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文化審議会

2003年9月5日 議事録
文化審議会著作権分科会国際小委員会(第3回)議事要旨

文化審議会著作権分科会国際小委員会(第3回)議事要旨

1  日  時     平成15年9月5日(金)14時00分〜16時00分

2  場  所     文部科学省別館第5、6会議室

3  出席者
    (委員) 齊藤著作権分科会会長、紋谷主査、石井、上原、加藤、久保田、児玉、駒田、大楽、高杉、道垣内、前田、増山、山地、山本の各委員
    (文化庁) 森口長官官房審議官、吉尾国際課長ほか

4  配付資料    

資料1  

文化審議会著作権分科会国際小委員会(第2回)議事要旨(案)

資料2   国際小委員会における検討事項(案)
資料3   暗号解除の取扱いについて(上原委員御説明資料)
資料4    暗号解除の取扱いについて(論点の整理)(PDF:93KB)
資料5   「国際小委員会」平成15年度審議スケジュール(案)
     
      参考資料1   平成15年度コンテンツ海外流通促進機構行動計画について

5  概  要
(1) 開会

(2) 議事
1    「国際小委員会」平成15年度検討事項(案)について
事務局から資料2に基づき説明があり、同案が承認された。

2    放送機関に関する新条約における「暗号解除」の取扱いについて
   上原委員及び事務局から資料3及び4に基づき説明があった後、各委員により以下のような意見交換が行われた。

(○:委員   △:事務局)

   他法令での対応の可否について、不正競争防止法では、技術的制限手段を回避する機器の販売だけを規制しており、個人が機器を購入して回避する行為については、規制していない。もし、WIPOにおいて、個人の回避行為についても規制する方向で議論が進んでいたら、現行法を改正する必要が出てくる。現在のWIPOでの議論の状況について教えてほしい。
   大半の途上国にとって技術的保護手段は具体的に活用されていないので、深い議論は進んでいない。ECは、権利保護等の明確な規定を設けるよりも、各国の状況に基づく保護、という形でハーモナイゼーションすればいいのでは、と考えている。
   地上波デジタルで番組にスクランブルをかけた場合、受信機はどのような規格となるのか。
   あらかじめ暗号キーを解除するカードを差し込んだ受信機を販売する。カードは、BS・地上波、BS・CS・地上波等、何種類かに分かれている。デジタル・コピーは一回限りに制限している。
   ハードディスクに落とせば、ファイル交換できるのか。
   受信機からDVD、ハードディスクなど他の録画機に録画される場合、コピーは一回に制限されるし、アイ・リンクの規格で録画されるので、例えファイル交換してもパソコンでは通常スクランブルがかかって見られない。
   過去の審議会の議論においてアクセス権については、必要性はわかるが、利用を規制していない著作権法に規定するのは時期尚早であり、不正競争防止法で対応してほしい、という結論だったと思う。今回、議論するにあたって何らかの状況の変化があったのか。
   先に述べられたように、不正競争防止法は個人の行為は規制していないので、もしテレビ局が暗号解除手段としてカードではなくソフトで配布することとした場合、個人がそのソフトをインターネット上で無料配布する行為を規制することはできない。したがって、他国での窃取への対応上条約上の何らかの保護は必要だ。さらに国内法については暗号解除権も視野に入れた検討をしてほしい。
   ネットワーク上で著作物が流通する際には、必ず信号を送信しなければならず、受信者のコンピュータに必ずコピーされるので、コピーはさせて、暗号を解除する際に課金するしかない。したがって、放送に限らず著作物全体に対しアクセス権の付与は必須だと思う。アクセス権の付与は新たな支分権を付与するという議論もあるが、本来、利用者が著作物を享受するアクセス時に規制したかったが、そのような技術がなかったので、複製など周辺行為を規制していただけである。また、不正競争防止法は不法行為に着目しており、コンテンツの保護を目的とする著作権法とは全く主旨が異なる。
   以前はDVDが普及していなかったが、現在ビデオの世界ではスクランブルがコピー・コントロールの機能を果たしているので、是非議論を進めてほしい。
   アクセス権を付与した場合、複製などは、間接侵害として位置付けられることになるのか。
   利用の一形態として、従来どおり支分権として付与するべきである。
   技術的手段の他に暗号解除権についても付与することとなると大きな問題である。海外では、技術的保護手段を付加している日本の録画機が使用できないという問題が起こっており、実質的に並行輸入を制限することとなっている。これはWCT・WPPT策定時の意図と異なるのではないか。また、地上波デジタルが始まるに当たり、放送局は受信機を開発しているが、この機会に、放送番組の保護の強化だけではなく、私的録画補償金の電子的な計算の仕組みを組み込むなどの工夫もしていくべきではないか。当然、これらの開発は放送局だけでなく、関係権利者・利用者が一緒に取組むべきである。
   将来的には対応していきたいが、現在はアナログ放送とデジタル放送をパラレルで放送することを無事成立させることが最大の焦点となっており、最初からこのような開発を行うのは難しい。
   アクセス権を検討する上で、著作権法の基本理念をどのように考えるかが重要である。文化の発展という観点から考えると、インターネットに限定されない分野もある。デジタル仕様に合わせると、アナログの問題が置き去りにされることが心配である。
   アナログをデジタルにあわせると具体的にどのような問題が発生するのか。文化の健やかな発展は、よい作品を作れば収入を得られるというメカニズムによりもたらされる、というのが著作権法の考え方である。個人的には輸入権も付与すべきと考えている。自分の国と他の国の文化政策が異なるのは当たり前であり、文化のない国ほど輸入権をなくしたがる。輸入権の設置と文化の発展は関係がない。
   一国の法制度の中だけで完結する、というわけにはいかない時代になっているのではないか。そのような制度をとっている特許についても、途上国におけるエイズ薬の使用の問題に発展してしまった。
   日本の著作権法では、一時的蓄積も複製に含まれる場合があるので、暗号解除と捉えるのか、コピー・コントロールの解除と捉えるのか、技術的に教えてほしい。複製権で対応できるシステムではないのか。
   暗号解除をしてから、コピー・コントロールを行う、と聞いているが、詳しい技術の話はわからない。本小委員会では日本も何らかの形で暗号解除に関し法的救済措置を講じることについてハーモナイゼーションの方向で承認してもらい、その上で法制小委員会なども含め具体的な内容を検討してほしい。


6.   閉会
  事務局から、次回日程等について説明があった後、閉会となった。





(文化庁長官官房国際課)

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