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資  料  5

文化審議会著作権分化会国際小委員会資料
2  0  0  2  年  1  0  月  2  4  日
社団法人  日本音楽著作権協会  加藤  衛

−インタラクティブ配信に関する音楽著作権管理団体間の合意−

1. 二つの合意
  CISAC(演奏権)及びBIEM(録音権)は各団体間の許諾ルールを定めるにあたり、CISACはサンチャゴ会議(2000年9月)、BIEMはバルセロナ会議(2001年9月)において、別表の内容で決議、合意した。
  二つの合意を必要としたのは、各国の事情によって、演奏権と録音権の両方を管理する団体と、演奏権のみ、或いは録音権のみを管理する団体があるからである。

2. 合意に至る経過
(1) 当初、米国はサーバー設置国の管理団体が許諾することを主張したが、日本やEU各団体の強い反対と、グヌーテラ等の交換ソフトの出現により、当初案を撤回した。
(2) 様々な議論がある中で、各団体が着目したのは、インターネット上の公衆送信の前提となる情報の蓄積(EDI)と配信を誰が行っているかという点であったが、商用の配信については、通常、双方を兼ねるコンテンツプロバイダーを許諾対象とすることで意見が一致し、1999年末には基本的合意が形成されていたものである。
(3) 一方、ウェブ上の大多数を占める個人サイトにおける音楽著作物の非営利利用については、送信可能化権を立法化した国が少数であるという状況の中で調整が難航したが、個人サイトはその使用言語の国のアクセス及びホストサービスプロバイダーを利用することが大多数であるとの判断から、そのサービスプロバイダーの法人登記国の団体管理とした。
しかし、これらの合意は暫定的なものであり、今後の状況変化に応じて必要な修正を加えることとしている。

3. JASRACの見解
  情報をデータ化して蔵置し、インタラクティブ環境に接続すること、即ち、送信可能な状態にすることは、必ず複製行為と配信行為が伴うと見るのが一般的である。
  クライアント側(受信者)においても複製行為が行われるが、送信可能化した側(アップローダー)の責任を明らかにすればよいのであって、クライアント側の行為については議論をしていない。
  国際私法において、一般的不法行為については、不法行為地の法に準拠する。不法行為地の認定が行動地説によるか結果発生地説によるか、各れにせよ、送信可能化した側の行為に限定すれば、複製も公衆送信も行為者は同一である。
  商用配信においては、別表(1−5)及び(1−6)の判断基準に基き、情報を送信可能化するコンテンツプロバイダー(CP)を位置付けして、許諾団体を決め、その団体の国を国際裁判管轄とすることで異議はない。
  個人サイトの場合でも、両合意の内容で今のところ不都合はないと思われるが、将来的に使用言語が統一化されるようなことがあれば問題を生ずる可能性もある。
  使用言語の壁がなくなったときに、例え、サービスプロバイダーの法人登記国の団体管理や国際裁判管轄を定めていたとしても、国境を越えて、個人の責任を追及することが実行上難しいことに変りはない。
  各国の法制度や法整備状況がまちまちな中で、各国管理団体がより現実的、実効性のある管理を行うためには、送信可能化する側の行為に重点をおいて合意形成をする必要があった。



別表
サンティアゴ合意(演奏権)/バルセロナ合意(録音権)比較表

  項目 サンティアゴ合意 バルセロナ合意
許諾について
1-1 対象となる権利 演奏権 録音権及び頒布権
1-2 許諾対象となる利用 インタラクティブ配信
●  ストリーム/ダウンロード、有料/無料、映像やテキストを伴うか否かにかかわらず
●  従来の放送形態での放送内容のネットでの同時配信は含まない
1-3 許諾対象となる利用者 コンテンツ・プロバイダー(CP)
→  但し、私的なウェブサイトの場合は法が認める範囲でアクセスまたはホスト・サービス・プロバイダーに対する許諾も可
1-4 許諾が有効な配信先地域 全世界 当該団体がそのレパートリーの当該権利を有する地域(例:SACEM信託者がドイツ地域の録音権だけをGEMAに信託した場合、SACEMによる許諾はドイツ地域への配信を除く。)
1-5 許諾団体を判断する際の判断基準の優先順位 1.  CPの経済的所在地の団体
2.  CPのURLおよびウェブサイトにおける使用言語の国の団体
3.  CPの法人登記国の団体
→  但し、私的なウェブサイトの場合、アクセスおよびホスト・サービス・プロバイダーの法人登記国の団体が許諾する
1-6 経済的所在地の判断基準 以下の内2つが同一国にある場合その国に経済的所在地があるとみなす:
A.  CPの本拠地
B.  CPの社員の過半数
C.  CPの監査の規制

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