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Home > 政策・施策 > 審議会情報 > 文化審議会 > 著作権分科会国際小委員会(第1回) > 資料3−4


EPA, FTA交渉における著作権関連事項について


1. 背景

 アジア諸国等とのEPA(経済連携協定)及びFTA(自由貿易協定)の締結についてはこれまで、2002年1月にはシンガポールと締結し、本年2月にはメキシコとの協定交渉において実質合意に至った。知的財産分野で我が国と密接な関係を有するアジア諸国等との協定交渉については、昨年12月の第1回日韓経済連携協議を皮切りに、タイ、マレーシア、フィリピンとも本格交渉に入った。これら協定の交渉においては、各国に対して未締結の著作権関連条約への早期加盟、海賊版対策の取締り強化等を求めている。

2. スケジュール

  韓国 タイ マレーシア フィリピン
交渉会合

6月
条約案提出
6月23日〜 第4回交渉


8月23日〜 第5回交渉
(2ヶ月毎に交渉)
4月
条約案提出
4月7日〜 第2回交渉

6月16日〜 第3回交渉


9月頃 第4回交渉
(2ヶ月毎に交渉)

5月
条約案提出
5月24日〜 第3回交渉

7月19日〜 第4回交渉

9月下旬 第5回交渉
(2ヶ月毎に交渉)



7月
条約案提出
7月5日〜 第3回交渉

8月29日〜 第4回交渉
(2ヶ月毎に交渉)
交渉期限 2005年12月 2004年12月(※) 2004年12月(※) 2004年12月(※)
※ 交渉期限は目標であり、延長することも有り得る。

3. 交渉の主な内容

(1) 総論
 日本側提出条文案の総論部分においては、著作権関連条約への加盟、内国民待遇、知的財産に係る普及啓発への取組等について規定している。

(2) 各論(著作権関連分野)
1 利用可能化権の明確化
 WCT、WPPTに規定されている「利用可能化権」が国内法で何らかの形で担保されるよう要求している。
2 技術的保護手段に関する措置
 条約上の要請に基づき、技術的保護手段に関する措置が国内法で確実に担保されるよう要求している。
3 権利管理情報に関する義務
 条約上の要請に基づき、権利管理情報に関する措置が国内法で確実に担保されるよう要求している。
4 権利管理団体への支援
 両国政府が権利管理団体の活動を支援する旨、規定している。具体的には、使用料の徴収活動に対する支援、海外団体との相互管理契約の締結促進などを明記している。
5 インターネット・サービス・プロバイダ(ISP)責任の明確化
 ISPの責任を明確化を要求している。具体的には、ウェブ上で違法掲載された著作物について権利者の要請に基づきプロバイダが削除できる手続等、国内法令の整備を要求している。

(3) エンフォースメント
司法制度の整備
1 損害額の算定手法の多様化及び損害額の認定
 海賊版による損害額の算定が困難であるため、損害額の推定規定を設けるとともに、損害額の立証が困難な際には、裁判所による損害額の認定規定を設けるよう要求している。いずれも、TRIPS規定の具体化である。
2 適正な刑事手続きと抑止的な刑事罰の導入
 刑事手続きを開始する要件を適正化するとともに、十分に抑止力のある刑事罰の導入等を求めている。いずれも、TRIPS規定の具体化である。

税関での侵害品の取締り
3 権利者に対する過剰な情報提供義務の禁止
 権利者が税関に水際での差止を申し立てる場合、過剰な情報提供の義務付けを禁止する旨、要求している。本事項はTRIPS規定を補完するものである。
4 税関から権利者への情報提供
 税関が水際で海賊版物品と確定した場合、税関が侵害品の輸入者、引受人、海賊版物品の数量等の情報を権利者に伝えるよう要求している。本事項はTRIPS規定の留保条件である。
5 職権による水際措置の開始
 権利者から正式な申立てがない場合でも、税関が職権により水際措置を開始できる規定を設けるよう要求している。本事項はTRIPS規定を補完するものである。
6 積戻しの禁止
 海賊版と認定された貨物については、積戻しを認めないことを要求している。

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