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我が国の目指す姿は、文化、伝統、自然、歴史を大切にする「美しい国、日本」である。我が国が21世紀において「美しい国」として繁栄を続けていくためには安定した経済成長が続くことが不可欠である。人口減少の局面でも、これはグローバル化に対応して開かれた姿勢でアジアなど海外の成長や活力を日本に取り込むことにより可能である。
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このため、アニメや音楽などのコンテンツ等について、国際競争力や世界への情報発信力を強化すること及びヒト・モノ・カネ・文化・情報の流れにおいて、日本がアジアと世界の架け橋になることは、現在、政府の最重要課題として位置づけられている。
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しかしコンテンツのアジアでの流通には、言語等の文化的背景が異なることと、知的財産の保護レベルが低いことという二つの大きな障害がある。前者は所与の問題として対策を立てることは難しく、またそもそも文化に多様性があるということは文化発展の原動力でもあるので、その均質化は施策として目指すべきことではない。
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他方で制度的理由で文化発信ができないことについては政府や我が国の企業の働きかけによって改善する必要がある。
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政府は2003年に知的財産推進計画を定めてから海賊版対策事業に注力してきており、その後政府の海賊版対策事業は漸進的に充実し、中国等において音楽CD市場における海賊版が占める割合が減少したり、香港等において海賊版販売店舗の閉店が相次ぐなど一定の成果も上がってきた。
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また、中国を筆頭にアジアの多くの国では著作権関係法令の整備が進んできており、多くの国は国際条約が要求するレベルの著作権保護法制を備えつつある。
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しかしながら依然として海賊版の流通量は多く、十分な成果が上がっていないことも事実である。
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法令の整備だけでは現実の海賊版は十分に減少しないことが示すように、現場で成果を挙げるという観点からは、現在の海賊版対策が最も効果的な手法となっているとは必ずしも言えない。
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我が国の海賊版対策事業は、スローガンとして海賊版対策の看板を掲げる目的で施策を行う時期は過ぎ、本格的に具体的な成果を刈り取る新たな段階にステップアップすべき時期に入ったと考えられる。
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海賊版が十分に減少しない状況を漫然と続けないためには、これまで行ってきた海賊版対策事業の在り方の全面的な点検調査を行い、より効果的な事業実施のために必要な改善点を洗い出す必要がある。
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こうした観点からこれまでの我が国の海賊版対策事業を見直すべく、検討を行う。
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まず事業分野ごとの検討、次にそれらの連携や相互関係の検討を行い、最後に海賊版問題を取り巻くその他の周辺的状況の分析を行う。 |