審議会情報へ

文化審議会

2001/09/28 議事録

文化審議会著作権分科会情報小委員会図書館等における著作物等の利用に関するワーキング・グループ(第5回)議事要旨

文化審議会著作権分科会情報小委員会図書館等における著作物等の利用に関するワーキング・グループ(第5回)議事要旨

平成13年9月28日(金)
10:30〜13:00
日本芸術文化振興会第1会議室

出席者

(委員)

紋谷座長、糸賀委員、金原委員、木村委員、小阪委員、児玉委員、齊藤委員、酒川委員、杉野委員、土屋委員、筒井委員、中西委員、半田委員、前園委員、松村委員、

(事務局)

岡本著作権課長、尾崎マルチメディア著作権室長、その他の担当官

1.開会

2.議事

◆情報小委員会(第5回)の報告について

  •   事務局から情報小委員会(第5回)で議論された「文化審議会著作権分科会情報小委員会の審議経過の概要のイメージ」について、報告があった。

◆文化審議会著作権分科会情報小委員会図書館等における著作物等の利用に関するワーキング・グループの審議経過の概要(案)について

  •   事務局から文化審議会著作権分科会情報小委員会図書館等における著作物等の利用に関するワーキング・グループの審議経過の概要(案)について説明が行われ、各委員による以下のような意見交換が行われた。

【委員】

  出版物を読んでもらう際には何らかの対価を権利者に還元することが大原則と考えている。図書館等における複写に関しては基本的に図書館の入館者に対して複写物を便宜上提供することが本来の姿であり、郵送を含む館外送付には疑問もあるが、学術研究の目的などであれば、郵送手段による提供と変わらないファクシミリ送信は許容することもできる。営利目的の利用は、原則から考えると勿論除外すべきである。

【委員】

  図書館側としては営利目的の調査研究を外すべき点については、実効性を担保するための条件によっては容認することができる。ただ、現状でそのような複写を行っている図書館もあるので、その対応も考えなければ困るとの意見もあった。

【委員】

  今後具体的な問題についての対応策・解決策を目指し、合意の形成を促進するために当事者間の協議の場を設けるという姿勢は強く賛成したい。

【事務局】

  早急に協議の場を設置したいと考えている。

【委員】

  「営利目的」の内容がかなり曖昧なのではないのか。医者や弁護士が複製を求めた場合、ビジネスマンが自分の勉強のために複製を求めた場合、商工会議所の会員会社の人が複製を求めた場合、実際の問題としてどのようにして判断すべきなのか。

【委員】

  権利者側としてもその点はまだ詰めきれていないので、協議の場で問題にしていけばよいと思う。

【委員】

  「営利目的」については無許諾で認めたうえで、補償金の額で調整するという方法もあるのではないか.

【委員】

  今後当事者間で協議する上でも参考になるように、図書館における複製の位置付けは何かということを提言できれば良かったのでないか。また双方の意見を整理しただけではなく、具体的に何らかの権利制限に対する提言をした方が良かった思う。

【事務局】

  事務局としても年末までに何らかの方向性が示せればよかったと思っているが、権利者側・利用者側双方が非公式な接触はあったようだが、なかなか妥協するに至らず、残念ながら両者の立場を明確にしたというところでに終わりとなった。営利目的の内容については、営利とは何かということではなく、どの部分は権利制限を外してほしいかということであり、「営利」という言葉がふさわしくなければ、表現を変えても構わない。

【事務局】

  著作物等はお金を払って使用するのが原則と考えるのならば、図書館の存在自体はどうか。

【委員】

  利用者が著作物から情報を入手して一定の何らかの利益を得るのであれば、情報の使用料を払っていただくというのが基本的な考え方である。図書館等においても、何らかの情報を得る以上、利用者には情報使用料を払ってほしいとは思うが、実際にそこまでの行為に関し規制することは不可能なので、それを否定するつもりはない。

【委員】

  図書館内でインターネット端末からプリントアウトできるようにする要望は他の要望と性格が違うのでその他の要望として位置付けるべきと思うが、図書館内のみの送信を目的として図書館資料を例外的に許諾を得ずにデータベースできるようにする要望は、その他の要望にいれるのではなく、他の要望と同列にすべきではないか。

【事務局】

  この要望は図書館側としてはそれほど強く要望するものではないということで、他の要望とトーンが違ったため、その他の要望として整理したものである。

【委員】

  整理の仕方として性格が違うということを明確に認識して報告した方がいいと思う。

【委員】

  データベース化の要望は権利者側として強い懸念を持っており、その他の要望ではあく、一般の要望と同列に扱われるならば、かなり問題があるとして意見を言いたい。

【委員】

  整理として図書館側からの要望の強弱で整理した方がいいと考えるので、何も変更することはない。

【事務局】

  図書館内でインターネット端末からプリントアウトできるようにする要望については、図書館資料ではない他の著作物の話でもあるしというような表現を付け加えることで明確にすることでどうか。

【委員】

  営利目的の表現で当初は「直接又は間接的な商業的利益」という言葉を使っていた。

【委員】

  「商業目的」でいいのではないか。

【委員】

  おそらく考えていることは同じだと思うので、表現が一人歩きしないような言葉にしなければならない。要望内容に関しては要望を出した方の表現を尊重する方向が自然と考える。

【事務局】

  要望としては、利用者の調査研究目的の利用において、商業的に使用するためのものを除くとして、商業的な使用とはどういうものかについては今後具体的に詰める必要がありという意見があったという書きぶりでどうか。

【委員】

  31条「営利を目的とする」という表現が出てくるので、それと違う表現にした方がよい。

【委員】

  図書館のそもそも論が欠けていたという意見があったが、当面の議論については、そもそも論以前に決着をつけなくてはいけないものがかなりある。デジタル化・ネットワーク化された社会の情報流通における図書館の位置付けは、著作権だけでなく国全体として情報流通市場をどのようにすべきかという政策にも係わってくる問題であるので、別途高い観点で議論すべきであろう。

【事務局】

  情報流通の促進によって、一億総クリエーター、一億総ユーザーとなって情報提供機能を独占していた人たちの独占が崩れてきている。そういう状態になった場合に権利制限を今のままにおいていていいのかという問題がある。著作権課としても今後全体についてどうするかを各方面からのご提案を待っている状況である。

【委員】

  このWGにおいて権利者・図書館双方の話が出来て分り合えることができたことが有意義であった。今後の検討においても相互に理解しながら協議していくことが重要なことだと思う。

  •   文化審議会著作権分科会情報小委員会図書館等における著作物等の利用に関するワーキング・グループの審議経過の概要(案)について委員からの意見に基づく修正について座長一任ということで基本的に了承し、後日情報小委員会において座長から報告するということになった。

3.閉会

(文化庁著作権課)

ページの先頭へ