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資料4

今期の国際小委員会の進め方について(案)

1.現状認識

 90年代後半以降、先進国を中心とした各国は、世界知的所有権機関(WIPO)の枠組みを活用しつつ、デジタル化・ネットワーク化時代に適した国際的な著作権等のルール形成に向けて、一致協力して取り組んできた。これにより、著作権に関する世界知的所有権機関条約(WCT)、実演及びレコードに関する世界知的所有権機関条約(WPPT)が策定されたが、その後の視聴覚実演や放送機関の保護に係る新条約については、現在のところ採択の目途は立っていない状況である。

 このような背景としては、世界各国の知的財産に対する関心やスタンスの多様化が挙げられる。途上国は、自国の開発問題への対処手段として知的財産に着目し、マルチの場を通じて知的財産と開発問題との連携強化を展開している。これに対し、先進各国は、マルチの場での議論の硬直化を受け、著作権の保護やエンフォースメント強化のための議論をより機動的なプルリ(複数国間)や自由貿易協定(FTA)等のバイの枠組みで対応しようとする傾向が顕在化している。

 我が国としても、このような各国の状況を踏まえ、自国の著作物の海外展開における課題や海賊版などの海外での侵害状況などの実態を十分に踏まえつつ、著作権等の保護や利用促進に向けた国際的なルール形成やその普及などに向けて、具体的にどのようなスタンスで取り組んでいくべきなのか明確にすることが必要である。

 国際小委員会としては、このような問題意識を踏まえ、我が国の著作権等に関する今後の国際対応のあり方について検討していくこととする。

2.今期の検討課題(案)

  • 現在、WIPOで議論されているインターネット対応のための新条約に関する各課題、フォークロアの保護、開発と知的財産の問題、及びその他我が国として今後国際的な取り組みが求められる課題に関して、今後どのような国際対応を取っていくべきかについて検討を行う。また、その際、WIPOを中心としたマルチに加えプルリ、バイの場をどのように活用していくべきなのかについて検討を行う。
  • 本年度の検討課題については、上記検討の進捗状況及び著作権分科会の他の小委員会の議論等を見つつ、適宜追加することとする。

3.今期の進め方(案)

  • 上記課題については、知的財産としての側面のみならず、開発問題、国際貿易、競争政策等の多様な側面からの専門的かつ詳細な検討が要求されるため、まずは傘下のワーキングチームにおいて、議題によって柔軟にメンバーを入れ替えつつ議論を行う。
  • 年度後半において、国際小委員会へワーキングチームの検討状況の報告を行い、国際小委員会において上記課題の検討を行う。
  • ワーキングチームの検討状況を踏まえ、必要に応じて国際小委員会の報告書又は審議経過報告としてとりまとめる。

以上