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文化審議会

2001/09/04 議事録

文化審議会著作権分科会情報小委員会著作物等の教育目的の利用に関するワーキング・グループ(第5回)議事要旨

文化審議会著作権分科会情報小委員会著作物等の教育目的の利用に関するワーキング・グループ(第5回)議事要旨

平成13年9月4日(火)
13:30〜15:30
三田共用会議所大会議室

出席者

(委員)

紋谷座長、北川会長、金原委員、金本委員、神山委員、木村委員、久保田委員、齊藤委員、関口委員、田名部委員、橋本委員、水島委員、三田委員、山地委員

(事務局)

天野長官官房審議官、岡本著作権課長、尾崎マルチメディア著作権室長、その他の担当官

1.開会

2.議事

◆情報小委員会(第5回)の報告について

  事務局から情報小委員会(第5回)で議論された「文化審議会著作権分科会情報小委員会の審議経過の概要」について、報告があった。

◆文化審議会著作権分科会情報小委員会著作物等の教育目的の利用に関するワーキング・グループの審議経過の概要(案)について

  事務局から文化審議会著作権分科会情報小委員会著作物等の教育目的の利用に関するワーキング・グループの審議経過の概要(案)について説明が行われ、各委員による以下のような意見交換が行われた。

【委員】

  権利制限の縮小に関しては、現行法35条で複製できる主体の拡張を認めつつ、一律に補償金制度を導入して利用できるようにするということで、一方的に権利制限を縮小することを要望しているものではないことを確認したい。

【委員】

  例外的に許諾を得ずに作製された複製物を同一教育機関内で共用できるようにすることは、趣旨内容から勘案すると学区、地域で共用することにまで拡大できる可能性がある。また、同一教育機関内に限定しても教材を保存する期間について、どのように考え保証するのかという問題がある。

【委員】

  学習者による複製を認めるということになると、日常の生活の中で著作物の複製を自由に行うことができる機会が増える。その環境の中で著作権意識をどのように身に付けさせるのか。

【委員】

  著作物の利用の際に出典を明示させているのが現状である。学校現場においては「人権教育」ということで人権に関わる様々な教育を行っており、将来的には著作権教育をその中に盛り込んでいくべきだと思っている。

【委員】

  単に一方的に著作権を教えるだけではなく、著作権意識を育成させるために例えば報酬請求権として報告義務を課すことが考えられる。今後著作物利用が便利になるに従い、著作権というものをいかに身につけさせるかが重要になるのではないのか。

【事務局】

  権利制限を拡大する縮小するという話と著作権教育の話は分けて考えている。

【委員】

  ソフト等の購入など財政面での支援も必要ではないか。また技術的保護手段又は権利管理情報を埋め込むことを、どの段階において教育現場でも実用化できるかということを考える必要はあると思われる。

【事務局】

  ソフト等の購入について地方交付税上の措置はすでに行っている。また、予算がないから違法コピーをとることは論外である。

【委員】

  教材やコンテンツに対する予算は地方交付税として、充分に県や教育委員会にいっており、実際にそれを教材やコンテンツに使うかどうかは自治体の判断である。

【委員】

  コピープロテクションと35条の関係、又は契約と35条の関係はどうなるのか。

【事務局】

  コピープロテクションと35条の関係については、法改正時においては30条の私的複製だけの手当てをしたが、権利者側から要望があれば35条についても当然ある話である。35条と契約の関係、つまり権利制限規定と契約の関係においては、契約が優先と考えている。

【委員】

  権利制限規定が契約に従属するとは法的にそれほど明確にいえないのではないか。権利制限規定の趣旨として公益性があれば、公序良俗違反との問題もあり、一律に契約が優先とすると契約の世界では権利制限規定がいらなくなってしまうので慎重に考える必要がある。

【事務局】

  契約が権利制限規定の趣旨である公益性等に反するのであれば、それは著作権の問題ではなく、契約が一般的に有効であるのかどうかという問題と整理している。次回の総括小委員会でも議論する予定である。

【委員】

  今後当事者間の協議の場を設けとあるが、本WGや情報小委員会では議論を行わないということなのか。

【事務局】

  情報小委員会では今後も議論するが、論点を整理する役割が終わったため、本WGはこれで終了ということになる。

【委員】

  実際に当事者間の協議を行うにしても非常に大変なことではないのか。私的使用における補償金の協議にしても10数年かかっており、何か予測というか展望はあるのか。

【事務局】

  これからは行政側が解答を出して、引っ張っていくという時代ではない。権利者・利用者双方がオールオアナッシングではない議論で案件の優先順位、条件、補償金など両者がどういうふうに歩み寄れるかを協議することになると思う。

【委員】

  本WGにおいて、教育現場からの具体的な切実な声を聞くことができると期待していたが、あまりそういう声を聞くことはできなかった。今後具体的な話し合いの場を設けて協議し、より良い解決に進むことを期待している。

【委員】

  2,3年前にヨーロッパでは契約で権利制限規定を変えられるかという点につき権利者団体と利用者団体が協議をして何か解決策はないかとといった大々的な議論が起こり、またアメリカでは政府が中心となって教育や図書館利用といったあらゆる分野についてフェアユースに関し大々的に協議を行った。この記録は残っているので、今後の協議の参考にしてほしい。

【委員】

  「権利者の中には、事前許諾が困難な一定の範囲については報酬請求の対象とすることも考えられるとの意見もあった。」という部分が事前許諾が困難だから報酬請求権だと誤解されるおそれがあると思われるが。

【委員】

  この部分は権利者として何が何でも反対という意味ではなくことを表現した部分である。

【事務局】

  ここだけを論理的に見ると許諾が困難だから報酬請求権といっているように見えるので表現を工夫したい。

【委員】

  補償金制度の部分で、利用者側の意見として、「教育機関で利用される著作物は広範多岐にわたるので実際に補償金制度を構築することが困難であること等」とあるが、権利者の中にも困難であると認識している人はいる。

  •   文化審議会著作権分科会情報小委員会著作物等の教育目的の利用に関するワーキング・グループの審議経過の概要(案)について委員からの意見に基づく修正について座長一任ということで基本的に了承し、後日情報小委員会において座長から報告するということになった。

3.閉会

(文化庁著作権課)

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