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資  料  8

中国・台湾に係るTRIPS法令レビューへの対応について


《中国・台湾のWTO加盟》
  2001年11月のWTO理事会において、中国・台湾の加盟が承認された。それに基づき、同年12月に中国に対して、2002年1月に台湾に対して、TRIPS協定が効力を生じることとなった。

  ※中国については、加盟後8年間、毎年経過的レビューを行い、10年目(または理事会が定める、それ以前の時点)に最終レビューを行うこととされている

《法令レビューについて》
  WTO加盟国がTRIPS理事会に通報した関係法令等について、同協定の義務を履行した規定となっているかどうか確認する作業。

    

参考:TRIPS協定第63条
2   加盟国は、この協定の実施について貿易関連知的所有権理事会が検討することに資するために‥法令を同理事会に通報する。
3   …加盟国は、知的所有権の分野に関する特定の私法上若しくは行政上の決定又は二国間協定がこの協定に基づく自国の権利に影響を及ぼすと信ずるに足りる理由を有する場合には、‥これらの十分詳細な情報を得ることを書面により要請することができる。

《作業スケジュール》

平成14年6〜7月           関係の著作権関係団体、企業等※に照会
平成14年9月TRIPS理事会
→当方からの質問を提出、中国・台湾が回答を提出
平成14年10月質問を提出された団体等に照会の上、再質問を提出
平成14年11月中国・台湾が第二次回答を提出予定
11月下旬        TRIPS理事会
→さらに質問がある場合には、追加質問が可能


《質問例》
1中国

<質問>  
  貴国における裁判手続にあたっては、権利者は被侵害者が侵害者及び偽物工場を特定する証拠及び被害規模等を明らかにする証拠等の提出を強制されている。このように過大な立証義務を権利者に負わせることは、TRIPS協定第41条第2項の知的所有権の行使に関する手続は「不必要に複雑または費用を要するものであってはならない」との規定に反するのではないか、説明ありたい。
行政処分を求める際に、被侵害者に過重な立証責任が求められる
  (侵害者及び偽物製造工場を特定する証拠、被害規模など)
→調査が大変困難で多くの費用を必要とするため、行政処分をあきらめる場合が多い

<質問>
  1998年12月17日の最高人民法院公告が中国刑法第217条で処罰の対象となる著作権侵害の範囲を極めて限定しており、商業的規模の故意による著作権侵害であっても、刑事処罰が適用されない場合が生じる恐れがある点が問題であると考える。このような実態がTRIPS協定第61条の「加盟国は、少なくとも故意による商業的規模の…著作物の違法な複製について適用される刑事上の手続及び刑罰を定める」との関係でなぜ問題がないと考えるのか、説明ありたい。
処罰対象となる著作権侵害が司法解釈により極めて限定されている
→商業的規模の故意による著作権侵害であっても刑事罰が適用されない恐れがある。
刑法217条
営利を目的として他人の著作物を無許諾で複製頒布し、又は発行することについて、(A)違法所得金額が比較的大きい、か、又は(B)情状が深刻であるとき、には、3年以下の懲役及び/又は罰金
司法解釈
(A) 個人の違法所得金額が5万元(約75万円)
法人の違法所得金額が20万元(約300万円)
(B) 著作権侵害で二度以上行政責任又は民事責任を追求されたことがあり、2年以内に再度刑法217条に掲げる侵害行為の一つに該当する行為を行う場合
  *個人の不法経営額が20万元以上(約300万円)
  *組織の不法経営額が100万元以上(約1500万円)
  *その他深刻な結果を引き起こす場合

2台湾
<質問>
  貴著作権法第106条の3について、「莫大な投資をした場合」とは、具体的にどのような場合が当てはまるのか、どのような基準により判断されるのか説明ありたい。また、「利用を開始していた」場合と判断するのに具体的な基準はあるのかまたベルヌ条約第18条との整合性につき説明ありたい。また、この点に関連して、TRIPS協定第70条第4項では、同条のような場合は、加盟国は少なくとも衡平な報酬の支払を定めることとしているが、台湾ではどのように定めているのか。
2001年12月31日までに完成していた著作物について、同日までに「著作物の利用に着手」し、又はその利用について「重大な投資を行った」者は、WTO協定効力発生の日から2年間(2004年1月1日まで)その著作物を引き続き利用できる。
→「利用の着手」「重大な投資」の解釈によっては、経過規定で許される範囲が広くなりすぎる恐れがある。


※照会先一覧
(社)著作権情報センター
(社)日本音楽著作権協会
(社) 日本文芸著作権保護同盟
(社)音楽出版社協会
(財)ソフトウェア情報センター
(社) 音楽製作者連盟
(社)コンピュータソフトウェア著作権協会
(社)日本複写権センター
(社)日本芸能実演家団体協議会
    (実演家著作隣接権センター)
(社)日本レコード協会
日本著作者団体協議会
放送番組著作権保護協議会
不正商品対策協議会
(協)日本脚本家連盟
(協)日本シナリオ作家協会
ネットワーク音楽著作権連絡協議会
(社)日本美術家連盟
日本写真著作権協会
(社)日本映像ソフト協会
(社)日本映画製作者連盟
(株)日本国際映画著作権協会
(社)日本映画監督協会
(社)日本映画撮影監督協会
(社)日本書籍出版協会
(社)日本雑誌協会
(社)日本新聞協会
(社)日本俳優協会
(協)日本俳優連合
日本放送協会
(社)日本民間放送連盟
(社)日本ケーブルテレビ連盟
全国有線テレビ協議会
(株)有線ブロードネットワークス
(社)全日本テレビ番組制作者連盟
著作権法学会
(財)知的財産研究所
(社)経済団体連合会
日本商工会議所
日本商品化協会
日本データベース協会
(社)データベース振興センター
(社)日本漫画家協会
日本動画協会

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