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資料5

放送条約テキスト

序文

締約国は、

放送機関の権利の保護を、できる限り効果的かつ統一的に発展させ及び維持することを希望し、

経済的、社会的、文化的及び技術的発展によって生ずる問題について適当な解決策を与えるため、新たな国際的な規則を導入する必要があることを認め、

国内及び国境を越えてくる放送の無断利用の可能性及び機会の増大を生じさせている、情報・通信技術の発展及び融合の重大な影響を認め、

放送機関の権利と、特に教育、研究及び情報の入手のような広範な公共の利益との間の均衡を保つ必要がある事を認め、

放送機関に、放送に含まれる著作物及びその他の保護されている内容物における著作権及び隣接権の保持者としての権利を認める必要性と同様に、その権利を損なわずに放送機関を保護する国際的なシステムの設立を目標とすることを認め、

放送の侵害行為に対する効果的かつ一貫した保護が、著作者、実演家及びレコード製作者の直接的利益になることを強調し、

次のとおり協定した。


WPPT 前文
締約国は、
実演家及びレコード製作者の権利の保護をできる限り効果的かつ統一的に発展させ及び維持することを希望し、
経済的、社会的、文化的及び技術的発展によって生ずる問題について適当な解決策を与えるため、新たな国際的な規則を導入する必要があることを認め、
情報及び通信に係る技術の発展及び融合が実演及びレコードの生産及び利用に重大な影響を与えることを認め、
実演家及びレコード製作者の権利と特に教育、研究及び情報の入手のような広範な公共の利益との間の均衡を保つ必要があることを認めて、
次のとおり協定した。

第1条
他の条約との関係

A案(※WPPT・EC案)
(1) この条約のいかなる規定も、1961年10月26日にローマで作成された実演家、レコード製作者及び放送機関の保護に関する国際条約に基づく既存の義務であって締約国が相互に負うものを免れさせるものではない。

B案(※アメリカ案)
(1) この条約のいかなる規定も、現存する著作権及び著作隣接権の諸条約に基づく既存の義務であって締約国が相互に負うものを免れさせるものではない。

※(2)(3)はAB共通
(2) この条約に基づいて与えられる保護は、放送に組み込まれる番組素材の著作権及び著作隣接権の保護に変更を加えるものではなく、またいかなる影響を及ぼすものではない。従って、この条約のいかなる条文もこうした保護を害するものと解釈してはならない。
(3) この条約は他の条約と何ら関係も有するものではなく、また他の条約に基づくいかなる権利及び義務に影響を与えるものでもない。

WPPT 第1条
他の条約との関係
(1) この条約のいかなる規定も、1961年10月26日にローマで作成された実演家、レコード製作者及び放送機関の保護に関する国際条約(以下、「ローマ条約」という。)に基づく既存の義務であって締約国が相互に負うものを免れさせるものではない。
(2) この条約に基づいて与えられる保護は、文学的及び美術的著作物の著作権の保護に変更を加えるものではなく、また、いかなる影響も及ぼすものではない。したがって、この条約のいずれの規定も、これらの著作権の保護を害するものと解することはできない。
(3) この条約は、他の条約といかなる関係も有するものではなく、また、他の条約に基づくいかなる権利及び義務に影響を及ぼすものでもない。

第2条
定義

この条約の適用上、
(a) 「放送」とは、公衆によって受信されることを目的とする無線による音若しくは影像若しくは影像及び音又はこれらを表すものの送信をいう。衛星によるこれらの送信も「放送」である。暗号化された信号の無線送信は、暗号解除の手段が放送機関により又はその同意を得て公衆に提供される場合には、「放送」である。「放送」とは、コンピュータ・ネットワーク上の送信を含まないと解する。

(b) 「放送機関」及び「有線放送機関」とは、音若しくは影像若しくは影像及び音又はこれらを表すものの公衆への送信、及び送信のコンテンツの収集及びスケジューリングについて、主導し、かつ責任を有する法人をいう。

(c) 「有線放送」とは、公衆によって受信されることを目的とする有線による音若しくは影像若しくは影像及び音又はこれらを表すものの送信をいう。暗号化された信号の有線送信は、暗号解除の手段が有線放送機関により又はその同意を得て公衆に提供される場合には、「有線放送」である。「有線放送」とは、コンピュータ・ネットワーク上の送信を含まないと解する。
cablecastingイコール「有線放送」

(d) 「再送信」とは、放送機関による他の放送機関のあらゆる手段での送信による公衆への同時送信をいう。再送信の同時送信も再送信であると解する。

(e) 「公衆への伝達」とは、本条の(a)、(c)、又は(d)[又は(g)]項において言及されている送信を、公衆がアクセスできる場所において聴取可能又は視覚可能又は視聴可能にすることをいう。

(f) 「固定物」とは、音若しくは影像若しくは影像及び音又はこれらを表すものの収録物であって、装置を用いることにより知覚し、再生し又は伝達することができるものをいう。

C案
(g) 「ウェブキャスティング」とは、コンピューター・ネットワーク上での有線又は無線の方法により音若しくは影像若しくは影像及び音又はこれらを表すものの送信を実質的に同時に公衆に対してアクセス可能にすることをいう。これらの送信が暗号化されているときは、ウェブキャスティング機関により、又はその同意を得て暗号解除の手段が公衆に提供されている場合には「ウェブキャスティング」とみなすものとする。

D案
(g) [この条項なし]

ローマ条約 第3条(抜粋)
この条約の適用上、
(f) 「放送」とは、公衆によって受信されることを目的とする無線による音の送信又は影像及び音の送信をいう。
(g) 「再放送」とは、放送機関が他の放送機関の放送を同時に放送することをいう。

WPPT 第2条(抜粋)
定義
この条約の適用上、
(f) 「放送」とは、公衆によって受信されることを目的とする無線による音の送信、影像及び音の送信又はこれらを表すものの送信をいう。衛星によるこれらの送信も「放送」である。暗号化された信号の送信は、暗号解除の手段が放送機関により又はその同意を得て公衆に提供される場合には、「放送」である。
(g) 実演又はレコードの「公衆への伝達」とは、実演の音又はレコードに固定された音若しくは音を表すものを放送以外の媒体により公衆に送信することをいう。第十五条の規定の適用上、「公衆への伝達」は、レコードに固定された音又は音を表すものを公衆が聴くことができるようにすることを含む。
(c) 「固定物」とは、音又は音を表すものの収録物であって、装置を用いることにより知覚し、再生し又は伝達することができるものをいう。

第3条
適用範囲

(1) この条約に基づいて与えられる保護は、その放送に関する放送機関の権利に対して適用される。
(2) この条約の規定は、その有線放送に関する有線放送機関の権利に対して準用される。

E案
(3) この条約の規定は、放送機関による自身の放送の同時かつ変更されていないウェブキャスティングに関する放送機関の権利に対して準用される。

F案
(3) この条約の規定は、そのウェブキャスティングに関するウェブキャスティング機関の権利に対して準用される。

G案
(3) [この条項なし]

(4) この条約の規定は以下のものに関していかなる保護も与えるものではない。
 
1 第2条(a)、(c)及び(d)[及び(g)]において言及されている送信のあらゆる手段による単純再送信、
2 送信の時間及びその受信の場所を公衆の構成員が個別に選べるようなあらゆる送信。

第4条
保護の受益者

(1) 締約国は、他の締約国の国民である放送機関に対して、この条約に規定される保護を与える。

(2) 他の締約国の国民とは、次の場合のいずれかに該当する放送機関をいうものと解する。
 
1 放送機関の主たる事務所が他の締約国にある場合、あるいは
2 放送が他の締約国にある送信機から送信される場合。衛星放送の場合、該当する場所は、公衆による直接の受信を目的とした番組搬送信号が、放送機関の管理及び責任の下で、衛星に送りかつ衛星から地上へ向けた途切れない一連の伝達が開始される地点(ポイント)とする。

H案(※EC案)
(3) 世界知的所有権機関(WIPO)事務局長に通告を寄託することにより、締約国は、放送機関の主たる事務所が他の締約国にあり、かつ、放送が当該他の締約国にある送信機から送信される時にのみ放送に保護を与える旨を宣言することができる。この通知は批准、受諾若しくは加入の時に、又はその後いつでも寄託することができる。もっとも、批准、受諾又は加入の後に寄託する場合には、通告はその寄託後6ヶ月で効力を生じる。

I案
(3) [この条項なし]

ローマ条約 第6条
1  締約国は、次の場合のいずれかに該当する場合には、放送機関に対して内国民待遇を与える。
 
(a) 放送機関の主たる事務所が他の締約国にある場合
(b) 放送が他の締約国にある送信機から送信された場合
2  締約国は、国際連合事務総長に寄託する通告により、放送機関の主たる事務所が他の締約国にあり、かつ、放送が当該他の締約国にある送信機から送信された場合にのみ放送に保護を与える旨を宣言することができる。この通告は、批准、受諾若しくは加入の時に又はその後いつでも寄託することができる。もっとも、批准、受諾又は加入の後に寄託する場合には、通告は、その寄託の後六箇月で効力を生ずる。

WPPT 第3条
この条約に基づく保護の受益者
(1) 締約国は、他の締約国の国民である実演家及びレコード製作者に対して、この条約に定める保護を与える。
(2) 「他の締約国の国民」とは、この条約のすべての締約国がローマ条約の締約国であるとしたならば、同条約に規定する保護の適格性の基準を満たすこととなる実演家又はレコード製作者をいう。締約国は、当該適格性の基準に関して、前条に定める定義を適用する。
(3) ローマ条約第五条3の規定又は同条の規定の適用上同条約第十七条の規定を用いる締約国は、世界知的所有権機関(WIPO)事務局長に対し、これらの規定に定めるような通告を行う。

第5条
内国民待遇

J案
各締約国は、この条約において特に規定する排他的権利及びこの条約の第13条において与えられる保護に関して、その国民に与えている扱いを、第4条(2)に規定する他の締約国の国民に与える。

K案(※アメリカ案)
この条約の第7条第3項を条件として、各締約国は、自国民がこの条約の下で保護を受ける放送に関し、各国の法が現在又は今後自国民に与える権利を、この条約によって特に規定する権利と同様に、第4条第2項に規定する他の締約国の国民に与える。

ローマ条約 第2条(抜粋)
1  この条約の適用上、内国民待遇とは、保護が要求される締約国の国内法によって与えられる次の待遇をいう。
 
(c) 当該締約国の領域に主たる事務所を有する放送機関に対し、その領域にある送信機から送信される放送に関して与えられる待遇
2  内国民待遇は、この条約において明示的に保障する保護及び明示的に定める制限に従うものとする。

WPPT 第4条
内国民待遇
(1) 各締約国は、この条約において特に与えられる排他的権利及び第十五条に規定する衡平な報酬を請求する権利に関して自国民に与える待遇を、前条(2)に規定する他の締約国の国民に与える。
(2) (1)に規定する義務は、他の締約国が第十五条(3)の規定によって認められている留保を付する場合には、その留保の範囲においては適用しない。

第6条
再送信権

放送機関はその放送のあらゆる手段による再送信を許諾する排他的権利を享有する。

ローマ条約 第13条(抜粋)
放送機関は、その放送に関し、次の事項を許諾し又は禁止する権利を享有する。
(a) 放送の再放送

第7条
公衆伝達権

L案(※EC案)
放送機関は料金を支払うことによって公衆が入場することができる場所で行なわれる放送の公衆への伝達を許諾する排他的権利を享有する。

M案
(1) [上記、L案に同じ]
(2) ただし、この権利を行使する条件は、(1)の規定の保護が要求される締約国の国内法の定める所による。

(3) 締約国はWIPO事務局長に寄託する通告において、以下のことを宣言することができる。(1)の規定を特定の通信についてのみ適用すること、又は(1)の規定の適用を他の方法に制限すること、又は(1)の規定をまったく適用しないこと。ある締約国がこのような宣言をした場合、他の締約国は、その締約国に主たる事務所がある放送機関に(1)に規定する権利を与える義務を負わない。

ローマ条約 第13条(抜粋)
放送機関は、その放送に関し、次の事項を許諾し又は禁止する権利を享有する。
(d) 料金を支払うことによって公衆が入場することができる場所で行われるテレビジョン放送の公衆への伝達。ただし、この権利を行使する条件は、当該権利の保護が要求される国の国内法の定めるところによる。

第8条
固定権

放送機関は、その放送の固定を許諾する排他的権利を享有する。

ローマ条約 第13条(抜粋)
放送機関は、その放送に関し、次の事項を許諾し又は禁止する権利を享有する。
(b) 放送の固定

WPPT 第6条
実演家の固定されていない実演に関する財産的権利
実演家は、その実演に関して、次のことを許諾する排他的権利を享有する。
1 固定されていない実演の放送又は公衆への伝達を行うこと
(実演が既に放送されたものである場合を除く。)
2 固定されていない実演を固定すること

第9条
複製権

N案
放送機関はその放送の固定物について、あらゆる方式及び形式による直接的又は間接的複製を許諾する排他的権利を享有する。

O案
(1) 放送機関はその放送の固定物の複製を禁止する権利を享有する。

(2) 放送機関は、第14条に従って作成された固定物による放送の複製が、その条項によって許容されていない又は放送機関の許諾なしに行なわれた場合に、その複製を許諾する排他的権利を享有する。


<脚注>
第9条(複製権)
(1) 放送機関はその放送の固定物について、あらゆる方式及び形式による直接的又は間接的複製を禁止する排他的権利を享有する。
(2) 締約国は、(1)項の排他的権利の代わりに以下の権利を放送事業者のために定めることが出来る。
1 第14条に従って作成された固定物による放送の複製が、その条項によって許容されていない又は放送機関の許諾なしに行われた場合に、その複製を許諾する排他的権利
2 その放送の固定物の複製を禁止する権利

ローマ条約 第13条(抜粋)
放送機関は、その放送に関し、次の事項を許諾し又は禁止する権利を享有する。
(c) 次の複製
1 放送機関の承諾を得ないで作成された放送の固定物の複製
2 第十五条の規定に基づいて作成された放送の固定物の複製であって、同条に掲げる目的と異なる目的のために行われるもの

WPPT 第7条
複製権
実演家は、レコードに固定されたその実演について、直接又は間接に複製すること(その方法及び形式のいかんを問わない。)を許諾する排他的権利を享有する。

第10条
譲渡権

P案
(1) 放送機関はその放送の固定物の原作品及び複製物について、販売その他の譲渡による公衆への供与を許諾する排他的権利を享有する。
(2) この条約のいかなる規定も、放送の固定物の原作品又は複製物の販売その他の譲渡(放送機関の許諾を得たものに限る)が最初に行なわれた後における(1)の権利の消尽について、締約国が自由にその条件を定めることを妨げるものではない。

Q案
放送機関は、その放送の無許諾の固定物の複製物を公衆に譲渡すること及び輸入することを禁止する権利を享有する。


<脚注>第10条(譲渡権)
(1) 放送機関はその放送の固定物の原作品及び複製物について、販売その他の譲渡による公衆への供与を許諾する排他的権利を享有する。
(2) この条約の如何なる規定も、放送の固定物の原作品又は複製物の販売その他の譲渡(放送機関の許諾を得たものに限る)が最初に行われた後における(1)の権利の消尽について、締約国が自由にその条件を定めることを妨げるものではない。
(3) 締約国は、(1)項の排他的権利の代わりに放送事業者のためにその放送の無許諾の固定物の複製物を公衆に譲渡すること及び輸入することを禁止する権利を定めることが出来る。

WPPT 第8条
譲渡権
(1) 実演家は、レコードに固定されたその実演の原作品及び複製物について、販売その他の譲渡による公衆への供与を許諾する排他的権利を享有する。
(2) この条約のいかなる規定も、固定された実演の原作品又は複製物の販売その他の譲渡(実演家の許諾を得たものに限る。)が最初に行われた後における(1)の権利の消尽について、締約国が自由にその条件を定めることを妨げるものではない。

第11条
固定物による送信権

放送機関は、その放送の固定物を使った放送の送信を許諾する排他的権利を享有する。



<脚注>
第11条(固定物による送信権)
(1) 放送機関は、その放送の固定物を使った放送の送信を許諾する排他的権利を享有する。
(2) 締約国は、(1)項の排他的権利の代わりに放送事業者のためにその放送の無許諾の固定物を使った放送の送信を禁止する権利を定めることが出来る。

第12条
固定された放送の利用可能化権

R案
放送機関は、有線又は無線の方法により、公衆のそれぞれが選択する場所及び時期において、その放送の固定物を利用が可能となるような状態におくことを許諾する排他的権利を享有する。

S案
放送機関は、有線又は無線の方法により、公衆のそれぞれが選択する場所及び時期において放送の無許諾の固定物を利用が可能となるような状態におくことを禁止する権利を享有する。


<脚注>
第12条(固定された放送の利用可能化権)
(1) 放送機関は、有線又は無線の方法により、公衆のそれぞれが選択する場所及び時期において、その放送の固定物を利用が可能となるような状態におくことを許諾する排他的権利を享有する。
(2) 締約国は、(1)項の排他的権利の代わりに放送事業者のために、有線又は無線の方法により、公衆のそれぞれが選択する場所及び時期において放送の無許諾の固定物を利用が可能となるような状態におくことを禁止する権利を定めることが出来る。

WPPT 第10条
固定された実演の利用可能化権
実演家は、レコードに固定されたその実演について、有線又は無線の方法により、公衆のそれぞれが選択する場所及び時期において利用が可能となるような状態に置くことを許諾する排他的権利を享有する。

第13条
放送前信号に関する保護

放送機関は、放送前信号に関して、この条約の第6条から第12条に記載されたあらゆる行為に対する適切かつ効果的な法的保護を享有する。

ブラッセル条約 第2条(抜粋)
(1) 各締約国は、衛星に向けて発信された信号又は衛星を経由する信号の送り先でない伝達機関が番組伝送信号を自国において又は自国から伝達することを阻止するための適切な手段を講ずることを約束する。この義務は、原送信機関が他の締約国の国民であって、且つ、伝達される信号が派生信号である場合に適用される。

ブラッセル条約 第3条
この条約は、原送信機関によって又は原送信機関に代る機関によって発信された信号が一般公衆による衛星からの直接受信を目的とするときは、適用されない。

第14条
制限及び例外

(1) 締約国は、放送機関の保護に関して、文学的及び美術的著作物の著作権の保護及び隣接権の保護について国内法令に定めるものと同一の種類の制限又は例外を国内法令において定めることができる。

(2) 締約国は、この条約に定める権利の制限又は例外を、放送の通常の利用を妨げず、かつ、放送機関の正当な利益を不当に害しない特別な場合に限定する。

T案(※アメリカ案)
(3) 締約国は、本条約締結の日において、非商業放送機関について第6条に関する権利の制限及び例外が定められている場合、その制限及び例外を維持することができる。

U案
(3) [この条項なし]

ローマ条約 第15条2
2  1の規定にかかわらず、締約国は、国内法令により、実演家、レコード製作者及び放送機関の保護に関しては、文学的及び美術的著作物の著作権の保護に関して国内法令に定める制限と同一の種類の制限を定めることができる。ただし、強制許諾は、この条約に抵触しない限りにおいてのみ定めることができる。

WPPT 第16条
制限及び例外
(1) 締約国は、実演家及びレコード製作者の保護に関して、文学的及び美術的著作物の著作権の保護について国内法令に定めるものと同一の種類の制限又は例外を国内法令において定めることができる。
(2) 締約国は、この条約に定める権利の制限又は例外を、実演又はレコ―ドの通常の利用を妨げず、かつ、実演家又はレコード製作者の正当な利益を不当に害しない特別な場合に限定する。

第15条
保護期間

DD案
この条約に基づいて放送機関に与えられる保護期間は、放送が行なわれた年の終わりから少なくとも50年とする。

EE案
この条約に基づいて放送機関に与えられる保護期間は、放送が行われた年の終わりから少なくとも20年とする。

ローマ条約 第14条(抜粋)
この条約に基づいて与えられる保護期間は、次に掲げる年の終わりから二十年よりも短くてはならない。
(c) 放送に関しては、放送が行われた年

WPPT 第17条
保護期間
(1) この条約に基づいて実演家に与えられる保護期間は、実演がレコードに固定された年の終わりから少なくとも五十年とする。
(2) この条約に基づいてレコード製作者に与えられる保護期間は、レコードが発行された年の終わりから、又はレコードへの固定が行われてから五十年以内に発行されなかった場合には当該固定が行われた年の終わりから、少なくとも五十年とする。

第16条
技術的手段に関する義務

(1) 締約国は、放送機関によって許諾されておらず、あるいは禁止されている、かつ、法令で許容されていない行為がその放送について実行されることを抑制するための効果的な技術的手段であって、この条約に基づく権利の行使に関連して当該放送機関が用いるものに関し、そのような技術的手段の回避を防ぐための適当な法的保護及び効果的な法的救済について定める。

V案(※アルゼンチン提案)
(2) 特に、法的救済は以下の行為を行う者に対して定めなければならない。
1 暗号化された番組搬送信号の暗号解除、
2 暗号化された番組搬送信号を送出する放送機関の明示の許諾なく暗号解除された番組搬送信号を、受信し、公衆に頒布又は伝達すること
3 暗号化された番組搬送信号を暗号解除することのできる、又は暗号解除を助けることのできる装置又はシステムを利用可能にする製造、輸入、販売又はその他のあらゆる行為に荷担すること。

W案
(2) [この項目なし]

WPPT 第18条
技術的手段に関する義務
締約国は、実演家又はレコード製作者によって許諾されておらず、かつ、法令で許容されていない行為がその実演又はレコードについて実行されることを抑制するための効果的な技術的手段であって、この条約に基づく権利の行使に関連して当該実演家又はレコード製作者が用いるものに関し、そのような技術的手段の回避を防ぐための適当な法的保護及び効果的な法的救済について定める。

第17条
権利管理情報に関する義務

(1) 締約国は、この条約が対象とする権利の侵害を誘い、可能にし、助長し又は隠す結果となることを知りながら次に掲げる行為を故意に行なうものがある場合に関し、適当かつ効果的な法的救済について定める。さらに、民事上の救済については、そのような結果となることを知ることができる合理的な理由を有しながら次に掲げる行為を故意に行なうものがある場合に関しても、これを定める。

1 電磁的な権利管理情報を権限なく除去し又は改変すること。
2 放送あるいは放送前信号の電磁的な権利管理情報が権限なく除去され又は改変されたことを知りながら、放送の複製物を権限なく頒布し、あるいは頒布のために輸入し、放送を公衆に対して再送信あるいは伝達し、又は固定された放送を公衆により利用が可能となる状態に置くこと。
(2) この条において「権利管理情報」とは、放送機関、放送、放送に係る権利を有する者又は放送の利用の条件に係る情報を特定する情報及びその情報を表す数字又は符号をいう。ただし、これらの項目の情報が、1)放送又は放送前信号、2)再送信、3)放送の固定物に基づく送信、4)固定された放送の利用可能化、又は5)公衆に頒布された固定された放送の複製物、に付される又は関連付けられる場合に限る。

WPPT 第19条
権利管理情報に関する義務
(1) 締約国は、この条約が対象とする権利の侵害を誘い、可能にし、助長し又は隠す結果となることを知りながら次に掲げる行為を故意に行う者がある場合に関し、適当かつ効果的な法的救済について定める。さらに、民事上の救済については、そのような結果となることを知ることができる合理的な理由を有しながら次に掲げる行為を故意に行う者がある場合に関しても、これを定める。
1 電磁的な権利管理情報を権限なく除去し又は改変すること
2 電磁的な権利管理情報が権限なく除去され又は改変されたことを知りながら、実演又は固定された実演若しくはレコードの複製物を権限なく頒布し、頒布のために輸入し、放送し、公衆に伝達し又は公衆により利用が可能となる状態に置くこと
(2) この条において、「権利管理情報」とは、実演家、実演家の実演、レコード製作者、レコード、実演若しくはレコードに係る権利を有する者又は実演若しくはレコードの利用の条件に係る情報を特定する情報及びその情報を表す数字又は符号をいう。ただし、これらの項目の情報が固定された実演若しくはレコードの複製物に付される場合又は固定された実演若しくはレコードを公衆に伝達し若しくは公衆により利用が可能となる状態に置くに当たって当該固定された実演若しくはレコードとともに公衆に伝達され若しくは公衆により利用が可能となる状態に置かれる場合に限る。

第18条
方式

この条約に定める権利の享有及び行使には、いかなる方式の履行をも要しない。

WPPT 第20条
方式
この条約に定める権利の享有及び行使には、いかなる方式の履行をも要しない。

第19条
留保

X案
この条約には、いかなる留保も付することができない。
Y案
第4条(3)及び第7条(3)の規定が適用される場合を除くほか、この条約には、いかなる留保も付することができない。

WPPT 第21条
留保
第十五条(3)の規定が適用される場合を除くほか、この条約には、いかなる留保も付することができない。

第20条
適用期間

(1) 締約国は、この条約に定める放送機関の権利について、文学的及び美術的著作物の保護に関するベルヌ条約第18条の規定を準用する。

(2) この条約によって与えられる保護は、各締約国におけるこの条約の発効日よりも前に付託された議定書、決定された合意又は獲得された権利を損なうものではない。

WPPT 第22条
適用期間
(1) 締約国は、この条約に定める実演家及びレコード製作者の権利について、文学的及び美術的著作物の保護に関するベルヌ条約第十八条の規定を準用する。
(2) (1)の規定にかかわらず、締約国は、第五条の規定の適用を、この条約が自国について効力を生じた後に行われた実演に制限することができる。

第21条
権利行使の確保に関する規定

(1) 締約国は、自国の法制に従い、この条約の適用を確保するために必要な措置について定めることを約束する。
(2) 締約国は、この条約が対象とする権利の侵害行為又は禁止事項の違反に対し効果的な措置(侵害を防止するための迅速な救済措置及び追加の侵害を抑止するための救済措置を含む。)がとられることを可能にするため、権利行使を確保するための手続きを国内法令において確保する。

WPPT 第23条
権利行使の確保に関する規定
(1) 締約国は、自国の法制に従い、この条約の適用を確保するために必要な措置について定めることを約束する。
(2) 締約国は、この条約が対象とする権利の侵害行為に対し効果的な措置(侵害を防止するための迅速な救済措置及び追加の侵害を抑止するための救済措置を含む。)がとられることを可能にするため、権利行使を確保するための手続を国内法令において確保する。

第22条
総会

(1)
1 締約国は、その総会を設置する。
2 各締約国は、一人の代表によって代表されるものとし、代表は、代表代理、顧問及び専門家の補佐を受けることができる。
3 各代表団の費用は、その代表団を任命した締約国が負担する。総会は、世界知的所有権機関に対し、国際連合総会の確立された慣行に従って開発途上国とされている締約国及び市場経済への移行過程にある締約国の代表の参加を容易にするために財政的援助を与えることを要請することができる。

(2)
1 総会は、この条約の存続及び発展並びにこの条約の適用及び運用に関する問題を取り扱う。
2 総会は、政府間機関が締約国となることの承認に関し、第二十四条(2)の規定により与えられる任務を遂行する。
3 総会は、この条約の改正のための外交会議の招集を決定し、当該外交会議の準備のために世界知的所有権機関事務局長に対して必要な指示を与える。

(3)
1 国である締約国は、それぞれ一の票を有し、自国の名においてのみ投票する。
2 政府間機関である締約国は、当該政府間機関の構成国でこの条約の締約国である国の総数に等しい数の票により、当該構成国に代わって投票に参加することができる。当該政府間機関は、当該構成国のいずれかが自国の投票権を行使する場合には、投票に参加してはならない。また、当該政府間機関が自らの投票権を行使する場合には、当該構成国のいずれも投票に参加してはならない。

(4) 総会は、世界知的所有権機関事務局長の招集により、通常会期として会合する。例外的な状況でない限りはWIPO総会と同じ期間及び同じ場所で行う。

(5) 総会は、臨時会期の招集、定足数、種々の決定を行う際に必要とされる多数(この条約の規定に従うことを条件とする。)その他の事項について手続規則を定める。

WPPT 第24条
総会
(1)
(a) 締約国は、その総会を設置する。
(b) 各締約国は、一人の代表によって代表されるものとし、代表は、代表代理、顧問及び専門家の補佐を受けることができる。
(c) 各代表団の費用は、その代表団を任命した締約国が負担する。総会は、世界知的所有権機関に対し、国際連合総会の確立された慣行に従って開発途上国とされている締約国及び市場経済への移行過程にある締約国の代表の参加を容易にするために財政的援助を与えることを要請することができる。
(2)
(a) 総会は、この条約の存続及び発展並びにこの条約の適用及び運用に関する問題を取り扱う。
(b) 総会は、政府間機関が締約国となることの承認に関し、第二十六条(2)の規定により与えられる任務を遂行する。
(c) 総会は、この条約の改正のための外交会議の招集を決定し、当該外交会議の準備のために世界知的所有権機関事務局長に対して必要な指示を与える。
(3)
(a) 国である締約国は、それぞれ一の票を有し、自国の名においてのみ投票する。
(b) 政府間機関である締約国は、当該政府間機関の構成国でこの条約の締約国である国の総数に等しい数の票により、当該構成国に代わって投票に参加することができる。当該政府間機関は、当該構成国のいずれかが自国の投票権を行使する場合には、投票に参加してはならない。また、当該政府間機関が自らの投票権を行使する場合には、当該構成国のいずれも投票に参加してはならない。
(4) 総会は、世界知的所有権機関事務局長の招集により、二年に一回、通常会期として会合する。
(5) 総会は、臨時会期の招集、定足数、種々の決定を行う際に必要とされる多数(この条約の規定に従うことを条件とする。)その他の事項について手続規則を定める。

第23条
国際事務局

世界知的所有権機関国際事務局は、この条約の管理業務を行う。

WPPT 第25条
国際事務局
世界知的所有権機関国際事務局は、この条約の管理業務を行う。

第24条
締約国となる資格

Z案
(1) 世界知的所有権機関の加盟国は、この条約の締約国となることができる。

AA案
(1) 世界知的所有権機関の加盟国は、WIPO著作権条約とWIPO実演・レコード条約に参加していることを条件として、この条約の締約国となることができる。

(2) 総会は、この条約が対象とする事項に関し権限を有し及びそのすべての構成国を拘束する自らの法制を有する旨並びにこの条約の締結につきその内部手続に従って正当に委任を受けている旨を宣言する政府機関が、この条約の締約国となることを認める決定を行うことができる。

(3) 欧州共同体は、この条約を採択した外交会議において(2)に規定する宣言を行っており、この条約の締約国となる資格を有するものとする。

WPPT 第26条
締約国となる資格
(1) 世界知的所有権機関の加盟国は、この条約の締約国となることができる。
(2) 総会は、この条約が対象とする事項に関し権限を有し及びそのすべての構成国を拘束する自らの法制を有する旨並びにこの条約の締結につきその内部手続に従って正当に委任を受けている旨を宣言する政府間機関が、この条約の締約国となることを認める決定を行うことができる。
(3) 欧州共同体は、この条約を採択した外交会議において(2)に規定する宣言を行っており、この条約の締約国となる資格を有するものとする。

第25条
この条約に基づく権利及び義務

各締約国は、この条約に別段の定めがある場合を除くほか、この条約に基づくすべての権利を享有し、すべての義務を負う。

WPPT 第27条
この条約に基づく権利及び義務
各締約国は、この条約に別段の定めがある場合を除くほか、この条約に基づくすべての権利を享有し、すべての義務を負う。

第26条
署名

BB案
この条約は、………まで、世界知的所有権機関の加盟国及び欧州共同体による署名のため開放しておく。

CC案
この条約は、………まで、WIPO著作権条約及びWIPO実演、レコード条約に加盟もしくは批准した全ての国及び欧州共同体による署名のために開放しておく。

WPPT 第28条
署名
この条約は、1997年12月31日まで、世界知的所有権機関の加盟国及び欧州共同体による署名のために開放しておく。

第27条
効力発生

この条約は、……の国の批准書又は加入書が世界知的所有権機関事務局長に寄託された後三箇月で効力を生ずる。

WPPT 第29条
効力発生
この条約は、三十の国の批准書又は加入書が世界知的所有権機関事務局長に寄託された後三箇月で効力を生ずる。

第28条
締約国について効力が生ずる日

この条約は、次に掲げる日から締約国を拘束する。
1 前条に規定する……の国については、この条約が効力を生じた日

2 1)の国以外の国については、当該国が世界知的所有権機関事務局長に批准書又は加入書を寄託した日から三箇月の期間が満了した日

3 欧州共同体については、前条の規定によるこの条約の効力発生の後にその批准書又は加入書が寄託された場合には、その寄託の日から三箇月の期間が満了した日。この条約の効力発生以前に当該文書が寄託された場合には、この条約の効力発生の日から三箇月の期間が満了した日

4 欧州共同体以外の政府間機関で締約国となることを認められたものについては、その加入書が寄託された日から三箇月の期間が満了した日

WPPT 第30条
締約国について効力が生ずる日
この条約は、次に掲げる日から締約国を拘束する。
1 前条に規定する三十の国については、この条約が効力を生じた日
2 1)の国以外の国については、当該国が世界知的所有権機関事務局長に批准書又は加入書を寄託した日から三箇月の期間が満了した日
3 欧州共同体については、前条の規定によるこの条約の効力発生の後にその批准書又は加入書が寄託された場合には、その寄託の日から三箇月の期間が満了した日。この条約の効力発生以前に当該文書が寄託された場合には、この条約の効力発生の日から三箇月の期間が満了した日
4 欧州共同体以外の政府間機関で締約国となることを認められたものについては、その加入書が寄託された日から三箇月の期間が満了した日

第29条
廃棄

いずれの締約国も、世界知的所有権機関事務局長にあてた通告により、この条約を廃棄することができる。廃棄は、同事務局長がその通告を受領した日から一年で効力を生ずる。

WPPT 第31条
廃棄
いずれの締約国も、世界知的所有権機関事務局長にあてた通告により、この条約を廃棄することができる。廃棄は、同事務局長がその通告を受領した日から一年で効力を生ずる。

第30条
言語

(1) この条約は、ひとしく正文である英語、アラビア語、中国語、フランス語、ロシア語及びスペイン語による原本一通について署名する。

(2) 世界知的所有権機関事務局長は、いずれかの関係国の要請により、すべての関係国と協議の上、(1)に規定する言語以外の言語による公定訳文を作成する。この(2)の規定の適用上、「関係国」とは、世界知的所有権機関の加盟国であって当該公定訳文の言語をその公用語又は公用語の一とするもの並びに欧州共同体及び締約国となる資格を有する他の政府間機関であって当該公定訳文の言語をその公用語の一とするものをいう。

WPPT 第32条
言語
(1) この条約は、ひとしく正文である英語、アラビア語、中国語、フランス語、ロシア語及びスペイン語による原本一通について署名する。
(2) 世界知的所有権機関事務局長は、いずれかの関係国の要請により、すべての関係国と協議の上、(1)に規定する言語以外の言語による公定訳文を作成する。この(2)の規定の適用上、「関係国」とは、世界知的所有権機関の加盟国であって当該公定訳文の言語をその公用語又は公用語の一とするもの並びに欧州共同体及び締約国となる資格を有する他の政府間機関であって当該公定訳文の言語をその公用語の一とするものをいう。

第31条
寄託者

この条約の寄託者は、世界知的所有権機関事務局長とする。

WPPT第33条
寄託者
この条約の寄託者は、世界知的所有権機関事務局長とする。


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