3 | インターネットを通じた著作権侵害に係る国際裁判管轄及び準拠法のあり方について |
著作権の「有効性」については、同条約の適用除外とすべきか否か
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(参考3)ハーグ条約1条 | ||||||||||
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(参考4)ハーグ条約7条 承認及び執行 | ||||||||||
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(参考5)ハーグ条約11条 損害賠償 | ||||||||||
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(参考6)最判平13.06.08 | ||
【事 | 件の概要】 | |
被告タイ在住のタイ人は、「ウルトラマン」等のテレビ映画について原告日本法人から独占的利用許諾を受けていると主張して、原告から別途許諾を受けている第三者を刑事告訴した。そこで、当該著作物の著作権者である原告が著作権を有すること、被告に対する損害賠償等を求めて日本国の裁判所に提訴した。 | ||
【判 | 決要旨】 | |
・「特段の事情」は認められないとして、我が国の国際裁判管轄を肯定 判決は、本件訴訟とタイ訴訟の内容は同一ではなく、訴訟物が異なることから、本件訴訟について被告を日本の裁判権に服させることが当事者間の公平、裁判の適正・迅速に期するという理念に反するものということはできないとして、我が国の裁判所の国際裁判管轄を否定すべき「特段の事情」は認められないとした。 なお、原告の請求は多岐にわたるが、判決は、被告の日本における本件著作物に関する著作権不存在確認については、「請求の目的たる財産が我が国に存在するから、我が国の民訴法の規定する財産所在地の裁判籍が我が国内にあることは明らかである。」とし、また、本件警告書送付による不法行為に基づく損害賠償請求については、我が国に住所等を有しない被告に対し提起された民事訴訟法の不法行為地の裁判籍の規定に基づいて、「原則として、被告が我が国においてした行為により原告の法益について損害が生じたとの客観的事実関係が証明されれば足りると解するのが相当である。」とした上で、本件において、被告が本件警告書を日本において宛先各社に到達させたことにより、原告の業務を妨害した客観的事実は明らかである等判示して、結論としてすべての請求について我が国の裁判管轄を肯定した。 |
(参考7)地裁平成14年11月18日判決 | ||
【事 | 件の概要】 | |
原告日本法人は、「鉄人28号」をアメリカで発行することを被告米国法人に対し許諾をしていたが、被告が第三者に対し当該著作物のTシャツを複製及び販売することを原告に断りなく許諾したため、被告の行為は原告の米国著作権を侵害するとして、米国内での侵害行為の差止め及び損害賠償を求めて日本の裁判所に提訴した。 | ||
【判 | 決要旨】 | |
・裁判所は職権により国際裁判管轄の存在を否定して、訴えを却下 判決は、被告が米国州法に基づき設立した外国法人であり、かつ日本国内に主たる事務所又は営業所を有し、あるいは被告の代表者等が日本国内に住所を有することを認めることが出来ないため、日本国内に被告の普通裁判籍はない。不法行為地は米国内であるため、不法行為地の裁判籍も日本国内にない。かつ、被告は本件につき応訴していないので、応訴管轄も認められない。損害賠償請求についても同じ。損害賠償支払の義務履行地としての裁判籍が日本国内になると解する余地はなくはないが、日本で訴訟が提起されることについての被告の予測可能性、被告の経済活動の本拠地等を考慮すると、「日本の国際裁判管轄を認めて日本で裁判を行うことは、正に当事者間の公平、裁判の適正・迅速を期するという理念に著しく反する」。との理由から、日本の国際裁判管轄を否定。 |
(参考8)法例11条1項 事務管理、不当利得又不法行為ニ因リテ生スル債権ノ成立及ヒ効力ハ其原因タル事実ノ発生シタル地ノ法律ニ依ル。 |
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(参考9)ベルヌ条約5条2項 (1) の権利の享有及び行使には、いかなる方式の履行をも要しない。その享有及び行使は、著作物の本国における保護の存在にかかわらない。したがって、保護の範囲及び著作物の権利を保全するため著作者に保障される救済の方法は、この条約に定めるほか、専ら、保護が要求される同盟国の法令の定めるところによる。 |