動を実施し,国際競争力強化に貢献が期待されるスーパー産学官連携本部を厳選して,その支援を強化する。
3    人材情報を整備・充実させる
   2003年度以降,弁理士,弁護士,産業界それぞれの関係団体の協力を得て,大学知的財産本部の活動に参画できる優秀な人材(民間企業において知的財産に関する知識経験が豊富な者及び高度な実務能力を有する弁理士や弁護士)に関する情報を収集整理し,データベース化することにより,大学等の求めに応じて適切な人材を紹介・斡旋できるようにする。
(総合科学技術会議,文部科学省,経済産業省,関係府省)

2 TLOを整備する
1    TLOの整備促進を図る
   2003年度以降,新設されるTLOに対する一定期間の財政支援や海外出願に対する支援を引き続き行う。
(総合科学技術会議,文部科学省,経済産業省,関係府省)
2    特定技術分野重点TLOを整備する
   2004年度以降,既設のTLOについて,業績評価を踏まえ,特定の技術分野において技術移転活動が特に優れたTLOに対し,当該技術分野に合わせた専門人材の確保等の支援を重点的に行うことを通じ,我が国の技術移転体制の抜本的強化を図る。
(総合科学技術会議,文部科学省,経済産業省)
3    特許を受ける権利を含めた知的財産権の管理信託事業へのTLOの参入は原則自由とするよう2003年度中に所要の法整備を行う。
(金融庁,経済産業省)

3 知的財産取扱指針を制定し,ワンストップ・サービスを提供する
   2003年度以降,大学において,大学知的財産本部の整備の意義,技術移転先としての国内企業,ベンチャー企業への配慮,独法化後の特許の取扱いなど,大学の知的財産の創出・保護・活用に関する基本的考え方を確立することを促す。こうした大学の取組を支援し,遅延なく特許出願や技術移転が可能となるよう,関係府省における相談窓口を開設する。
(文部科学省,経済産業省)

4 対外窓口を明確化する
   大学等においては,2003年度以降も引き続き,産官学連携と知的財産管理の機能を集中化し,産業界から見て知的財産活用,共同研究等を申し入れる際の,対外窓口の明確化を進める。
(文部科学省,経済産業省,関係府省)

5 大学における知的財産に関する総合的な体制を整備し,機能を強化する
1    2003年度以降,各大学において大学知的財産本部とTLOが連携しつつ知的財産の創造,保護,活用を進めるための総合的な体制を構築し,知的財産に関する普及・啓発,各種方針・ルールの策定,共同研究・受託研究に関する調整機能,権利化機能,技術移転機能,法務機能,創業支援機能といった各機能について,大幅な強化を図るともに,諸手続きの更なる迅速化を図る。
(総合科学技術会議,文部科学省,経済産業省,関係府省)
2    大学の発明が死蔵され,不良資産化することのないよう,大学知的財産本部が研究成果の評価,権利化等を判断する際には,民間の人材や弁護士・弁理士等適切な人材を活用しつつ,TLOに蓄積された知識・経験を十分に活かす体制を整備する。このための参考として,2003年度中に,大学内の知的財産に関する組織,TLO等産学官連携組織の有機的連携の在り方に関する複数のモデルを提示する。
(総合科学技術会議,文部科学省,経済産業省,関係府省)

6 大学知的財産本部・TLOを評価する
   2003年度以降,大学知的財産本部・TLOの活動に関して毎年フォローアップを行う。また,適切な評価手法を確立し,2004年度以降適宜,それに基づく評価が行われるようにするとともに,評価基準及び評価結果を公表し,評価結果を資源配分に反映させる。
(総合科学技術会議,文部科学省,経済産業省)

7 連携・ネットワーク化を推進する
1    移転の見込みのない特許出願・権利化が経済的な自立を困難にさせるという悪循環を防止すべく,2003年度中に,TLO協議会の拡充等により,大学及びTLOが相互に連携を取って産学官連携・技術移転に関する成功事例を調査し,情報の交換や共有を行うとともに,意見調整や人材育成活動等を実施する全国組織を構築する。
(総合科学技術会議,文部科学省,経済産業省)
2    2003年度以降,全国のTLOが相互に連携をとって,大学等から生じた知的財産を最適の企業等に技術移転することにより有効活用するとともに,大学知的財産本部,TLOが未整備の大学や公的研究機関(地域におけるものを含む)からの技術移転についても対処できるよう,その業務上の連携の抜本的強化を支援し,産学官連携・技術移転組織の更なる拡大,全国的な連携の強化やネットワーク化を推進する。また,TLO未整備の大学やTLOの要請等に応じ,海外特許の取得に対する支援を行う。
(総合科学技術会議,文部科学省,経済産業省)

8 大学の知的財産活動への学生の参加を奨励する
   2003年度以降,大学の知的財産に関する活動に,企業,大学等の関係者に加えて学生の参加を奨励する。
(総合科学技術会議,文部科学省,経済産業省)

(6) 知的財産に関するルールを明確化する
1 機関一元管理を原則とするとともに研究者の流動化へ配慮する
   2003年度以降(国立大学の場合は法人化を契機に),大学,公的研究機関において特許等の効率的な活用が図られるよう,大学等の機関一元管理を原則とした体制を整備する。その際,大学で特許出願等を行わない発明等に関する権利の研究者への還元を可能とするルールを整備する。また,研究者の流動化に配慮し,内外の研究機関の事例等も参考としつつ,研究目的のライセンスといった契約上の工夫に加えてその他の手段の可能性も広く検討し,少なくとも自らの発明については異動先における研究の継続が可能となるような柔軟な措置を講ずる。
(総合科学技術会議,文部科学省,経済産業省,関係府省)

2 産学官連携に関するルールの整備を支援し,契約締結の柔軟性を確保する
1    大学等が自らの戦略的な知的財産の活用及び共同研究・受託研究の促進を図るために,2003年度以降,大学等が,民間企業との共同研究・受託研究を実施する場合の考え方,取扱ルール(例えば,以下のようなもの)を明確化するとともに,契約書の雛形,運用マニュアル等を自ら整備し,外部に対して積極的に公表することを促す。
   ・ 営業秘密等秘密情報の取扱い
   ・ 共同研究成果としての知的財産権の帰属
   ・ 民間企業等への権利譲渡,ライセンス等に関する考え方
   ・ 他の大学(国内・国外)等の研究者との連携により知的財産が生じた場合の権利関係等の取扱い
   また,大学等が民間企業との共同研究,受託研究実施ルール等を作成するために必要となる留意事項,例えば不実施主体である大学の特性や企業側に
おける実施化促進といった点を踏まえた契約上の工夫等について,各種方針,事例集等必要な情報を提供する。さらに営業秘密の取扱いについては,企業側の営業秘密の保護と,大学における学問・研究の自由を両立させるという観点,及び研究者の発明の公知化を防止するという観点から,大学等における秘密管理の参考となる考え方を整理し,周知する。
2    2003年度中に,産学官連携の推進に伴う研究者の利益相反問題についての参考となる事例をまとめ,周知する。
3    2003年度以降,大学等において,知的財産権の取扱いを含め,企業と大学等の間の協議結果を踏まえた共同・受託研究契約が締結できるよう契約締結についての柔軟性を確保する。
(総合科学技術会議,文部科学省,経済産業省,関係府省)

(7) 大学発ベンチャーを促進する
1    2003年度以降,大学等において大学等の発明等を基にした起業の促進を図るため,大学等の機関一元管理を原則とする場合にあっても,利益相反に配慮しつつ,起業しようとする研究者の求めに応じて権利の移転や実施権の設定を可能とする柔軟なルールを整備する。
2    大学等における優れた研究成果を着実に企業化,製品化につなげるために,2003年度以降,これらを担う大学発ベンチャーや企業を対象に産学のマッチングによる実用化研究や,実証試験等に対する支援を行う。さらに,大学等の成果で企業化が困難なものを企業等に開発費を委託し,企業化を促進することを通じて,大学等の研究成果の移転を促進するとともに,大学発ベンチャーにおいては,経営に必要な専門的知識を有した人材の確保が困難であることに鑑み,弁護士,公認会計士等の専門家派遣を行う。
(総合科学技術会議,文部科学省,経済産業省)

(8) 円滑な研究活動と知的財産の保護の両立を図る
1 研究者間の自由な意見交換と特許保護の両立を図る
   研究者間の自由な意見交換により,発明が新規性を喪失するといった問題を解決するため,2003年度中に,特許を受けることができない「公然知られた発明」についての判断基準を踏まえ,守秘義務の下での意見交換によっては,発明は新規性を喪失しないことを,研究現場に周知する。
(総合科学技術会議,文部科学省,経済産業省)

2 研究における特許発明の使用を円滑化する
   研究活動における他人の特許発明の使用を円滑化するため,2003年度中に,特許権の効力が及ばないとされる試験・研究についての考え方を整理し,2004年度以降,大学・公的研究機関・民間企業等の研究現場に周知する。また,特許権の効力が及ぶ場合において,研究目的と商業的目的を区別したライセンス契約の普及,さらに米国国立衛生研究所(NIH)の指針を参考にした指針や立法措置等の可能性を含めて,幅広く内外の事情を調査し,大学・公的研究機関・民間企業等における特許発明の使用を円滑化するための措置を講ずる。
(総合科学技術会議,文部科学省,経済産業省)

3 研究マテリアルの使用を円滑化する
1    2003年度以降,大学・公的研究機関において,研究において用いる物(マテリアル)の移転条件や簡便な移転手続を定めたルールの更なる周知を図り,研究活動での有体物(マテリアル)の使用の円滑化を図る。
2    2003年度以降,大学・公的研究機関において作られた有体物(マテリアル)に化体されたノウハウ等の知的財産の帰属関係や必要な管理について,「営業秘密管理指針」も参考にしつつ,明確化を図る。
(総合科学技術会議,文部科学省,経済産業省,関係府省)


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